絶対王者メルセデスAMG-F1が、新たなステアリングシステムを投入してきた。
その名もDAS「デュアル・アクシス・ステアリング・システム」(dual axis steering system)、直訳すると(2本の軸があるハンドルの仕組み)となる。
なんか久しぶりにF1に新メカ登場って感じ、FRIC(フロント・リアサスを油圧で連結)、ブロウンディフューザー、Fダクト、ダブルディフューザー、リアブレーキステアリング、アクティブサスペンションなどなど、興味深いシステムが出ては消えを繰り返してきた。
今回のシステムは足回り関連、過去にFRICを開発したジェームズ・アリソンが絡んでいる。
DAS(dual axis steering system)
ステアリングを手前に引くとフロントタイヤがトーイン側へ傾き、押すとトーアウト側へ傾く。
Esta noche analizamos el movimiento del volante de @MercedesAMGF1 con la pantalla de @ricohspain. A las 21h30. F1 pic.twitter.com/M4ozQQ348a
— Albert Fabrega (@AlbertFabrega) February 20, 2020
この動画によれば3段階で調整されているのがわかる。
- ストレートに入ったら引いて、トーゼロ(スクエア)
- ストレート後半が近づくと更に引いて、トーイン
- コーナーに向けて一気に押し込んで、トーアウト
1.トーゼロでは摩擦係数が減少しタイヤ摩耗を抑え、冷却を早める事ができる。2次的にエネルギーを極少量節約できる。
2.トーインにする事で直進安定性を確保、ブレーキングに向けて摩擦係数を増加させタイヤを温める。
3.トーアウトにする事でターンインを安定させる基本的なセットアップに戻す。
F1におけるセットアップデータ
これはどうやらマノーのセットアップデータのようです。2016年と古いですがフォーミュラカーにおける基本的なセットアップとなっています。
トーやキャンバーについて詳しい解説はこちらのサイトへどうぞ⇒https://virtualracingschool.com/academy/iracing-career-guide/setups/camber-toe/
DASの合法性
10.2 サスペンションジオメトリー
10.2.1 ステアリングホイールが固定された状態で、各ホイール中心位置とその回転軸の方向は、サスペンションの主要垂直方向トラベルの機能により完全にまた独自に定義されなければならない。ただし、さらに自由になる度合いを故意に提供することのない合理的なコンプライアンス効果については除く。
10.2.2 サスペンションシステムの仕様構成を変更する、あるいは性能に影響を及ぼすことが可能な動力装置は、それがいかなるサスペンションシステムのどの部分であっても、一切禁止される。
10.2.3 車両が走行中、いかなるサスペンションシステムも、調整は一切行われてはならない。
10.4 ステアリング
10.4.1 2輪を超える車輪の操舵を可能とするステアリング装置は禁止される。
10.4.2 パワーステアリングシステムは、電子的制御がなされることあるいは電気的動力を得ることはできない。そのようなシステムは、車両を操舵するのに必要な肉体的負担を軽減させるという目的以外の機能を実行することはできない。
10.4.3 ステアリングホイール、ステアリングコラム、それらに装着された部品のいずれも、ステアリングホイールリムの後端全体で形成される平面よりもドライバーに近い所にあってはならない。ステアリングホイールに固定されるすべての部品は、ドライバーの頭部がホイール組み立て部のどこかに接触した場合、怪我の危険性を最小限にとどめるように取り付けがされていなければならない。
10.4.4 ステアリングホイール、ステアリングコラム、およびステアリングラックアセンブリーは、衝突試験(試験手順詳細は第16条5に記載)に合格しなければならない。
※関連しそうなレギュレーションを抜粋しました。
まず一つにステアリング操作の方向に関する事の記載無い、回転させるとも書いてない。押し引きしてはならないなんて書いてある訳もないので操作については合法となります。(2021年レギュレーションでは、前輪の位置合わせは、単一のハンドルの回転運動の一定の機能によってのみ行われなければなりません。と記載されています。)
「車両が走行中、いかなるサスペンションシステムも、調整は一切行われてはならない。」と書いてある部分に抵触するのではと思っていたのですが、トー角を変更するためにステアリングロッドの長さは変わっていない事が発覚!ハブ部分にトー角だけを動かす機構が存在している。
画像の赤丸部分の機構に疑いがもたれています。POUによりステアリングロッドを動かすタイヤの角度変更はサスペンションに干渉して車高が下がる機能があります。10.2.3に抵触しないようにサスペンションに干渉しないシステムになっています。
「車両を操舵するのに必要な肉体的負担を軽減させるという目的以外の機能を実行することはできない。」との記載があるのでDASには油圧などのシステムは使えない、よって完全な機械式であって電子的な補助も許されない。操作するには何らかのロック機能をもったレバーなどを使って特定の場所に固定していると思われる。そして重すぎても軽すぎてもダメな微妙な操作感が必要になるだろう。
DASの利点は?
