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F1のサスペンションは、すべてが機械的に動作しながら路面への追従性に優れ、微振動を消し去っている。

特にサードダンパーなどに分類される油圧やガス制御のヒーブサスペンションは、空力との相関関係によって車高を変化させ、ドラッグの低減やターンイングリップの向上など、様々な効果を発揮している。

2022年の新レギュレーションにおいては、トップチームによる行き過ぎたサスペンションの技術進化を止めるべく油圧サスペンションの禁止が盛り込まれている。

先ずは、英語レギュレーションの翻訳を読んでみよう。

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10.2 スプリングサスペンション

10.2.1 車にはスプリングサスペンションを取り付ける必要があります。

10.2.2 各車軸(前部と後部)のサスペンションシステムは、他の車軸から独立している必要があり、その応答がその車軸の車輪に加えられた荷重の変化からのみ生じるように配置されている必要があります。

10.2.3 サスペンションシステムは以下で構成されています。

a. アウトボードサスペンション:アップライトをスプリングマスに接続するサスペンションメンバー、アップライトとアタッチメント、ホイールアクスルとベアリング、ホイールファスナー、およびホイール全体。

b. インボードサスペンション:ホイールにかかる荷重の変化に対するサスペンションシステムの垂直サスペンショントラベルレスポンスを提供するコンポーネントの機械的配置。

内側のサスペンションはバネ下質量の一部と見なされ、外側のサスペンションはバネ下質量の一部と見なされます。

10.2.4 構成を変更したり、サスペンションシステムの一部の性能に影響を与えたりする可能性のある電動装置は禁止されています。

10.2.5 車が動いている間は、サスペンションシステムを調整することはできません。

10.2.6 各車軸で、サスペンションシステムの状態は、2つのロッカーの回転と角速度によって一意に定義される必要があります。慣性効果とヒステリシス効果は、偶発的なものであれば許容されます。

さらに、次のシステムまたは構成は許可されていません。

a. ロッカーのボディ加速度および/または角加速度に対するサスペンション要素の応答(例:イナーター、マスダンパー、ダンパー内の加速度に敏感なバルブ)

b. サスペンションシステムとブレーキシステムまたはステアリングシステムのカップリング。

さらに、サスペンションジオメトリの運動学によって引き起こされる車高の変動は、前輪の主回転軸とX平面の間で測定した±12°の範囲で2mmを超えてはなりません。適合性は、CADを使用して、合法的な車高で車両を使用し、中心点が[XW = 0、YW = -178、ZW = 0]である球形の外面と直径710mmの剛性セットアップホイールを使用して実証する必要があります。

誤解を避けるために、「アンチダイブ」、「アンチスクワット」、「アンチリフト」などの接地面力の反応に影響を与える固定サスペンションの運動学的形状は許容されます。

c. セルフレベリングシステムまたはフィードバックループを介した、あらゆる形態の車高制御または変更。

d. 第10.4.3(b)条に準拠するパッシブダンピングを除き、トリガーとして機能するトラックイベントに起因するサスペンション特性の変更。

e. 車輪に加えられた負荷の変化に応答して偶発的でない非対称性(例えば、ヒステリシス、時間依存性など)をもたらすであろう、遅延展開および/または任意のサスペンションシステムのための任意の手段を介したエネルギーの貯蔵。

f. 要素の状態を使用して別の要素の応答を変更するような、サスペンション要素間の結合。

g. 異なる状態間でサスペンション要素の特性を変更することを目的としたスプールバルブ、スイッチ、ラチェットなどのシステム。サスペンションダンパーエレメント内のバルブは、唯一の機能が第10.4.3(b)条に準拠しながら、ダンパー力応答の受動的変化を提供することである限り、許容されます。

h. 第10.1.5条で定義されているマスダンパー。

 

10.4 インボードサスペンション

10.4.1 フロントアクスルとリアアクスルのインボードサスペンションは、ホイールごとに1つのロッカーを介してのみ作動させる必要があり、各ロッカーへのアウトボードサスペンション接続は1つだけです。

ロッカーは、バネ付きマスにしっかりと支持され、バネ付きマスの固定軸を中心に回転する機械装置であり、他の相対的な自由度はありません。

10.4.2 サスペンション要素は、ロッカーまたはスプリングマスにのみ接続できます。このような接続はノードとして分類され、次の制限が適用されます。

a. それらは、ノードでの相対回転のみを許可します。

b. 複数の要素が物理的に1つのコンポーネントに結合されたり、物理的に一致するノードを共有したりする場合でも、サスペンション要素が他の要素と並行してのみ機能するように配置する必要があります。

c. 各要素のエンドノード間には、相対的な自由度が1つだけあります。例えば、サスペンションシステムの他の部分のフィードバック信号を得るために、要素の他の部分への機能的接続を使用してはならない。

d. データを提供することを唯一の目的とするセンサーを除いて、他のデバイスがノードに接続したり、ロッカーに作用したりすることはできません。

10.4.3 許可されているサスペンション要素は次のとおりです。

a. スプリング–その主な目的は、ノード間の相対的なたわみ(またはねじれによるトルクの増加)を伴う単調に増加する荷重関係でエネルギーを吸収および解放することです。

