
2021年から段階的に導入されていた空力実験ハンデキャップですが、2022年よりその割合が厳しくなります。
2020年までは風洞とCFDをチーム側で時間割り当てを変える事が出来ていました。
2021年からは、風洞は何時間、CFDは何時間と決められた運用に変わっています。
それらを踏まえて、パワーユニット凍結期限と共に確認しておこうと思います。
空力実験ハンデキャップ
2020年までは風洞実時間が週25時間、とある計算式でCFD時間をマイナスするとなっていました。
2021年から風洞は(320回・80時間)/8週間になっています。
夏休みを含む10週間など8週間ではない期間もありますが、概ね8週間×6回の空力実験期間(ATP)が設けられます。
CFDはMAUh(メガ・アロケーション・ユニット時間)で管理され(2000モデル・6時間)/8週間です。
週単位で管理しなければならなかった運用時間を、8週の間に自由に組み込めるようになっています。
この時間設定を100%使えるのは、コンストラクターズ7位のチームになります。
順位 | 2022~25 | 風洞回数 | 風洞時間 | 3Dモデル数 | CFD時間 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 70.0% | 224 | 56 | 1400 | 4.2 |
2 | 75.0% | 240 | 60 | 1500 | 4.5 |
3 | 80.0% | 256 | 64 | 1600 | 4.8 |
4 | 85.0% | 272 | 68 | 1700 | 5.1 |
5 | 90.0% | 288 | 72 | 1800 | 5.4 |
6 | 95.0% | 304 | 76 | 1900 | 5.7 |
7 | 100.0% | 320 | 80 | 2000 | 6.0 |
8 | 105.0% | 336 | 84 | 2100 | 6.3 |
9 | 110.0% | 352 | 88 | 2200 | 6.6 |
10 | 115.0% | 368 | 92 | 2300 | 6.9 |
NEW | 115.0% | 368 | 92 | 2300 | 6.9 |
- 前年最終順位を元に、1月1日~6月30日までの使用時間が決められる。
- 6月30日時点の順位により、7月1日~12月31日の使用時間が決められる。
パワーユニット開発凍結期限
PUエレメント | 期限 |
---|---|
ICE | 2022年3月1日 |
TC | 2022年3月1日 |
MGU-H | 2022年3月1日 |
エキゾースト | 2022年3月1日 |
燃料 | 2022年3月1日 |
エンジンオイル | 2022年3月1日 |
PUエレメント | 期限 |
MGU-K | 2022年9月1日 |
ES | 2022年9月1日 |
CE | 2022年9月1日 |
2021年最終戦スペックから1回のみのスペックアップが許可されます。
この期限までにアップグレードできなければ、2021年最終戦スペックを2025年の最終戦まで使わなければならない。
まとめ
CFDで使う3Dモデル数まで決まっていたとは知らなかった。
基本的に、CFD→(シミュレーター)→風洞→シミュレーター→実走、と言う流れでテストされています。
下位チームの予算では現状の風洞100%をフルで使えていたとは思えない、増加されても使い切れないような気がします。
トップ予算チーム、メルセデス・レッドブル・フェラーリあたりは影響を受けるだろう。
差が表れるのは2022年後半戦以降、2023年開幕でどのぐらい差がなくなっているかがポイント。
トップチームの予算を抑えて、空力実験時間を抑えて、速さを抑える。
決勝レースの1/3で、25秒とか差がついてしまう現状が無くなっていけば、全体として面白くなるかもみたいな対策です。
パワーユニットは、凍結期限後も馬力アップに関与しない信頼性アップは許される。
デザインを変えない材質の変更などですが、それで使える時間が長くなったらパワーアップじゃないのか?っと突っ込みたくなるような措置です。
2021年はホンダがタービン、メルセデスがエンジン、ルノーがエキゾーストで信頼性アップグレードを行っているらしい。
トップチームの速さが減少、下位チームの速さが増加、本当にそんな状態を作り出せるか疑問です。
予算制限がまだまだ足りないんですよね。
2年後ぐらいに、3チームのチャンピオン争いとかになれば、成功と言えるだろう。
上位チームの開発リソースは、エアロが減る分サスペンション等のビークルダイナミクスとかパーツ軽量化のための材料や構造開発に回すのでしょうかね。
材質は何年も前から規制が厳しく軽量化は難しそう。
足回りは、何かやりようがあるのか?
規定を見る限りは穴が無い。
K/ES/CEが9/1までのアップグレード期限ですが、ホンダはこの時期まで開発サポートする契約あるんですかね?
