フロントウィングでは、Y250ボルテックスと呼ばれるソリューションが導入されている。
マシン中心線Yから250mm離れたフロントウィングフラップの端の切り欠きで作り出す為、Y250ボルテックスと言う。
フロントタイヤの後方に発生するウェイクと言われる乱流、ウェイクは流れの遅い高圧の空気で、低圧のフロアに流れ込もうとする。それを外側上方へ吹き飛ばす。
雨のグランプリとなった、2020年トルコGPで見えた空気の流れを解析していきましょう。
Y250ボルテックスの軌道
水しぶきが白く見える、これは密度が濃いからと解釈できます。流速が遅くて濃くなっているところと、強力な過流で濃くなっているところがよくわかります。
フロントタイヤ後方のウェイクが、サイドディフレクターで弾かれているのが見えます。Y250ボルテックスは、このディフレクターに当たり上方に反らされます。下に下に行こうとするウェイクを上の力を与えて反らすのです。
ボルテックスは小型な竜巻みたいなもの、周りの空気を吸い込みながら進む。細く見えていても、その周りに与える影響は図りしれない。
フェラーリのバージボード辺りから渦巻いた空気が、斜めに上昇しているのが見えると思います。
バージボードの無い時はうねうねと龍のような軌道だったのですが、細かい空力パーツで発生するボルテックスと融合して、軌道制御がされ大きくなっているのがわかります。
メルセデスやレッドブルは、もっと角度が浅く広く見えるのですがね。
ケープとの協調制御
ケープで発生するボルテックスは、ダウンフォースが発生する時計回り(正面から右側)、Y250ボルテックスは反時計回り、隣り合う部分では同じ下方向に流れる気流となる。(ターニングベーンも時計回りの渦を発生)
この二つの過流の位置関係が非常に重要で、近すぎると反発して流れが乱れ、離れすぎると増幅効果を得られないと考えられる。
まとめ
最終的に、レッドブルのフロントウィングのノーズ付近デザインが、メルセデスとそっくりになった事からも、レッドブルの失敗はケープに対するY250ボルテックスの制御を間違っていたと考えられる。
翼端板で発生する時計回りのボルテックスであるアウトウォッシュと、フロントホイールの吹き飛ばしの強さも、これに大きく影響を与える。
第2次世界大戦時の風洞を改造したものだからねぇ、レッドブルのは・・・横幅が足りてないんじゃないかな?
マシンのフロント部分で発生する片側3つのボルテックス、これらを上手に制御できているマシンが速い事に疑いの余地は無いだろう。
2021年はY250ボルテックス最終年となり、細やかな空力アップデートに注目出来るのは最後になります。
なるほど!
それで、アルファタウリはRB16のリアを移植せずに、フロント周りに集中するんでしょうね。21年ルールでリアフロアがカットされると、RB16のリアではナーバスになってしまうと考えたんでしょうね。トークン使わずにRB16のリア周りに出来るのにやらないんですから!
フロアカットで空力が変わり、更にサスも変わっては、問題が起こったときの原因究明が難しい。
尚且つ前後トータルの空力設計も時間・資金がかかるため、不確定な要素を減らそうという感じでしょうか。
レーシングポイント改めアストン・マーティンは20年型に変えてきそうですけど。