2017年より、開発が許可されたフロントタイヤ後方とサイドポッドの間には、バージボードと言われる空力パーツが存在している。
ウィングのようにエレメント規制が無く、やりたい放題のバージボードは、制作予算の少なさから非常にアップデートが多い場所です。導入から4年たった今でも最適解は絶え間なく変化している。
2020年エミリアロマーニャGP(イモラ)決勝レース、メルセデス(ボッタス)の左バージボードに、接触により破損したフェラーリ(ベッテル)のフロントウィングエンドプレートが挟まり、空力バランスが損なわれレースペースに大きく影響した。
メルセデスのバージボードに挟まるデブリ
ボッタスが失ったペースは0.7~0.8秒
ボッタスがこのデブリを拾ったのが2周目、19周目のピットストップではデブリの位置を把握するだけにとどまり、SC中の51周目のピットストップで取り外す事に成功している。
Max hunts down Valtteri 💪 #ImolaGP 🇮🇹 #F1 pic.twitter.com/qeDzRGTv6j
— Formula 1 (@F1) November 3, 2020
ボッタスはこの影響を特に高速コーナーで受けていた、ターン17,18でグラベルにはみ出すミスに繋がり、フェルスタッペンに抜かれる事になってしまっています。
メルセデスのエンジニアによれば、ラップあたりの損失は0.7~0.8秒、抜かれたフェルスタッペンのペースについていけず、その前を走るハミルトンとの差がおおよそこの数値だったようです。
バージボードの存在により、ダウンフォースが約25%増加
2018年レーシングポイントのアンドリュー・グリーンによれば、バージボードの存在により全体的なダウンフォースを25%増加させる。今現在では、バージボード自体でのダウンフォース生成量を含め、およそ1/3のパフォーマンスを占めるとの事。
バージボード自体が25%のダウンフォースを生成するのでは無く、特にフロアの先端部分で発生する負圧に影響を与え、ディフューザーのサポートをわずかに増加させる、全体的に25%増加するとの意味です。
フロントウィング、ノーズ、フロントタイヤの後ろに発生する高圧ゾーンを、フロアの低圧ゾーンに届かないように妨げる事によって、それを達成します。
だーれもコメントしない笑
フロアって言うからTトレイに?とか思ってたけど、まさかのこんな上の方に笑
しかもまあまあでかい。
エンジニア的には、バージーボードもフロアみたいなものなんでしょうね。
ひげみたいなボルテックスジェネレーターが機能しないだけで約0.8秒遅くなるなんて、2017年の解禁は失敗だったと思うのです。
チーム格差が大きくつく代物ですわ。
2022年からは開発禁止エリア、ぼろぼろとデブリをばら撒くバージボードが無くなります。
開発エリアとして魅力ある空力パーツですがエレメント形状が複雑化してキメ細かくなればなるほど、接触時のリスクが高まる。
フォーミュラーカー独特の外側に露出する突起物が存在する限り物理的に難しい。
勝負事でのアクシデントは仕方が無いですが、接触した車同士以外にデブリによる二次被害が目立っている印象あります。
接触した者同士よりも失うモノが大きい場合ある?
勿論デブリの処理をしてから再スタートの処置しているでしょうが、完全に除去は難しい(ガラスの破片のように小さな破片は残っている)
カーボン材質って割れた部分の「ささくれ」鋭いエッジの効いたナイフみたいで怖いですね。
逆に柔らかくして、たわませてしまうとフレキシブルウイングとなってしまうので、剛性と弾性のバランスを取るのが難しいですね。