DASの利点については、ここまで書いていきた事を踏まえてもかなり限定的と言える。
ごく一部のストレートでタイヤを労わったり、エネルギーを少しセーブする事ができるだけと思う。トーゼロによるドラッグの軽減が与える速度への利益はほんの1km/h程度だととも言われています。
トーイン状態にして、高速コーナーで意図的にアンダーステアにする事も可能と言えば可能。
ほんの少しでも利点がある事の積み重ねがF1でもある訳です。チャンピオンチームの強かな行動は今年のチャンピオン争いに影響するのだろうか?
正直わからん!!
> トーゼロでは摩擦係数が減少
それが成り立つのはキャンバーが0の場合。
ネガキャンの抵抗はトーアウトで相殺が基本ですよね。
それが常識的な事らしいですが、ピレリはストレートで通常20℃フロントタイヤ温度が下がると言っていて、トーゼロで+5℃下がると言っているんですよね。
と言う事はF1では摩擦は減るんですよ。
まぁ通常のレーシング関連常識はF1では一部成り立たない事もあるって事なのかな。
ネガキャンの抵抗というかネガキャンにした事によるタイヤが内側へと転がろうとする力を打ち消す為にトーアウトにするというのが正解かもしれません。
更にステアリングレスポンスを重視する為に基本的にレーシングカーはイニシャルセットで大きくトーアウトに振られる事が殆どですので必ず引きずりが発生します。それをトーイン方向に走行中に変更できれば走行抵抗は少なからず軽減されます。管理人様が仰りたいのは摩擦抵抗が「軽減」ということであって「無」になるという話ではないのでキャンバーが何度付いていようがトー角が変わればタイヤの摩擦抵抗は変わります。
これはわからないですね
個人的にはタイヤの温度コントロールがこのシステムによって多少できるようになるのであれば、温まりのよいメルセデスには、熱ダレしにくくなって良い武器になりそうです。
あとはタイヤがタレてアンダーやオーバー気味になった場合や雨が降ってきた場合など走行中に適正なアライメントを探せるのは、ドライバーとしてはすごく嬉しさが多い気がします。
あとはバトルシーンでこれをドライバーがどこまでうまく使えるか楽しみです
僕はこういうの賛成です
なお、今季は合法とみられてますが、来季(2021年)の新レギュレーションには
「ホイールアライメントは単一ステアリングの”回転運動”での一定機能の操作のみ」
と、書かれていて
前後に操作するこの機能は禁止になる見通しだと報じられています
「塵も積もれば山となる」で、
シームレストランスミッション採用されたのと同じように、
1周毎で得られる利益が小さくても、全周回数トータル積算して大きな結果が得られそう。
決勝で周回重ねる毎に、3位以下とどれくらい差が開いてくるか?
途中リタイア無く最後まで走りきれば、タイヤ交換でライバルチームにアンダーカットされても、余裕で挽回出来る。
レッドブル自慢のタイヤ交換スピードさえも色褪せてしまう。
タイヤの持ちに効果発揮すれば、タイヤ交換のタイミングさえも自由自在に選択出来て戦略面でも有利。
戦略にゆとりが生まれるほど
ライバルチームに対して、パワーユニットのマイレージ面でも差をつける副次効果もありそう?
何よりもドライバーのコントロール管理下に置かれるのが、DAS最大のメリットでしょうか?
ドライバーも違和感無く使いこなしている様子で、操作するのに生ずるデメリットも見当たらない。
タイヤの温度管理に効果を発揮しそうですね。
サスメカニカル、メルセデスはやり尽した感ありますが残ったのはトー角の可変だったのですね。
ハミルトンこう云うの得意でしょ、タイヤでのアドバンテージ大きく築いちゃうんじゃないですか?
