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メルセデスW13はイギリスGPで大型アップデートを持ち込んでいました。

主な変更点は、フロントサスペンションアームの取り付け部分とフロアサイドに見られました。

 

オーストリアGPではフロアボトムも確認できており、メルセデスがどのような改善してきたか分析していきます。

また、2強との速さの違いをテレメトリーデータにて比較します。

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メルセデスW13:フロアとフロアサイド

初期のフロアとオーストリアGPで明らかになったフロアの比較です。

初期ではかなり狭いキックポイントでしたが、大きく広がっているのがわかります。

トンネルで停滞する空気を流れるように変更しているという事になります。

 

角度の違うフロア画像です。

 

1はディフューザーへの主な流れ、2のキックポイントの停滞を逃がすところには金属ストレーキがあります。

3はフェンス裏のトンネルから逃がす流れで、マクラーレンのようにディフューザー形状になっています。

中央のセンターエリアは幅を広げるように盛った部分があるのがわかります。

 

 

レッドブルやマクラーレンのフロアにあるようなソリューションが使われています。

ポーパシング問題を完全に解決できた訳ではありませんが、安定性は増加しています。

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まるで孤島のようなセンターエリア、トンネルの深さは業界随一です。

 

オーストリアでは低い車高を維持するための硬いサスペンションで限界領域のフィードバックが不足し、二人のドライバーが予選でクラッシュしています。

オーストリアGP予選テレメトリー比較

フェルスタッペン、ルクレール、ラッセルの比較です。

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ターン4手前の最高速度は、フェルスタッペン322、ルクレール318、ラッセル316です。

DRSの無いターン9手前ではフェルスタッペン303、ルクレール302、ラッセル302となっています。

 

レッドブルのリアウィングはDRSデルタが多いですが、フェラーリも同じようなフラップを採用して差を減らしています。

ルクレールはブレーキングから向きを変えるまでのターンインが圧倒的、フェルスタッペンを簡単に抜けた理由であり、ターンアウトでリアタイヤをケアできた理由でもあります。(スロットルオン時にステア操作が少ない)

 

ラッセルは低速ターンの度に大きく遅れますが、ターン1のような中速ターンは速いです。

DRSデルタの少ないリアウィングの為ストレートでは遅れます、言い換えればウィング以外のドラッグが多いと言う事になります。

 

6,7,8の高速ターン区間では、ルクレール>フェルスタッペン>ラッセルとなっています。

フェルスタッペンがポールを獲れた理由は、DRSデルタによるストレートスピードと最終ターン10の素晴らしいドライビングによるところが大きい。

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ターン8の立ち上がりに注目してもらいたいのですが、ルクレールは早めに一気に減速して立ち上がり重視、フェルスタッペンはアベレージ重視、ラッセルは奥まで行ってから曲がっています。

この加速区間だけを見れば3台はほぼ同一線上にあります。

パワーとドラッグのトレードオフがほぼ同じだと言う事です。

 

高地によるドラッグ減少率は無視できないが、ターンで使えるフロントエンドのダウンフォースが多かったのはフェラーリです。

リアリミテッドだからこそ、フロントエンドの強さが際立つ、過去何年もの間ハイレーキのレッドブルが強い理由です。

メルセデスW13の弱点

2強に遅れていると思われる部分を箇条書きにします。

  • リアウィング(DRSデルタが少ない)
  • 全体的なドラッグ
  • 低速ターン
  • 車高に伴うフロア機能の低下
  • リアサスペンションのストローク

大まかにこのような感じかと思います。

 

リア車高を上げれない理由は、機械的にサスペンションアームがディフィーザーに当たってしまうからと考えています。

これを直すには、ディフィーザーの容量が減る、フロア空気量とのバランス、フロアトンネルの縮小、など様々な相互作用を考える必要があり簡単ではありません。

 

フロアサイドから侵入する高圧空気への対処も重要で、フェンスの排出渦とフロアサイドシールボルテックスとの兼ね合い、サイドポッド後方が無いチームには難しい問題となっています。

メルセデスが今後活躍できそうなサーキット

車高を下げる事が出来るサーキット=バンプや急な起伏が少ない、ストレートが短い

  • R12 ポールリカール
  • R13 ハンガロリンク
  • R18 鈴鹿
  • R22 ヤスマリーナ

以上の4つぐらいかな?

今後は細かいパフォーマンスアップデートをするという話ですので、2強の後ろのポジションは揺るがないでしょう。

 

真っ向勝負で2強に勝つのは無理です。

リタイアや何らかの不利があった時に、チャンスのあるポジションにいる事が重要となるでしょう。