複数のばねを直列または並列に組み合わせて、ノード間に単一のばね要素エンティティを生成し、ノードで測定した結果が上記の単調要件に準拠し、設計のどの部分にもこの関係を変更する目的や効果がないことを示します。

流体媒体を使用するばね要素は許可されていません。

b. ダンパー–その主な目的は、ノード間の相対速度の関数として運動方向に反対の力を生成することによってエネルギーを散逸させることです。

第10.2.6条に違反する目的および/または効果のために、大きく非対称な減衰力を利用することは許可されていません。

ダンパーエレメントの機能の一部としてのガススプリングは、キャビテーション防止の目的で、ノード間で測定されたスプリングレートが10N / mmを超えない限り許容されます。

ヒステリシスは、それが偶発的なレベルであり、その主な目的に関連して要素の応答を変更するために固有のヒステリシスを利用する試みがなされない限り、要素で許容されます。

リンクは、ロッカーから離れて取り付けられているサスペンション要素を作動させるために使用できますが、第10.2.6条の要件を回避または破壊するために使用することはできません。

このようなリンクは、リンクメカニズムを実現するために、剛性があり、質量と設計が最小限である必要があります。流体媒体を使用したリンクは許可されていません。

ばね要素とリンクに油圧の禁止

上記のレギュレーションにて、気になる箇所を赤字してみました。

  • ボディ加速度および/または角加速度に対するサスペンション要素の応答(例:イナーター、マスダンパー、ダンパー内の加速度に敏感なバルブ)
  • サスペンションジオメトリの運動学によって引き起こされる車高の変動は、前輪の主回転軸とX平面の間で測定した±12°の範囲で2mmを超えてはなりません。
  • 流体媒体を使用するばね要素は許可されていません。
  • リンクメカニズムを実現するために、剛性があり、質量と設計が最小限である必要があります。流体媒体を使用したリンクは許可されていません。

油圧とよく言いますが実際はガスなども使わている、よって流体媒体と記載されてます。

https://www.youtube.com/watch?v=XKscchk0HSE
https://www.youtube.com/watch?v=XKscchk0HSE

上の画像は、メルセデスが公開したリアサスペンションの構造ですが、左右をリンクするヒーブスプリングとダンパーはこの規定により使用禁止となります。

リンクメカニズムを実現するために、剛性があり、質量と設計が最小限である必要があるとは、アンチロールバーの事を指すでしょう。

 

フロントサスペンションにおいては、左右をリンクする流体媒体が禁止になるので、下の画像の×で示すようにヒーブダンパーやロールダンパーは使用できなくなるはずです。

現在多くのチームで使用されている皿ばねはいいのかな?剛性があると言う解釈になるだろうか?

 

ボディ加速度および/または角加速度に対するサスペンション要素の応答(例:イナーター、マスダンパー、ダンパー内の加速度に敏感なバルブ)の禁止。

これは発生する振動周波数をヒシテリシスで打ち消す周波数を発生させてはならない事、既に現在のF1ではイナーターは使われていないようなので、タイヤの微振動は何で打ち消しているのか?

チーム側から特に抵抗も無いようなので、サスペンションシステム全体で補える何かが存在する。

 

サスペンションジオメトリの運動学によって引き起こされる車高の変動は、前輪の主回転軸とX平面の間で測定した±12°の範囲で2mmを超えてはなりません。

これは、ステリングを切るとフロント車高が下がるPOU設定の事を指す、ステアリングによって前輪舵角が72°なら車高変化は12mm未満にしなければならない。

まとめ

新しいサスペンション規定は、実際のところ技術の後退である。

電子制御アクティブサスペンションの禁止以降、F1チームは様々なシステムを開発してきた。

前後サスペンションのヒーブダンパーを油圧ラインで繋げたり、それが禁止されるとヒーブダンパーをもう一つの油圧システムで制御したり、いたちごっこ状態が続いていた。

 

ヒステリシスを禁止する。

ヒステリシスとは、現在発生したエネルギーを時間差で解放する事、現在のリアヒーブサスペンションは正にこれであり、貯め込んだ荷重エネルギーを解放して車高を戻している。

このような複雑なサスペンションは下位チームも購入する事ができるが、いざ稼働させるとなると膨大なシミュレーター作業が発生する事は否めない。

セッティングも非常に複雑で、ドライバーを困惑させているだろう。

 

2022年からは4つのスプリングとダンパー、前後のアンチロールバー(+固体状ヒーブ?ここは妄想です。)となるので、路面から伝わる感覚がダイレクトになると思います。

そして、トンネルフロアと大きなディフューザーも実装され、ハイレーキやミドルレーキ、なんならレーキセッティング自体が消滅するでしょう。

※本当の答えは2022年2月に公開されます。