2022年シーズンのF1を大絶賛中のレッドブルRB18、リアダウンフォースを発生させるリアウィングとビームウィングの組み合わせが多彩です。
今年から復活したビームウィングは、ウィングとしての効果とディフューザーの効果を増加・安定させる事が出来る。
ディフューザーはフロアダウンフォースに重要なところ、ビームウィングの角度を変えられるレッドブルはサーキット毎に最適なダウンフォースを設定する事が出来ます。
※初投稿日2022.6.27→更新日2022.9.3
レッドブルのリアウィングは3種類
レッドブルのリアウィングは、ロー・ミディアム・ハイの3種類となっています。
メインプレートはエンドプレート側を高い位置まで上げず、DRSで開くフラップ面積を大きくしている。
これによりDRSを開いた時のドラッグ減少率が増加、最高速度を稼ぐ事が出来ている。
③のハイダウンフォース仕様が強すぎると感じる事が多いです。(アンダー傾向がより一層強くなる)
レッドブルのビームウィングは3種類+bタイプ
レッドブルのビームウィングは上下段2枚と下段1枚があり、ロー・ミディアム・ハイの3種類となっています。
第13戦ハンガリーで追加されたハイダウンフォース仕様、③の代替え版だと思われます。
レッドブルの場合、ビームウィングの下段がディフューザーの効率を上げるものですが、①のような角度が浅いもので補えるようです。
若干ディフューザーの効率は下がるはずですが・・関係なさそうな挙動を見せる。
他チームのビームウィング
フェラーリとメルセデスのビームウィングは似たような2枚構造です。
一度替えたらサーキット毎に変更するような事はほぼ無い、フェラーリはカナダで上部が小さくなったものを使っていました。
レッドブルのリアウィングとビームウィングの組み合わせ
これまでの組み合わせ一覧です。
R | GP | サーキット | Rear | Beam |
---|---|---|---|---|
1 | BHR | バーレーン | 2 | 3 |
2 | SAU | ジェッダ市街地 | 1 | 2 |
3 | AUS | アルバート・パーク | 2 | 2 |
4 | ITA | イモラ | 2 | 2 |
5 | USA | マイアミ | 1 | 2 |
6 | ESP | カタロニア | 3 | 3 |
7 | MCO | モンテカルロ市街地 | 3 | 3 |
8 | AZE | バクー市街地 | 1 | 1 |
9 | CAN | ジル・ヴィルヌーブ | 2 | 1 |
10 | GBR | シルバーストン | 2 | 1 |
11 | AUT | レッドブルリンク | 2 | 1 |
12 | FRA | ポール・リカール | 2 | 2 |
13 | HUN | ハンガロリンク | 3 | 3b |
14 | BEL | スパ・フランコルシャン | 1 | 1 |
15 | NLD | ザンドフォールト | 2 | 3b |
16 | ITA | モンツァ | 2 | 1 |
17 | SGP | マリーナ・ベイ | 3 | 3b |
18 | JPN | 鈴鹿サーキット | 2 | 2 |
19 | USA | COTA | 2 | 2 |
20 | MEX | エルマノス | 3 | 2 |
21 | BRA | インテルラゴス | 2 | 3b |
22 | ARE | ヤス・マリーナ | 2 | 2 |
ストレートの長さ・DRSの開始位置・ターン種類の割合で組み合わせが変わっています。
ジェッタとマイアミに共通するのはロングストレートとタイムに影響する中高速ターンなので、リアウィングはロー、ビームウィングはミディアムと選択しているようです。
モントリオールは低速ターンとストレート、低速ターンでは車高が上がりディフューザーの効率とフロアダウンフォースが減少、それならリアウィングはミディアムでダウンフォースを稼ごうと言う考え方です。
レッドブルの場合、低速ターンで約0.3°のレーキ姿勢によるダウンフォース増加もあるから出来るのでしょうけどね。
ハンガロリンクでは、③+③bのハイダウンフォース仕様を使いましたが、バランスがリアに思いっきり寄ってしまい、アンダーステアが強くなり予選では苦戦しました。
