アルファタウリは2023年開幕で2022年とほぼ同じマシンを走らせた。

あまりの変わって無さに衝撃を受けたのを今でも鮮明に思い出せます。

 

その後アップデートを繰り返し行っていましたが、形になったのはアメリカ大陸編からでした。

R19アメリカGPからコンスタントに入賞し始め、それまでの5pに上乗せる事20pと終盤戦で大躍進した。

 

大きなきっかけは何だったのか?まとめていきます。

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フロアエッジウィングの大型化(アメリカGP)

今更かと驚いたアップデートでしたが、COTAで角田が10位フィニッシュ&ファーステストを取る快走だった。(その後、繰り上げ8位)

ここまでの17戦は10位になれるかなれないかの勝負だったのだが、10位+11位に対して25秒のマージンをもっていました。

 

なぜこれがそこまで重要なのか?

 

答えはフロントタイヤ乱流にあります。

フロントタイヤ乱流を弾きアンダーカットやマシンサイドの流れを整える

 

フロントタイヤ乱流はレーシングカーにとってとても邪魔な存在です。

2021年まであったバージボードの代わりを担うのがこのエッジウィングと外側のフェンスです。

乱流を外側に弾いて、フロアの気流に影響を与えないようにする必要があります。

 

 

共通フロントホイールディフレクターがあるので、この乱流は全チームほぼ一緒の形で流れます。

他チームはエッジウィングが大きいのにアルファタウリだけ小さいのは謎でしかなかった。

 

乱流を外側へ弾く力が強まると、もう一つの効果が上乗せされます。

アンダーカットの気流を下げる力が増加するのです。

 

 

ボルテックスジェネレーターの流れを頭に入れておきましょう。

進行方向に対して隠れる面は流れが速くなり圧力が低下します。

そこに遮られた流れが上から入り込み渦流がつくられる。

 

大きなエッジウィングで作られるボルテックスは力が強く吸い込む力も強くなります。

このようなイメージになります。

 

マシンサイドの流れを整える効果が上がり、それはフロアエッジ後方のエアロシール効果をも高めます。

(実際はエッジからフロアに気流が侵入していくがその度合いを弱める)

フロアフェンス配置のレッドブル化(アブダビGP)

下の画像はラスベガスGPまでのフェンス配置です。

 

 

アブダビGPではレッドブルと同じように②フェンスを外側へ移動している。

このフェンス配置には2つの効果があると思われます。

フロントタイヤ乱流をエッジウィングと②③フェンスで外側へ弾く。

(ステアリングを切ったターン時のイン側はディフレクター下部と上手くリンクする為)

 

①②フェンスの空間によって①フェンスのボルテックスが強まりフロアトンネルへの気流が増加する。

①フェンスとビィブとトンネルで作られた速い流れ(負圧)を維持するために、フロアエッジディフューザーによって気流を排出している。

トンネルから後方ディフューザーへの気流が不足するので、①②フェンスの空間からトンネルへ気流を供給していると考えられる。

 

このソリューションはマクラーレンも同様に真似しており、今年の躍進のきっかけになっているデザインです。

まとめ

アメリカGPから始まったアルファタウリAT04の躍進。

どうして主要なアップデートがこんなにも遅くなってしまったのか?

 

これは2024年型の開発過程によってもたらされた空力概念だからです。

来季マシンの開発は10月を目途に空力学的な表面は凍結され、製造作業に入らなければならない。

 

今年の序盤、来季のアルファタウリはレッドブルの概念を多く取り入れるとのニュースがありました。

その通りに動いている事がこの終盤戦のアップデートと結果によって証明されている訳です。

 

いつもはアルファタウリの開発に期待出来ないと言ってしまう私ですが、今回は期待大と言える結果が出ています。

角田君の4年目を支えるマシンになる事は間違いありません。

 

 

一つの問題を上げるならば、それはドラッグでしょう。

もしも、それを解決できているならば序盤戦になった日本GPで入賞の可能性は高まります。