2021年のフロアサイドカット規制、変更されたテクニカルレギュレーションの中で、最も各チームのデザインが違う部分です。

昨年までフロアサイドにはスリットがあり、上面から下面へ空気を吹き出す事でボルテックスを作り、側面からフロアに入り込もうとする高圧な空気を阻んでいた。

フロアカットとスリット禁止で、どのような空力ソリューションになっているのか分析してみます。

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フロアサイドエッジデザイン

 

 

フロアサイドには、ボルテックスジェネレーターが数多く置かれ、小型で複数の渦流を作り、それを後方のカット部分で合流させ強力な渦流を作り出している。

更には、小型のウィング状のフィンが取り付けられ、気流を上方へ導くようなデザインになっている。

ボルテックスの回転方向

正面から見て\の角度のボルテックスジェネレーターは、以下のような時計回りの渦流を生み出します。

 

後ろ側から見ると、以下のような回転渦になります。

 

フロアサイドに発生するボルテックス

青矢印がボルテックスのイメージ、フロア下へ入り込もうとする高圧空気を赤矢印でイメージしてみました。

強力なボルテックスは小さな竜巻のようなもので、周りの空気を吸い込みながら流れます。

高圧な乱流を上に跳ね上げるように吸い込み、フロア底面に流れないようにする。フロア底面の低圧ゾーンを守ることでグランドエフェクト効果を安定させるのが狙いです。

まとめ

昨年のスリットでも同じようなボルテックスが生成されますが、今年より低い位置で発生しており効果は高かった。

今年は、発生する位置が高く内側になっているので、より強力なボルテックスが必要になっています。

それを解決するために、途中でフロアをZカットさせて、ボルテックス位置を下げ、外側に向けようとするソリューションをほとんどのチームが使っています。

 

ボルテックス中心は低圧になり、トータルで低圧の気流となる。上手くいい位置に発生させないと、フロア上面と下面の圧力差を使ったダウンフォースに影響を及ぼします。

また、デュフューザー上面へ導く空気を使いすぎれば、その効率が下がりリアダウンフォースを失う事にもなる。

小さなエアロパーツであっても、ドラッグやダウンフォースなど、トータルのトレードオフを考えなければなりません。