決勝ではリアタイヤを守る事でペースアップ出来ています。
まとめ
レッドブルのリアウィングとビームウィングの組み合わせは面白い。
フラップ角度調整があったリアウィングを思い出させるものがあります。
バウンシングをほとんどさせないレッドブルのリア、ダウンフォースの強さに気を使い、サスペンションのトラベル量を調整、車高を絶妙にコントロールしているからこそ出来る事です。
依然として予選ではフロントの強さがあるフェラーリの一発タイムには負けてしまいますが、今年のタイヤは横方向に使えば使うほどグリップレベルが減少してしまう。
レースペースに分があるストレートの強さと弱アンダーマシンが安定性と速さを両立させています。
それらの絶妙なバランスをとる事が出来るリアウィングとビームウィングとなるでしょう。
いつも分かりやすい解説、ありがとうございます。
限られた時間の中で、リアウィングとビームウィングの組み合わせでまとめてくるとは、シンプル且つ、実戦的ですね。
また、18インチタイヤの特性(使い方)含め、ペレスには合っているんですね。
フェルスタッペンはもっと曲げたいだろうけど…。
リアウイングが数種類あるのは判りましたが、ビームウイングが3種類もありましたか。
組み合わせ次第で9種類のセッティングが出来るだけに、リアの自由度が高い。
今シーズンのマシンは、初期こそフェラーリの完成度の高さに驚きましたが、1戦終えるごとにレッドブルの開発の凄さをまじまじと見せつけられてる感じがします。
ビームウイングってBermなんですね!
ずっとBEAMだと思ってましたw
そんなはずはない・・・スペルミスですm(_ _)m
これ、アルファタウリは運用できるんだろうかw
無理です。
エンジニアリングレベルが違いすぎて、機能できないでしょうね。
風洞やCFDやシミュレータの相関が必要です。
ビームウィングがディフューザーやフロアダウンフォースに与える影響を考慮しなければなりません。
トンネルの空気量に頼っているフロアはその影響が大きくなるでしょう。
今1種類しかないチームでも、モンツァあたりなら薄いビームウィングは使ってきそうですね。
リアウィングは制限は緩和でビームウィングは規制強化・・・。
流石f1村ですね。シーズン中の規制変更は止めて頂きたい
なぜかを考えましょう。
リアウィングの荷重テストをする時、支えているのはビームウィングです。
てこの原理で考えればビームウィングにはかなりの荷重が加わりますがほぼ変形しません、元から強固なものなので荷重要件が増えても意味は無いです。
なぜリアウィングの荷重変形量が増えたのか?これは使用頻度のヤレを許容するためです。
新品を用意する予算が無いためマイレージを増やしたにすぎません。
いつも楽しく読ませて頂いています。
Albert FabregaさんのTwitterによると、レッドブルはエンジンカウルのアップデートを入れてくるようですが、写真で見る限りフェラーリのサイドポッドのように下部を絞り込んだ、結構激しいデザインに見えます。素人から見ると、急な気流の剥離が起きてポーパシング等が増えそうに思うのですが、どのような効果を狙っているのでしょうか?
フェラーリとは全く違います。
ディフューザー上面の中央へ空気を導く為のアップデートです。
ビームウィングとディフューザーの効率を上げる。
昨年やっていたようなデザインの今年バージョンな感じですね。
バーレーン 2(ミディアム) rear 3 beam
バーレーンはリア=ミディアム確認しました。ありがとうございます。
夏休み前にアストンマーチンが『夏休み明けにうちのリアウイングをどこもパクって来なかったら正直驚く』みたいなコメント出してましたけど、今のところ、どこもパクってきてませんよね。
各チームあれは効果薄いと言う判断なのでしょうか。
ハイダウンフォースを必要とするサーキットが残り少ない(シンガポールとメキシコ)
研究開発費用などを考えたら、費用対効果と言う面で選択できないのではないでしょうか?
L/D値の小さな改善しか見込めないはずなので、それよりもやるべき事の方が多いのが現状(軽量化など)