レッドブルのDRSを使った時のストレートスピードがあまりにも速いため様々な憶測が語られている。

トリプルDRS? とんでもないデバイスみたいな言われ方まである始末です。

 

リアウィングはビームウィングの効率を上げる、ビームウィングはディフューザーの効率を上げる、なのでDRSを使うと2つの接続が切れるみたいな説明。

それは確かに少しは影響があるけど、ディフューザーをストールさせたらポーパシングして走るどころじゃないのに。

 

では、どんなものなのか?

自称ニューウェイ脳内風洞研究家の私が解析しましょう。

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レッドブルとフェラーリのDRS速度の違い

オーストラリアGPのリアウィングはレッドブルがミドルタイプでダウンフォースが高め、フェラーリはロータイプウィングです。

テレメトリー解析(アルバートパーク:ターン6~ターン10)

フェルスタッペンとサインツ、予選最速ラップとレース終盤の同じラップタイムの比較

  • フェルスタッペンはレース終盤ラップで300km/h、予選単独DRSなら324km/h
  • サインツはレース終盤ラップで308km/h、予選単独DRSなら323km/h
  • デルタはレッドブル24km/h、フェラーリ15km/h、9km/hの差
  • レッドブルの7,8速のギア比は高く最高速重視
  • HONDA-RBは10,500~11,500rpmの回転数をきっちり使う燃焼エネルギー効率重視(パワーバンド重視)

 

数値だけみればレッドブルがおかしいぐらいにデルタが大きい事になるが、ギア比・エンジンモード・ERSモードが最高速に対して最適化されているのです。

レッドブルとフェラーリのリアウィング比較

レッドブルのフラップは、それ自体が湾曲し空気を受け止める形状になっているのがわかるだろうか?

フラップの角度はかなりきつめに立っている。

 

 

 

フェラーリのフラップは直線的で角度が浅い。

 

レッドブルのDRS効果が高いのは秘密でもなんでもなく、フラップが湾曲していて角度が立っているからです。

フェラーリと比較すると一目瞭然だと思います。

レッドブルのリアウィングDRS状態

リアウィングのメインプレートに注目してもらいたい。

前後の高さがほぼ水平だと言う事に気づくと思います。このようなウィングはダウンフォースが少なくドラッグも少なくなります。

フラップがあって初めてメインプレートの湾曲による空気を受け止める効果が最大限に発揮されます。

 

DRS状態のフラップはリフトを発生します。(某現役エンジニア談)

リフトが無いと開いた状態を維持出来ないのです。

 

リフトを発生すると言う事は、フラップは全体的に下がる気流を生成する事になります。

 

〇で囲んだ部分は特に多くのリフトを発生、下がる気流が多くなります。(レッドブルは端までしっかりと85mm開く)

 

マシン後方に上昇してくる乱流に対して、少しではあるが下げる気流を供給する事になり、それがドラッグを軽減する事に繋がります。

レッドブルとメルセデスのDRS速度の違い

メルセデスのリアウィングはレッドブルよりも全体的に小さい。

https://www.auto-motor-und-sport.de/

テレメトリー解析(アルバートパーク:ターン6~ターン10)

フェルスタッペンとハミルトン、予選最速ラップとレース終盤の同じラップタイムの比較

  • ハミルトンはレース終盤ラップで304km/h、予選単独DRSなら324km/h
  • フェルスタッペンはレース終盤ラップで302km/h、予選単独DRSなら324km/h
  • デルタはレッドブル22km/h、メルセデス20km/h、2km/hの差
  • メルセデスは7速の最高回転数で277km/hしかでない加速重視のギア比
  • メルセデスは8速12,000rpmで325km/hに達してしまうのでそれ以上は伸びない

 

メルセデスのリアウィングはレッドブルのミドルよりも全体的に少し小さい、フラップは端の方が投影面積が少ない。

それなのにレッドブルとDRSデルタの差がほとんどないのです。

(おい、ゲイリー嘘つくんじゃねーよ。)

※バーレーンでもメルセデスはDRSデルタ20km/hあります。

 

メルセデスのフラップも曲線を描いている事に気が付くと思います。

DRS時の端の方が、レッドブルより開いているスペースが少し狭いのでこれが2km/hの差かな。

 

 

PUとギア比の関係は重要でメルセデスの加速重視のギア比は、ジェッダのような330km/h必要な超高速ステージで12,000rpm以上の回転数が必要になりフリクションロスにエネルギーが奪われます。

メインプレートはバーレーン、ジェッダ、アルバートパークの3戦で同じであり、ジェッダでロータイプを使ったレッドブルにストレートスピードで勝てる訳がありません。

全てはフロアダウンフォースが安定していない事に尽きます。

湾曲型フラップのDRS時85mmのライン

メインプレート頂点とフラップの距離は、前後方向の一点のみが85mmを達成していれば良い。

緑点線はそのラインです。

上がミドルタイプ、下がロータイプです。

 

メインプレートとフラップの離れるスペースが広くなる図を簡単に書きました。

湾曲型フラップはフラット型フラップよりメインプレート上面の気流の抜けが促進されると思われます。

まとめ

DRSデルタの多いリアウィングは、メインプレートの前後高さに大きな差が無くダウンフォースとドラッグが少ないものです。

フラップが接続される事で大きな曲線を描きダウンフォースを多く発生させます。

 

フラップは湾曲型で閉じているときは空気を多く受け止める。

開いたフラップはリフトを発生、湾曲している事でその効果が高まります。

 

フラップで下がる気流をマシン後方に発生させ、ディフューザーとビームウィングで上昇してくる乱流を少なからず抑える事が出来ます。

メルセデスの開いたフラップは特にその傾向が強い事が確認できます。

 

 

レッドブルのミドルタイプ、メルセデスのロータイプ、全然違う形状なのにDRSデルタはほぼ一緒である事

フラップの角度が違うけど湾曲している事が共通点、空気力学に当てはめるとこのような分析となります。

 

(メインプレートは下面の後ろ側がストールしている可能性もある)

 

DRS時の真横に近い画像があればもっとわかるのですが、250km/h以上の速度でそれは無理な事だろう。

誰かこれを正確にCFD解析してくれないだろうか・・・。