連〇、新○○…イヤイヤ!
レース観るの怖くなりました。
そう言えばセナも・・・92年のシーズン中のテストの時、「個人的には余りこういう(ハイテク)装置は好きではないんだ。真のドライバーの実力が試されないから。」と公言したのを思い出しました。DASはメルセデスの二人は合うって言うのでしょうか?中嶋 悟さんがテレビ番組で確か自分の実力でドライブするのがマンセル、アレジ。マシンの実力でドライブするのがプロスト、ピケ。その両方がアイルトン・セナとおっしゃっていた記憶があります。ハミルトン達は一体・・・?
車高って何処で計るんだろう?
これでフロントの車高が問題になるのなら
レッドブルのリアの車高の方が大きく変わってると思うのだけど??
レーシングドライバーって凄いですね
自分ならステアリングの感覚が一寸でも変わればアクセル緩めてしまう
もしかしたら車酔いするかもしれない
ステアリング操作による車高変化は停止状態て行われます。
一般公開レギュレーションに記載は無いですが、タイヤの角度12°に対し5mm未満が許容範囲だとの情報があります。
車体レギュレーションでは、路面との距離に関する記載は一切ありません。
あくまでフロアの基準面からの距離のみです。そしてサスペンションストロークの規制もないので、リア車高を上げるセッティングである高レーキ角が許される。
通りすがりの者で、あまり詳しくないのですみません。パルクフェルメルールについてはどうなんですかね。トーを調整するということなら、セッティングの変更と見られると思うのですが。
真っ先に疑った部分ですけど、あくまでステアリング操作によって起こるタイヤの傾きなので許されてしまう。
明確な記載が無いからOKなのか?
パルクフェルメルールに違反?
判断はFIAに任されてしまうが、過去の例からもこのような技術は大体1年は許されていますね。
ストレート部分で自分だけが走行できるわけじゃないし、前者を追い抜く、あるいは進路を塞ぐ、などのステア操作に影響はないのかな?と思ってしまう。
トーイン、あるいはトーゼロ状態で素早い切り返しに影響がないのだろうか?
これは心配しすぎでしょうか?
特にストレートエンドでの追い抜きなどかなり際どい状態もあるだろうし…
直線だけという理想的な状態を前提にしてしまっているように思えて仕方がないのですが…
ボッタスはDay3最速ラップ時使っていませんし、よほどの事が無い限りバトル中は使わないと思います。
今回やっとシミュレータとの相関がとれる状態になって、メルセデス自身もまだ最速の使い方を把握していない段階でしょう。
Honda’s F1の今参戦通し少しずつF1の知識を得てる程度の者で機械的な専門知識は全くありません。
全く参考にならないかもしれませんが、ホイール回転時の直進性の抵抗については、スケートボードにヴァートランプ競技及びそのコースがあります(概ねコースはスノーボードのハーフパイプ)。そのコース上を一回毎の下降or上昇の間に、足底を通して4ホイールに対しその状況に応じて瞬時に前方or中心or後方に適切に加重が必要ですが、その間、特に左右に対し極わずかでもバランスがブレると加速度に影響することが例えば上昇時のピークに到達するスピードや時間でハッキリと体験を通して判る印象です。なお、重心の大切さについては、ボードに対しスクワットして姿勢を低くした場合(ボードの中心及び足底に対し腰部や頭部など大きなな重心が近い姿勢)と、その時々に必要な加重位置のズレの影響が強い立位の姿勢(大きな重心点が離れて点在している)で下降する場合とでは加速度に差があることも判る印象です。このためタイヤ熱やキャンバー角との影響の知識はありませんが、トーゼロのみの抵抗値に関してストレートでは優位性があるのかなと思いました。
我らがRedBull Honda’s RB16も、ニューウェイ先生を先頭に革新的な足廻りが投入されている様なので楽しみにしています。
おはようございます
じっくり考えましたが私の頭ではフロントタイヤのグリップ強化でレーキ角の強いRB・ホンダの得意なコーナーでのアドバンテージを確保したいと思っての採用
くらいしか思いつきませんでした
後はストレートでもコンマ05秒のアドバンテージがあるのかな?くらいです