ESなんかは2021年シーズン途中に投入した新型がかなり良さそうだったので、本来なら開幕はそのままでいって9/1期限ギリギリまで開発したほうが良いように思える。
信頼性アップグレード・・・2021年にボッタス車で実験して強化に成功したように、今後数年間で最大パワーで使える期間が延びていくとしたらその向上が望み薄なレッドブルPUは年々不利になってしまいますね。
2.4L V8は長いこと開発凍結して、その結果最終的にはエンジンメーカーの差異がだいぶ少なくなった印象だったので、同じようになってほしいですね。
ホンダ新骨格PUのように吸排気バルブ挟み角度変更や気筒間ボアピッチ短縮と言った寸法に関する項目も、一旦仕様が決まってしまうと
今回を最後に2025年までの4年間は一切変更出来ないですね。
ホンダ(レッドブルパワートレインズ)、メルセデスは別としてフェラーリ、ルノーの新型PU(セパレート式)の御披露目が楽しみです。
ルノーがどうなるのか?
フェラーリのタービンとコンプレッサーの近接は、単独となるのか?楽しみですね。
ルノーPUがセパレート式になれば、アルピーヌの巨大インダクションポッドがスッキリとスマートになってくれると思ってしまうのは私だけでしょうか?笑
フェラーリがセパレート式でないタイプでもインダクションポッドがメルセデスの様にスマートでスリムなので一概に言えないですが?
メルセデスPUを使うマクラーレンもインダクションポッドボリューム大きめですが、大型熱交換器によるセンタークーリングを採用している事が理由だとハッキリ分かります。
インダクションポッドの形状だけでも全10チームの個性が表れて違いが出てくる?
アルファロメオのエアー導入口(コンプレッサー用と熱交換器用)の分割の形が独特で一番好きです。
仮の話ですが、チームがパワーユニットメーカーを変更したいとなると、それは可能なのでしょうか?
出来ますよ、ルノーなんてどうぞうどうぞでしょうね。
「隣の芝生は青く見える」のことわざ?では無いですが、
現在使っているPUサプライヤーを他のサプライヤーに切り換えたい?
願望は、全てのカスタマーチームには多少あるでしょうね。
でもサプライヤーを変更したら急激に成績上がるわけではないので、
よほど特別な事情が無い限りサプライヤー変更するよりも現状維持で継続する方がリスクが少ない。
少なくとも次期PUに変わる2026年まで全チームのサプライヤー変更は無いと思っています。新しいサプライヤーも複数参戦するので?
ホンダPUのレッドブルやメルセデスPUのマクラーレンも共に以前ルノーPUでも成績良かった(ルノーワークスをも凌ぐ?)ですが、
この2チームだけは例外ですね。笑
ルノーPUを使いたいと手を挙げるカスタマーチームが出て来るには、
実質ルノーワークスであるアルピーヌが、メルセデスやレッドブルホンダのようにトップ争い出来るだけの活躍がないと無理ですね?
その前にフェラーリやマクラーレンを追い越さないといけない。
アロンソが久しぶりの優勝もしくはポールポジション獲得すればカスタマー希望が殺到する?
一つ勝利を上げたオコンの立場は・・・
アルピーヌのマシンは昨シーズンにおいて
コースによって得意不得意がはっきりしてましたし
ルノーPU自体はエキゾーストの不具合があったにせよ
優劣としてはフェラーリPUとさほど変わらない位置にあると思われます。
なお、ルノーは「今までのPUのベースは2019年のもの、2022年に新スペックを投入する」と言っていて
新スペックによってどの辺りまで上がってくるか未知数です。
あと、ふと記事を見かけて思い出したのですが、燃料規定が地味に変わりますね。
E10(ガソリン90%+エタノール10%)になるのですが
これによって約20馬力の損失が生じるといわれ、各メーカーは対応に取り組んでるそうです。
雨のハンガリーGPで、アルピーヌのオコンが初優勝した時に大先輩(いやっ師匠かも?)アロンソが祝福していたシーンが印象的でした。
アロンソ&オコンの師弟コンビも悪くないですね。
1991年フェラーリのプロスト&アレジの師弟コンビを彷彿とします。
ルノー(アルピーヌ)非常勤取締役プロストが、
アロンソ&オコンのコンビに太鼓判押せば本物?
昨年に引退したライコネンもジョビナッツィとアルファロメオで師弟コンビ?で仲良しでした。
アストンマーチンのベッテル&ストロールの師弟コンビは不明?