FOMとFIAの強行採決による2019年度の空力規則変更ですが、4月30日に発行された全9ページにも及ぶレギュレーションの詳細な数値や解釈が徐々に明らかになっています。
F1公式からは未だに発表はないですが、入手できる海外ジャーナリストは存在する。
参考元:NEUE AERODYNAMIK-REGELN FÜR 2019 IM DETAIL
参考元:Règlement 2019 : la réforme que la Formule 1 n’attendait pas
参考元:Revealed: What F1’s 2019 cars will really look like
フロントウィング詳細
フロントウィングの変更と聞いて幅の減少か?と先走った私ですが違う事が明らかになった。ウィング領域が逆に拡大する。なんと幅は+200mmとの情報も入ってきた。
主な変更点(mm) | 2018 | 2019 |
---|---|---|
フロントウィング幅 | 1,800 | 2,000 |
フロントアクスル中心線からの始点 | 1,200 | 1,225 |
基準面からの高さ | 75~275 | 75~295 |
エンドプレート(翼端板)の幅 | 50 | 40 |
立体画像での寸法イメージ
その他の寸法やルールは以下
- ウィングエレメント数は5つ
- エレメントのスパンは100mm以上
- エレメントの積み重ねは禁止
- エンドプレートは中心線を基準として角度15°以内
- エンドプレートのスロットやウイングレットは禁止
簡単に言えば、ウィングは5枚で構成され、横幅全体は200mm、前に25mm、上に20mm拡大。
リアウィング詳細
リアウィングは幅を広くするスペースは無いだろうっと思っていたら100mmも拡大する。
主な変更点(mm) | 2018 | 2019 |
---|---|---|
リアウィング幅 | 950 | 1,050 |
基準面からの高さ | 800 | 820 |
メインと上部エレメントの隙間 | 10~15 | 10~15 |
↑DRS時 | 65 | 85 |
幅と高さの拡大がメインだけど、このDRS時の各エレメント同士の隙間距離規則が肝ですね。上部エレメント支点位置を20mm上方へ移動させる、よって高さ基準を20mm上げたと解釈できます。
この規則により、リアウィング上部エレメントの最小サイズは大きくなる。
新マシンイメージCG画像
2018年と2019年の比較です。
フロントウィングは、エレメント数を減らしカスケードを無くしたシンプルなイメージ。
FOMが突き止めた後方乱流の正体
ロス・ブラウン率いるFOMの空力解析チームは、膨大な量のCFD実験によって「Y250 vortex」が主な原因だと突き止めたようです。
Y250 vortex(ボルテックス)
フロントウィングの上部エレメントが無い部分(500mm)車両中心線から左右250mmの幅から、発生させる渦流の事で、フロントタイヤ後ろとバージボードの間を通り、リアタイヤ横を通過します。
上の映像は湿度が高い時に見えた渦流の動きです。
フロントウィングで作り出す渦流
フロントウィングで作り出す渦流はカスケード部分での発生も大きい。motorsport.tvでは二つの渦流でフロントタイヤで発生する乱流を引き込み導いていると説明。
この2つの渦流は車体後方で合流して巨大な乱流となっているようで、このせいで後方のマシンは大きくダウンフォースを失い近づく事が出来ないとの実験結果のようです。
まとめ
今回の規則でFOMがやりたい事は明確で、フロントウィングで渦流を発生させる空力パーツを排除する事にある。
エレメント数を制限する事で実現して、マシン後方に発生する乱流を極力減らす事、加えてリアウィングの拡大でリアのトラクションを確保しつつ、DRS時のドラッグを大幅に削減する事で車速差を生み出しオーバーテイクを活性化。
しかし、なぜフロントウィングを拡大するんだ?接触の可能性も上がるのになぁ・・わけわからんです。エレメント数規制とカスケード禁止だけで良かったんじゃないのかなぁ。
今思い当たる弊害としては、フロントのダウンフォースはウィング面で獲得する事によりドラッグが大幅に増加する事になる。
レーキ角によるフロントウィングと路面で発生するグランドエフェクト効果は更に重要となるだろう。
乱気流を抑えるのはやったほうが良いですが、
フロントウイング大きくなるんですか、これは予想外。
インディはウイング小さくしてサイドポッド下あたりの底面を減らしてるみたいですが、
ウイング面積は大きいままで対策しようとしてるんですね。
リアウイングも大きくなるのはいいんですが、
DRSの効果も大きくなるってのが気になるところですねー。
DRS使用時の速度差を大きくするのは事故度が上がるだけな気がします。
コーナー入り口で前車に突っ込んだり、
ストレートでブロックしたらあやうく事故なんてなりそうだなー。
フロントウィングについては2009年あたりの技術水準になるだけと思っておいた方がいいですね。
飛躍的に後方乱流が減るわけではないけど多少効果はあるでしょう。
結局ワンメイクではないからチーム格差は一旦広がります。
フロントのダウンフォースはウィング角度が大きく関わるので、見た目で大目少な目がわかって視聴者的にはいいかも。
次はトンネル型フロア+ディフューザーをいつ入れるか?ですね。
F1はオープンホイールである以上はフロントタイヤ(フロントアクスル)付近での乱流は必ず起こるでしょうし、Y250 vortexの過流(乱流)は、バージボードの間からリアタイヤ側面の後方へ押しやられ、走行中の本人(自分)には悪影響を排除される代わりに、後ろから来る他車には悪影響を与えるのですから、バージボードのウイング類を規制しない限り問題は解決しないのでは?。
FOMは走行しなかった2017年度版のマノー『MRT06』を使ってCFD実験したようですが、現行のフェラーリやレッドブルの車両などからもキチンと検証しないと、キチンとした成果は得られないのではないでしょうか。
今行われているスペインGPに持ち込まれているレッドブルRB14のバージボードなんて、清流させた気流は車体側にキチンと流し、乱流は後方にバンバン流しそうな良いエアロパーツですから…。
バージボート類の規制も一緒に提案されたけど、チームに却下されたみたいです。
FOMとしては段階を踏んで今回はウィング類、2021年のPUと共にバージボード類も規制が入ると思われます。