2022年から始まった新レギュレーションによって、これまで築き上げてきた様々な空力概念は変わりました。
昨年からの発展型マシンであるメルセデスW13は大苦戦、そのボディ形状とは全く違うレッドブルRB18のチャンピオン獲得。
答えは私たちが見ている状況や結果が証明しています。
大きく違うのはサイドポッドのロング化と広いアンダーカットです。
今回はその部分についての解析になります。
サイドポッドのアンダーカット
フロービズや様々なCFD解析から得られた流れの軌跡を大まかに示してみました。
フロントウィング中央とノーズの下面はディフューザー形状になっています。
フラップの角度に頼る事無くフロントのダウンフォースを多く発生する事が出来ます。
フロントエリアの流れを制御する広くて深いサイドポッドのアンダーカットは直線的になっており、ノーズ下面から上がってくる空気をスムーズに抑える事が出来ます。
マシンサイドの空力
マシンのサイドに発生させるボルテックスの大まかな流れです。
- フロントウィングエンドプレート・ボルテックス
- フロアエッジウィング・ボルテックス
- フロアフェンス・ボルテックス
- ミラー&ステー・ボルテックス
レッドブル場合はこの他に、サイドポッドとフロアの段差で小さなボルテックスを作っています。
マシンサイドを守るエアカーテンになるように、ボルテックスが細かく配置されています。
バージボードとサイドポッドウィングがあった頃のCFDを確認してみましょう。
レッドブルのサイドポッド周りの流れにどことなく似ていると思いませんか?
レッドブルRB18のサイドポッドは、その全体を使ってバージボード&サイドポッドウィングの機能を再現しているのです。
そして、サイドの流れはサイドで使い切る事も重要です。
ディフューザーの大型化とビームウィングがある事は、コークボトルデザインを使ってディフューザー上面に多くの空気を流す必要は無くなり、サイドポッド上面から導くだけで足りてしまう。
フロアエッジボルテックスをその上の様々な流れで守る。
これが最終的にフロアエッジの負圧漏れを守る事に繋がっているのです。
似たようなサイドポッドなアルピーヌ
中団グループで速さを示し続けているアルピーヌA522、当初からレッドブルと似たような概念で作られたマシンです。
アップデートによりサイドポッドインレットを長くするなど、各部のデザインがレッドブルに似たものが多くなっていきました。
鈴鹿ではメルセデスに勝ててしまうぐらいです。
このデザインだけが正解ではありません。
しかし、チャンピオンマシンや中団グループで速いマシンが似ている。
今年、示されている事実です。
昔のウイングカーのようなプレート板によるスライド式サイドスカートは使えませんが、
エアーシール(エアーカーテン)は目に見えないですが使えますね?笑
昨シーズンのハイレーキでもレッドブルは、後方のリヤ隙間をエアーシールするコントロールが得意だったので今シーズンのグラウンドエフェクトカーにも存分に生かされている?
もちろん車体姿勢変化が安定しているからであるのは言うまでも無いですが?
最初と2枚目のフロービズの写真凄いですね。ここまでクッキリ分かるものなのか、と。綺麗に斜め上に流れた空気が辿り着いた先は壁になって高圧でDFも作る(?)し、フロービズの上がり角度を見ると、より延長サイドポッドによる恩恵が強調された気がします。
この2枚目はテストの時のものですが、最近出会いました。
少し疑問だったフロント周りの流れが一気に解決しましたよ。
今のレッドブルだと、モノコックとビィブに繋がるフェンスの高さが上がっているので、半分ぐらいはフェンスに吸い込まれると思う。
そして2本ある流れは、ほぼ1本になるんじゃないかぁっと。
マニアックな考察ありがとうございます笑
となると次回のフロービズが楽しみですね。でももう今年は塗らないか… フロアアップデート後のフロービズ画像がないか、探してみます。
空力は愚かメカニカルなことも知識が無いパンピーですがいつも面白く読ませてもらってます。今年になってグランドエフェクトってものが何なのかぼんやり分かってきました。
ベンチュリー効果を安定して発生させる事。
車高で変わる、速度で変わる。
さぁ、マニアックな世界へようこそ^_^
これを見てると如何にメルセデスが下手を打ったかわかりますね。
逆にここまで戦闘力を上げてきたことがびっくりです。
メルセデスはフロントのアップウオッシュをあの極太ミラーステーで整流するしかなく、その後は気流のままにリアに流れていくように見えます。
だからアメリカでケチをつけられたフロントのアウトウォッシュを、あんなあからさまにやるしかないんでしょうかねえ。
これ、是非ともフェラーリとメルセデスがどのような空気の流れになってるか?もお願いしたいです。
JINさんにはフェラーリがタイヤに対して攻撃性が高い理由と、メルセデスのドラッグが高い理由も判ってしまうんでしょうね。
・流れを曲げる=ドラッグ
・フロントアームのエアロ加工(太い)
・前側にあるドラッグは削りようが無い為、速度の上昇と共に強ドラッグへ
メルセデス:見える通り、真っ直ぐの流れを遮るものが多いフロント、強引な流れの曲げ、太い車体、ルーバー出口で発生する負圧(速い流れ)に引き寄せられる正圧(通常の流れ)、多くの空気を曲げるビームウィング
フェラーリ:フロントウィングとノーズで発生する高いダウンフォース(車体中心から最も離れた位置で発生する為に高い=てこの原理)、上がる流れを強引に下げるアーム、流れを遮るアンダーカット、ディフューザー上面に空気を導くコークボトル→流れのエネルギーが不安定になるフロアエッジ
フェラーリはフロントタイヤを使う事で速く走れる→フロントタイヤが早く摩耗、強いフロントに対し滑らせるように追従するリア→リアタイヤが早く摩耗
レッドブル:タイヤへの負担は前後で同等レベル、ストレートでタイムを稼ぐ為タイヤ横方向負担が少ない
全てはバランスです。
開幕時からこの事は言っていますが、油圧サスによるレーキ変化が出来なくなったので、基本として平均的にバランスされている事が重要です。
返信コメがいつの間にか追加されてました(笑)
レッドブルはフロントから一貫して空気の流れが効率的ですね。
今年からの空力レギュレーションが確定する前に、グラウンドエフェクトになるならロードラッグだ。とニューウェイが言っていた事を思い出しました。
プレシーズンテストでRB18がお披露目されたとき。
どっち着かずなフォルムに見え、ニューウェイ先生今回は外しちゃったのかなぁ、、などと思ったもんですが、まさかこんなに強いとは!って感じですね。
RB18のリヤサスが話題になっていますが管理人様はどう見ますか?直線になったら沈み込んでリヤの車高が下がってストレートスピードが激速になるとかなんとか。
同じような話は昨年のブラジルGPでハミルトン車にも言われていた記憶があるのですが、レッドブルは今年のレギュレーションの機械式サスでそれを成し遂げたということでしょうか。
考察していただくと興味深いです。
丁度よくリアサス記事を書いていました。
リアが下がるのは全てのマシンで共通、何キロの時点で目いっぱい下がるのか?
またベンチュリートンネルにおいてディフューザーストールはバウンシングのきっかけになるので絶対してはいけません。
最終的にドラッグの大部分はマシン後方に跳ね上がる乱流の大きさで決まります。
レッドブルはフロア中央のフラットエリアが広いですよね、車高が目いっぱい下がったらフラットエリアはストールします。
ディフューザーの中央部分だけ跳ね上がる流れが減ります。
それによって他よりもドラッグが減っていると考えれます。
それをコントロールできるリアサスペンションがある事も重要です。