現行レギュレーションにおいて、レーキアングルを多く付けてディフューザーの効果を高めようとするセッティングは常識となっている。

そして、高いリア車高によって全面投影面積が増加、ドラッグが増加するのは必然となる。

よって、ストレートを走る時は、車速によって増加するダウンフォースでリアのヒーブサスペンションを動かし、リアの車高を下げる事でドラッグを減少させる。

 

この時、ディフューザーは路面に近づいていくため疑似的な容量が減り、その効果も減少する。

それを一歩推し進め、ストール(失速)させると言う事だが、そんな事が可能なのか?

Sponsored link

メルセデスのディフューザーストールとは?

フロアはステップドボトム規制によって、一番路面に近い部分の幅は500mmとなっている。

この部分を路面に近づけて、フロアからディフューザーへの流れを弱める事になる。

 

ストールとは、曲面に沿って流れなくなってしまう事なのだが、ステップドボトムにおいては、左右のフロアからディフューザーへの流入は止まらない。

そもそも止まらないように、フロア前端で作ったボルテックスをディフューザーのボルテックスに接続している。

 

メルセデスのディフューザーストールとは、中央500mmエリアを路面に最大限近づけて空気の流れを弱める。

 

その部分にはステップ面の空気が流入してしまうが、ディフューザーの全体的な効果を減らせる、そしてマシンの後部に発生する乱流を減らす事でドラッグを減らす。

https://www.f1technical.net/

上の画像は、2019年マシンの速度50m/sのCFD、ディフィーザーとリアウィングによって出来るマシン後部の乱流部分を表したものです。

この大きさがドラッグの大きさに繋がる。ディフィーザーで空気を上方や左右に拡散する効果を減らせば、これが小さくなりドラッグが減るのです。

 

メルセデスのリア車高下げは、2020年にも確認できている。

https://www.auto-motor-und-sport.de/motorsport/

2020年ポルトガルGPのハミルトン、速度はおおよそ290km/h以上、レーキ角はマイナス領域になっていると思われます。

このようなセッティングは、トップチームのみならずハースだってやっている事です。

 

ディフューザーストレーキカットへの対応で、規定以上にカットしてボルテックス発生位置が上方へ移動しています。

ボルテックスの角度が昨年より上向きになっているため、その分ドラッグが増えていると考えられる。

車高を下げる事のドラッグ削減は、昨年以上に効果が高いのかもしれません。

 

下げる速度域を早める事は、ドラッグ削減効果が非常に高い。実際メルセデスは、トルコGPにて230km/hあたりで一気に下げていた。

リアサスペンションがおかしいと疑惑があるが、昨年から同じ事が出来ているので、お門違いな疑惑である事は明白です。

ヒーブが動き出す荷重数値を変更しているだけにすぎない、セッティング変更の領域となるでしょう。

 

ディフィーザーストレーキの比較

規定(ステップ面と同じ高さ)まで長さがあるマクラーレンMCL35Mは以下。

https://www.motorsportweek.com/

 

新旧メルセデスの比較は以下。

 

ディフューザーストールができたフラットボトム

1993年マクラーレンMP4/8のフラットボトムとディフューザー、アクティブサスペンションで車高を簡単にコントロール出来た。

フロアからディフィーザーへと折り曲がる部分を、路面に対して20mmまで近づける事で、ディフィーザーへの空気の流れを弱め、完璧にストール(失速)させる事ができた。

その効果は、最高速で驚きの+20km/hにもなったのです。

 

 

それで、ディフィーザーストールは実際のところ可能なのか?

中央部分500mmエリアのみ可能かもしれませんが、それをディフューザーストールと言っていいのか?

 

本当のストール効果を知っているだけに、私は言えないですけどね。