ホンダとのコラボレーション2年目となったレッドブルRB16、完全な専用設計のため期待していた訳ですが、いざ開幕してみるとメルセデスW11との差は歴然でした。

スロットルオンと共に、グリップダウンするリアタイヤ、フェルスタッペンのテクニックをもってしても、制御できないスピン状態に陥ることも多かった。

その後、フロアやリア回りのアップデートが多く、やっぱりリアがダメだったんだなぁっと思っていた訳ですが、全てはフロントウィングで発生するストールに起因していたとマルコ氏が発言している。

RB15からRB16への進化、そしてRB16のフロントウィングの変化を見ていきましょう。

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レッドブルRB15⇒RB16

RB15のフロントウィングはエンドプレート側のフラップが規定いっぱいまで高さがある。

Y250ボルテックス用の切欠きがあるフラップは3枚、一番上のフラップはノーズから離すような位置にある。

RB16初期段階

RB16はナローノーズ化、初期段階では切欠きは3つ、中心へより前へ移動していた。

フラップ2枚目はメインプレートを補助するような形状になっている。

RB16最終仕様

最終仕様では、2枚目のフラップの先端をメインプレートから離して切欠きを追加させている。

強度確保のためメインプレート幅を増加、エンドプレート側のフラップの位置が低くなり、上面からのアウトウォッシュ量を確保している。

ノーズステーは幅が狭くなり、Y250ボルテックス用の切欠き4つがきれいに並んでいます。

ケープで発生するボルテックスは正面から見て右側では時計回り、Y250ボルテックスは反時計回り、フロントウィングエンドプレートでは時計回りとなる。

Y250ボルテックスはリフト方向に働く渦である、その位置を本当に少し外側&上方へ移動させた事により、フロントウィングのストールを回避出来たと考えられる。またある条件下でストールするという事は、その後ろの流れは停止する事にも繋がり、アウトウォッシュ効果が激減、フロアへ悪影響をもたらしていたのだろう。

 

ノーズ、ステー、ケープ、切欠きの配置がメルセデスに酷似しています。

メルセデスW11のフロントウィング

最終戦アブダビの速さは本物なのか?

マルコ氏によれば、フロントウィングの間違いに気づき修正し始めたのが9月の9戦目ムジェロ、それを元にエンジニアがより多くのダウンフォースを見つけ、修正されたウィング(4つの切欠きフラップ)を投入したのが11月の14戦目トルコ。

15,16戦目バーレーンでは、新しいフロントウィングに基づいたセッティングが煮詰まって行き、最終戦では6月にテストしていたナローステー型ノーズを投入し見事にポールトゥウィンを飾った。

 

メルセデスにMGU-Kトラブルの兆候が見られ始めて出力10%カット、そして土曜日ラバーインし始めた路面にセッティングが合わずアンダーステアが強かったメルセデス、予選ではフルパワーだったとか、出力カットは0.1秒にしかならないと発言しているが、真相はわからない。

10%カットって16.3ps、アブダビなら0.15秒ぐらいのパワーエフェクト値にならないか?そして、決勝レース中ペレスがERS問題で停止、更に10%カットしていたら0.3秒、決勝タイム差15秒/45Lap=0.333秒、丁度いい計算になったわ(笑)

 

私が特に気になったのはリアウィング、不安定なフロアダウンフォースに頼れないために、リアウィングによるダウンフォースに頼っていたRB16だったがアブダビでは、

メルセデスよりちょっと多いぐらいになっている。これでリア車高が下がった時には、同等ぐらいなドラッグレベルになるだろう。

予選のストレートでは、ほんの少し詰められた程度だった。フロントウィングの修正でフロアダウンフォースが増し、ウィングに頼らなくてよくなっていた。

そして、ハイレーキの真骨頂であるターンイン時に、ボディ表面ダウンフォースが増加し、加速状態でリアが下がりドラッグを減少させるセッティングが完璧に決まっていたと言える。

そんな速さを見れたのはたったの1戦、少なくとももう1戦あれば、本物と判断できるのだけど・・。

古い風洞がワイド化に対応出来ていない

2017年から全幅が1,800mmから2,000mmになった。この時から、レッドブルは開幕から力を発揮できない事態に陥っている。

風洞が小さいからなのか、20cmの幅の広がりに対応出来ない風洞なのは間違いない事実なのだろう。2017年にも同じようなコメントをしていて問題解決に約4か月半を要している。

2020年は7月開幕して11月に解決している、部分的に解決したって言ってるけど、2017年から何にも解決できてないんじゃないか!

 

2021年、マシンはほぼ同一のものを使う、フロント部分のルール変更はないため、現状出来上がっているフロント回りは基本ベースとして使用可能。空力はフロントから始まる、フロントが固まっていれば、それに合わせた後方の空力ボディを作ることが出来る。

ちょっとだけだが期待しておこうと思います。

これに新構造ホンダPUが載れば、面白い状況になりそうじゃないか?メルセデスはさらに20psアップされると噂がある。ホンダは40psアップが必要になるのだがね。

 

レッドブルはトークンをどこに使うのだろう?ホンダPUでモノコック側形状を変更するのかもわからない。マシン側に最大限考慮すれば、後ろのギアボックスのやり直しが一番効果が高そうなんだけどね。

予想では、ホンダPUは後方のみ形状変更になり、レッドブルはギアボックス形状変更(トークン2)で対応するような気がする。