マイアミ・インターナショナル・オートドロームは長いストレートがあり、最高速度が非常に高いと感じました。
リアウィングのデザインの違いで、DRSオンとオフの差が生まれます。
ダウンフォースは速度の2乗で増加するとよく言われますが、ドラッグも同様に速度の2乗で増加します。
300km/h以上での速度の上昇は、パワーではなくドラッグが如何に少ないかで決まります。
マイアミのターン11直前の最高速度とDRSの比較
DRSオン時は予選ベストラップの記録、DRSオフ時はレースの出来るだけトウが無い時を抽出しています。(下位チームは集団で常にトウの中に居る事が多く判断が難しい)
ドライバー | チーム | DRS ON | DRS OFF | DRSデルタ |
---|---|---|---|---|
S.ペレス | レッドブル | 343 | 313 | 30 |
M.フェルスタッペン | レッドブル | 342 | 311 | 31 |
L.ハミルトン | メルセデス | 339 | 311 | 28 |
F.アロンソ | アルピーヌ | 339 | 312 | 27 |
P.ガスリー | アルファタウリ | 338 | 312 | 26 |
Y.角田 | アルファタウリ | 338 | 316 | 22 |
G.ラッセル | メルセデス | 337 | 310 | 27 |
M.シューマッハ | ハース | 337 | 315 | 22 |
S.ベッテル | アストンマーチン | 337 | 315 | 22 |
A.アルボン | ウィリアムズ | 337 | 316 | 21 |
L.ストロール | アストンマーチン | 337 | 316 | 21 |
N.ラティフィ | ウィリアムズ | 336 | 310 | 26 |
V.ボッタス | アルファロメオ | 336 | 311 | 25 |
C.ルクレール | フェラーリ | 336 | 312 | 24 |
C.サインツ | フェラーリ | 336 | 313 | 23 |
D.リカルド | マクラーレン | 334 | 308 | 26 |
L.ノリス | マクラーレン | 334 | 308 | 26 |
並べ替え機能(△)のあるテーブルを使用しています。
リアウィングデザインとDRSデルタ
レッドブルとフェラーリの比較は前回の記事でも話題にしました。
DRSオフ時は、ほとんど変わらないドラッグ量ですが、DRSオン時のデルタが凄く大きい。
レッドブルはフラップ部分(ガーニーも強め)で大きなダウンフォースを作っているのが上の表でわかると思います。
フェラーリは上下方向の面積が広い、エンドプレート側を絞っています。
フラップ面積が小さくデルタも小さくなってしまいます。
レッドブルはスプーン型メインプレートですが、湾曲部分は浅く、前後の頂点が水平な為ドラッグが小さいです。
大きなフラップで空気が剥離しないように、メインプレートにスプーン型を使用します。
DRSデルタは、フラップで発生するドラッグ(ダウンフォース)に等しいと言う事になります。
他のチームのリアウィングを見てみましょう。
高速サーキットでは、メインプレートを平坦にしているチームが多くなっています。
DRSオンにした時のドラッグを減らす事が出来て、オフの時は幅の広いフラップ面積を生かしてダウンフォースを獲得します。
リアウィング全体の面積が小さいチームは、DRSデルタが小さくなります。
レースラップにおいては、ダウンフォースが少なくラップタイムに影響を与えます。
比較的にわかりやすいのは、アストンマーチンでフラップ角度が浅い為デルタが小さいです。
マクラーレンは、DRSオンとオフで最高速が最下位となっており、ドラッグがとにかく多いマシンだという事がわかります。
まとめ
ラップタイムの速いマシンは、最高速で上位になる事は無いと言うのが昨年までの通例でした。
フェラーリは正にそれですが、レッドブルが異様です。
レッドブルはマシン自体のドラッグを極限まで減らしています。
浅い角度のフロントウィングフラップ、曲げないフロアフェンス、直線的なアンダーカットライン。
フラップで大きなダウンフォースを発生させる為、バランスは後ろ寄りになっていてアンダー傾向ではありますが、低速コーナーではレーキ姿勢によってそれを緩和しています。
今までの通例をことごとく覆すレッドブルRB18です。
メルセデスのリアウィング構成は成功したと言えるでしょう。
全体ドラッグ量の割にダウンフォースが少ない為ラップタイムが遅いです。
如何にしてドラッグの少ないフロアでダウンフォースを獲得するかが、F1マシン開発の最重要ポイントだという事は、永遠に変わらないテーマです。
レッドブルはDRS開くとウィングのドラッグ減る
同時にダウンフォースが減るって事にもなるのにポーパシングが出る寸前(たまに出る)までダウンフォースが出ている
この絶妙なバランスはやっぱりニューウェイ様の狙いなんですかね
狙ってやってるんだと思いますが最適解に近い答えに辿り着くには早すぎだと思います。
笑
リアサスペンションの硬さとのバランスなので、硬めにしなければならない高速コーナー主体のサーキットでどうなるか?
そこがポイントでしょうね。
とりあえずバルセロナは重要な局面です。
予選を捨ててレースをとる戦略が正解なのかどうか?
バルセロナは予選で速い車が決勝でも速いように思います。フロントローの勝率が高いですし。または予選で速いことが勝利の条件と言えるかも。どうなるか楽しみです。