F1ならずともレーシングにおいてタイヤをうまく使うことは、勝つために絶対に必要な要素です。
タイヤメーカーによる開発競争は劇的にタイムを短縮していきますが、コストやチーム間の差が大きくなるためシリーズ戦においては、世界的にワンメイク主体となっている。
2021年のF1は、ピレリが5種類のコンパウンドを用意します。各サーキットにあったコンパウンドを持ち込むが、全戦においてハード、ミディアム、ソフトと呼ぶことになる。
各グランプリのタイヤ選択
各グランプリでドライバーが使えるドライタイヤは13セットとなっている、コンパウンドは5種類あり各グランプリで使用するコンパウンドは3種類。
ピレリが指定する3セット以外は、ドライバーが3種類のコンパウンドから10セットを自由選択できる。
コンパウンドの種類
- C1,C2,C3,C4,C5
(硬い)1~5(柔かい)
使用コンパウンド3種類の通知
- ヨーロッパラウンド:遅くとも9週間前
- その他の地域:遅くとも15週間前
タイヤ希望申請期限
- ヨーロッパラウンド:8週間前
- その他の地域:14週間前
ドライバーはピレリから通知受けて1週間以内で、希望申請が必要となります。
タイヤコンパウンドの固定セット数
2021年は、コンパウンド選択無しになり、全ドライバーに同じコンパウンドセットが与えられます。
- H(ハード)2セット
- M(ミディアム)3セット
- S(ソフト)8セット
雨天用タイヤは、レイン2セット、インターミディエト4セットとなります。
パワーユニット・ギヤボックス交換ペナルティ
パワーユニットは、7つのエレメントで構成されています。
各ドライバーはICE・TC・MGU-H・MGU-K(年間3基)、ES・CE(年間2基)、Exhaust(年間8基)の使用が認めらていて、それ以上使用した場合はグリッド降格ペナルティを受ける。
パワーユニットのエレメント
- エンジン(ICE)
- MGU-K(運動エネルギー回生装置)
- MGU-H(排気エネルギー回生装置)
- エナジー・ストア(ES)
- ターボチャージャー(TC)
- コントロールエレクトロニクス(CE)
- エキゾースト(Exhaust)
グリッド降格数
ICE | TC | MGU-H | MGU-K | ES | CE | Ex |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 |
4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 |
6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6,7,8 |
超過分のグループを色分けした表です。赤のラインに達した1基目は10、その他は5と言ったようにグリッドペナルティが決まります。
一つのグランプリでグリッド降格数が20に達した場合は最後尾になる。複数いる場合は予選結果順に並ぶ。
ギアボックス交換ペナルティ
プラクティス3・予選・決勝において6戦続けて使用しなければならない。
- その間に交換した場合は5グリッド降格
- リタイアした場合は、次戦ギヤボックス交換してもペナルティは免除となる。
プラクティス
2021年より金曜日のプラクティスは90⇨60分間へ変更されます。
金曜日の午前中に行われるプラクティス1回目(P1)は60分間、午後に行われる2回目(P2)も60分間となっている。
土曜日の午前に行われる3回目(P3)は60分間となります。
Q3用ソフト①、ミディアム①とハード①はどちらかを決勝で使用する事になっている。尚且つこの3セットは返却する事は出来ないので自由選択した10セットを使用していく。
タイヤの返却ルール
- P1終了後:2セット
- P2終了後:2セット
- P3終了後:2セット
予選前のタイヤセットは、合計で7セットとなります。
グランプリ予選
土曜日午後に行わる予選は、ノックアウト方式で3パートで構成されます。
- Q1:18分間にて下位5台が脱落
- Q2:15分間にて下位5台が脱落
- Q3:12分間にてトップ10グリッドの決定
トップ10のドライバーは、予選Q2でベストタイムを記録したタイヤで決勝スタートしなければならない。尚且つQ3で使用したタイヤを返却する。
Q3に進めなかったドライバーは、Q3専用タイヤを決勝で使用可能。
決勝前のタイヤセットはトップ10で6セット、その他は7セットになっています。
グランプリ決勝
日曜日の午後に行われる決勝は、基本的に走行距離が300km超になる様に設定されます。使用できる燃料は110kgとなります。
- 例外として狭い市街地戦となるモナコは約260km
スタート時のタイヤ
予選トップ10ドライバーは、Q2でベストタイムを記録したタイヤでのスタート、その他のドライバーは自由にスタートタイヤを選択できます。
レース中のタイヤ交換ルール
- タイヤ交換は必ず1度しなけらばならない
- 使用するコンパウンドは2種類以上
- ピレリが指定した2セット内(ハードとミディアム)の1セットを必ず使用
レース中のペナルティ
これについてははっきりとした回答がありません。グランプリごとにレーススチュワードが変更になるため裁定が変わっています。
主なペナルティ例の一部を記載します。
- 明らかなドライビングミスによるアクシデントにて相手に不利を与えた場合(最悪リタイアなど)はドライブスルーペナルティなど
- コーナーカットにより距離的に優位な状況で追い抜きは5秒加算ペナルティなど
主な見どころ
予選では、Q2でのタイヤ戦略がまずは見どころです。トップ10ドライバーはQ2でベストタイムを記録したタイヤでスタートしますので、決勝レースを踏まえ一番柔らかいタイヤでタイムを出さず2番目に柔らかいタイヤでアタックするドライバーがいます。
決勝レースでタイヤ交換を少なくする狙いです。
決勝では、トップ10ドライバーは新品タイヤが基本的に2セットしか残っていないのに対し、トップ10以下は3セット持っています。
このため11位以降のスタートタイヤ戦略が面白いです。
固めのタイヤでロング走行を狙ったり、Q3用の柔らかい新品タイヤでペースアップを図ったりと予選9、10位になるくらいなら11、12位が有利な場面も多くなります。
まだまだ見どころはたくさんありますので、見つけて楽しみましょう。
ここに記載したルールやレギュレーションについて間違いがあるかもしれません、コメントにて気軽にご指摘いただけると助かります。
グリッド降格ペナルティを受けたマシンが複数ある場合、コースINした順でグリッドが決まると言う変なルールは変更がありましたね。
ご存知だと思いますが、記載漏れですかね?
最後尾グリッドが決定したドライバーが複数いる場合は、2019年よりコースイン順ではなく予選結果順に並ぶことになりました。