2021年F1は8戦を消化、レッドブル・ホンダは5勝をマーク、4連勝と波に乗っています。

ホンダは燃焼コンセプトを大きく変更、圧縮比を上げてピストンからクランクシャフトへのパワーをアップ。

減少する排気エネルギーに最適化されたタービン・MGU-H・コンプレッサーで全体的なエネルギー効率をアップさせた。

エンジンパワーと長いストレートでも切れないMGU-Kサポートが強みとなった今年のパワーユニットです。

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開幕直後のES&CEトラブル

  • ES(ハイブリッド用バッテリー)
  • CE(回生エネルギー用コンピューター)

開幕戦バーレーンGPでは、土曜日予選前にガスリー、予選後にペレスのES&CEを交換、共にデータの異常が見られたからだと言う。

これが原因とは言えないが、ペレスは決勝のフォーメーションラップでまさかのシャットダウン。

2戦目イモラで、金曜日の初日から角田のES&CEは、2基目が使われていた。

 

フェルスタッペンのES&CEは、運良くトラブルには見舞われず使われ続けている。それ自体に不具合があった訳では無く、他の部分に起因するものだという事になる。

オイルのアップグレード

6戦目アゼルバイジャンGPより、エクソンモービルの新しいオイルが使われている。

化粧品業界で使われている天然成分を配合、ナノテクロジーを追求したものになる。

エクソンモービルのグローバル・モータースポーツ・テクノロジー・マネージャーのトメック・ヤング氏はこう語っている。

「バイオ成分を取り入れた、低灰分かつ高温かつ低摩擦のエンジンオイルを開発するという構想は、数年前には考えられなかったものだ。しかしチーム全体の努力、そしてホンダとレッドブルのコラボレーションのおかげで、今年ついに実現した。」

8年前からの構想の実現、フリクションロスの減少、エンジン内部の摩擦熱の低下、高モードの使用時間増加に繋がる。

 

燃料はHGPU(先進パワーユニットエネルギー研究所)が関与している事が明らかにされているが、オイルもその可能性が高い。

日本の化粧品業界のナノテクロジー研究は古く、世界中からその効果を認められている。その分かなり高価なものですが・・。

信頼性に関する変更

ホンダは2基目のパワーユニットコンポーネント(ICE,TC,MGU-H,MGU-K)のどれかに、信頼性に関する何らかの変更を加えたものを投入している。

ホンダの田辺氏は、TneRaceにこう語っている。

「私たちは、信頼性、コスト上の理由、およびロジスティクスのためにのみ変更を許可されています。最初に非常に詳細な変更をFIAに提出する必要があり、FIAはそれらの変更を承認しました。」

「FIAはすべてのドキュメントを他のPUメーカーに配布しています。したがって、単一部品の仕様を変更するには、他の大手メーカーからの承認が必要です。」

「[現在、このような変更について]このような詳細な調査を行っているのは、かなり前に、一部のチームが信頼性を向上させるために変更を加えてパフォーマンスを向上させたためです。」

「そのため、パフォーマンスの変更には細心の注意を払っています。シーズン中のパフォーマンスを向上させることはできません。

「それがその疑惑に対する私の答えです。」

この変更は事前にFIAや他メーカーに対して、承認を得たものでレギュレーション上、許される変更になる。

 

2基目が投入された2戦目であるシュタイアーマルクGPの金曜日、FP2を出走できなかったガスリーは、データに異常が見られ大事をとってMGU-Kを交換する事態となっている。

年間に許される3基目となった。

なぜ?ES&CEにトラブルが発生したか

  • 仮説1:振動問題

ES&CEはモノコックの底に取り付けられている、F1マシンはあらゆる振動と戦っている、とりわけエンジンが発生する振動は大きく、燃焼モードの変更により変化する。

高モードを使った時に発生する周波数が、他の物体がもつ固有周波数と共振し、ダメージを与えた可能性。

  • 仮説2:MGU-K

ガスリーの2基目MGU-Kがトラブルに見舞われた事からも、ESとMGU-Kの間に発生するエネルギー(電圧など)要因、その周波数や使い方に何らかの不具合がある可能性。

MGU-Kへのパワー監視は直流状態で行われる、インバーターを通る前の計測であり、交流に変換される際の損失をレギュレーションでは0.95の固定比となっている。

MGU-Kに送る事ができる電力量(仕事量)は、最大で126kwとなるが、単純にその最大エネルギーを受け取る、もしくはES側に送る事に不具合がありダメージを与えた可能性。

 

どちらにしても2戦目以降は、そのモードの使用をやめた事で、ES&CEのトラブルを回避している。

1基目と2基目の差はあるか?

角田はこの信頼性の変更が加えらえたパワーユニットコンポーネント(ICE,TC,MGU-H,MGU-K)を手にしていない。

2戦目イモラの予選Q1でクラッシュ、大事をとってパワーユニットに関する全てのものが新規投入されている。最後尾スタートなので、グリッドペナルティを受けるES&CEの3基目を投入して、後半戦分を確保出来ている。

ガスリーと角田の加速勝負を比較してみた。

ポールリカールのホームストレート

TSU GEAR 2 3 4 5 6 7 8 Total
RPM 12,118 11,945 11,704 11,359 11,585 11,590 11,522
SPD 133 156 185 221 252 287 320
TIME 0.000 0.467 0.700 0.900 1.266 1.900 4.334 9.567
GAS GEAR 3 3 4 5 6 7 8 Total
RPM 10,823 12,155 11,988 11,669 11,535 11,615 11,520
SPD 133 159 192 224 246 287 320
TIME 0.000 0.500 0.783 0.934 0.933 1.952 4.066 9.168

Q1のホームストレート、フルスロットルになり同じ速度からのデータ、各ギアの最高回転数、8速は角田の最高速に合わせてあります。

レッドブルリンクのターン1~3のストレート

TSU GEAR 4 4 5 6 7 8 Total
RPM 10,315 12557 11,231 11,582 11,666 11,371
SPD 159 193 219 258 284 315
TIME 0.000 0.900 0.700 1.450 1.483 3.469 8.002
GAS GEAR 4 4 5 6 7 8 Total
RPM 10,441 11408 11,573 11,483 11,596 11,298
SPD 159 182 219 253 284 315
TIME 0.000 0.400 1.200 1.134 1.733 3.033 7.500

角田はルクレールのトウがあるQ2、ガスリーはボッタスのトウがあるQ3、角田の加速が鈍ったと思われる315km/h時点に合わせました。

 

この二つのデータは、そのままタイム差になるものでは無く、あくまでも加速にかかった時間になります。

明らかにガスリーの方の加速が優れています。

ウィングドラッグレベルの違いはあるだろうけど、この2戦においてはほぼ同じに見えました。

 

ここ数戦、何となく角田のストレートスピードが遅い事が気になっていましたが、このような違いがあるのです。

彼のタイムを見る時は、そのあたりも考慮してあげましょう。

 

 

2基目で、高モードが使用されているのは確かなようです。

単一エンジンマップ規制(メーカー毎に全マシン同様なもの)があるから、エンジン自体の制御は変わらないはず、そうなると信頼性に関わるアップデートはERS系って事になるかな?

MGU-Kのフルパワー使うと危ない、2基目でもガスリーのは異常検知、こんな感じかも。

 

急ピッチで作り上げられた新骨格エンジン、エネルギー管理が進化したERS、どちらのモードも実戦の中で進化している。

 

メルセデスを超えたのか?

シルバーストン・スパ・モンツァで勝てたら、そう言っても嘘では無いだろう。