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初開催となったマイアミGPは、予選はルクレールがポールポジション、決勝はフェルスタッペンが優勝した。

速いタイムで1周走れるだけでは勝てない、前戦イモラと同様な状況になりました。

 

フェラーリとレッドブルは、どこでどのように速かったのか確認すると共に、解析していきます。

※F1 Analysisというシンプルな題名ですが、Top Gapシリーズに代わり今後不定期で書いていこうと思っています。

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ルクレールとフェルスタッペンの予選タイム差0.195秒

予選のフェラーリの速さはコーナーです。

レッドブルより、T4~T8で約0.22秒速い、T11~T16で約0.24秒速い。

速度が遅くなるコーナーで、速度を下げずに走る事が一番タイムを稼げます。

https://www.formulapassion.it/opinioni/federico-albano

レッドブルはストレートが速いですが、大体各ストレートで0.1秒速い程度です。

  • 最高速度をタイム換算すると、1km/hの差で約0.01秒タイムを稼げると覚えておくといいでしょう。

 

 

レッドブルはDRSを開けると異様にストレートが伸びるリアウィングを使っています。

メインプレートよりもフラップを大きくしてDRS効果を上げる、バトルでオーバーテイク出来るマシンになっています。

DRSが無い時のストレートはフェラーリより少し速い程度、レースラップではダウンフォースによってリアタイヤを守れるようになっています。

フェルスタッペンとルクレールのファーステストタイム差0.187秒

決勝レース、1スティント目のC3ミディアムタイヤがポイントでした。

フェルスタッペンは奇数グリッドの路面状況を生かして、サインツを攻略するとルクレールのペースに付いていきました。

 

ルクレールはリードを築くと共に、ストレートでDRSを使われないように逃げようとします。

たったの8周で右フロントタイヤに異常が発生、ターン4~ターン8の中高速コーナーで使いすぎていたようです。

 

フェルスタッペンはDRSを使って詰め寄り、右フロントを大きく使うターン17で真後ろにつくと、ターン1でインを突いてオーバーテイクしていきました。

 

ミディアムのロングランではフェルスタッペンが大きくリードを広げています。

ハードに替えた2スティント目、フェルスタッペンは後ろを見ながらペースコントロール、7,8秒差が固定されたようにレースが進んでいました。

 

ファーステストラップの比較を見てみましょう。

フェラーリが速いはずのターン4~ターン8を抜けたところで差はありません。

ルクレールはターン11までDRSがあり、ストレートスピードが伸びています。(エネルギーも多く使っている)

ターン11手前で0.246秒速いルクレールですが、ターン16を抜けると0.219秒も遅れています。

 

予選では0.24秒速かったところで、0.465秒もフェルスタッペンに負けています。

レースでは、フェルスタッペンの方が低速コーナーのボトムスピードが高く速かったと言う事です。

 

非常に珍しい事ですが、フェルスタッペンの駆るRB18は緩やかにポーパシングしていました。

リア車高が下がり、フロアのキックポイントで空気が詰まれば、どんなマシンでもポーパシングします。

車高が下がってもポーパシングしないという事は、キックポイントが広すぎてグランドエフェクト効果が低い事を意味します。

 

 

フェラーリはトラクションゾーンで離される事が多かった、そしてポーパシングはほぼ無かった。

ミディアムタイヤへの攻撃性、低速コーナーのメカニカルグリップ差などから、フェラーリはサスが硬い、レッドブルはサスが柔らかいと言う事がわかります。

 

 

レッドブルがイモラとマイアミで見せた、低速コーナーの速さとストレートの速さの組み合わせ。

単純にダウンフォースで考えれば、ありえない組み合わせなんですよね。

  • 低速域で効果があるダウンフォースは、表面的な圧力が高くドラッグになるダウンフォースと言うのが定説です。

レッドブルのレーキ姿勢が低速ダウンフォースを増加

ストレートが速い⇒ドラッグが少ない⇒全体ダウンフォースが低いとなるのですが、100km/hぐらいの低速域だとレッドブルはレーキ角が現れて、ドラッグを伴うダウンフォースが増加します。(前傾姿勢によるマシン全体の表面圧力が増加)

ターン1の90km/hぐらいのターンイン時、ダウンフォースが減少して、縮まっていたサスペンションが戻り、普通ならフェラーリのようにフロア先端が路面から離れます。

レッドブルはどうやっているのか?フロントフロアの路面との距離が常に一定な位置にあります。

 

レッドブルはこのレーキ姿勢で、フロントウィングが路面に近づく、フロア先端部分が路面から離れない、これによってグラウンドエフェクト効果がフェラーリより高いです。

昨年の2.0°には程遠い、約0.3°のレーキ角ですが効果がある事は確かです。

 

このレーキによる若干のダウンフォース増加と柔らかいサスペンションによるメカニカルグリップが、レッドブルの低速コーナーの速さを作っていました。

  • 200km/h以上の高速コーナーでは、リアダウンフォースの荷重量が多く、リア車高が上がる事はありません。

まとめ

非常に対照的なマシンとセッティングによって勝敗が決したマイアミGP。

 

フェラーリはイモラで、ポーパシングによってターン2のブレーキングゾーンの不利がありました。

今回はリアサスペンションを硬くする事によって車高の下がりを抑制したようですが、それが思いっきり裏目に出てしまった印象です。

 

レッドブルはイモラで見つけたタイヤに優しいセッティングを推し進め、ストレートと低速コーナーの多いマイアミで有利にたっていますが、これはコース特性によるところが大きいでしょう。

 

フェラーリは前戦まで柔らかいリアサスペンションでポーパシングさせながらも、圧倒的なトラクションゾーンの強さがありましたが、マイアミでは間違った方向に進んでしまった。

 

次回からはこの部分を修正してくるはず、バルセロナは中高速コーナーが多くストレートが少ない為フェラーリが有利です。

モナコはフロントの強さが必要なので、こちらもフェラーリが有利です。

 

レッドブルが更なるアップデートでどんなマシンにしてくるのか?

非常に楽しみなポイントとなっています。

 

 

F1はマシン開発競争である。

そして毎戦のように変わっていくマシンを理解して、速く走らせる事が出来るドライバーのみが勝てる世界です。

マシンの進化や速さに繋がる要素を知らなければ、F1の半分も楽しめていないと私は思っています。

 

新規定は非常に奥が深くて楽しい、そんな2022シーズンです。