2021年のフロアサイドカット規制、変更されたテクニカルレギュレーションの中で、最も各チームのデザインが違う部分です。
昨年までフロアサイドにはスリットがあり、上面から下面へ空気を吹き出す事でボルテックスを作り、側面からフロアに入り込もうとする高圧な空気を阻んでいた。
フロアカットとスリット禁止で、どのような空力ソリューションになっているのか分析してみます。
フロアサイドエッジデザイン
フロアサイドには、ボルテックスジェネレーターが数多く置かれ、小型で複数の渦流を作り、それを後方のカット部分で合流させ強力な渦流を作り出している。
更には、小型のウィング状のフィンが取り付けられ、気流を上方へ導くようなデザインになっている。
ボルテックスの回転方向
正面から見て\の角度のボルテックスジェネレーターは、以下のような時計回りの渦流を生み出します。
後ろ側から見ると、以下のような回転渦になります。
フロアサイドに発生するボルテックス
青矢印がボルテックスのイメージ、フロア下へ入り込もうとする高圧空気を赤矢印でイメージしてみました。
強力なボルテックスは小さな竜巻のようなもので、周りの空気を吸い込みながら流れます。
高圧な乱流を上に跳ね上げるように吸い込み、フロア底面に流れないようにする。フロア底面の低圧ゾーンを守ることでグランドエフェクト効果を安定させるのが狙いです。
まとめ
昨年のスリットでも同じようなボルテックスが生成されますが、今年より低い位置で発生しており効果は高かった。
今年は、発生する位置が高く内側になっているので、より強力なボルテックスが必要になっています。
それを解決するために、途中でフロアをZカットさせて、ボルテックス位置を下げ、外側に向けようとするソリューションをほとんどのチームが使っています。
ボルテックス中心は低圧になり、トータルで低圧の気流となる。上手くいい位置に発生させないと、フロア上面と下面の圧力差を使ったダウンフォースに影響を及ぼします。
また、デュフューザー上面へ導く空気を使いすぎれば、その効率が下がりリアダウンフォースを失う事にもなる。
小さなエアロパーツであっても、ドラッグやダウンフォースなど、トータルのトレードオフを考えなければなりません。
この4戦を終えた感じでは、ホンダPUはメルセデスPUと同等か僅かに劣る程度だと思われます。
それ以外の差はシャーシの差、PUとのマッチングの差だと思いますが、フロアカットで失われるダウンフォースをどれだけ補えるか?とボルテックスを上手く使えるか?にかかっている感じでしょうかね?
話はズレますが、来年のアルファタウリのマシンはレッドブルと殆ど同じになるんですかね?
来年は今年のレッドブルのお古は殆ど使えませんので、そうなるのかな~?と。
レッドブルはポルトガルからのアップデートが良かったとは思えないんですよね。
ペレスも速かったし、イモラまでの空力の方が、安定していたと思う。
アルファタウリも同様にアップデートが機能してない、やっぱ風洞がダメなんじゃないか?古すぎ。
来年は新しいギヤボックスが同一ですね、イナーターを失ったインボードサスも同一かなぁ?
何チーム参加してたかわからないけど、先行CFDデータも共有されている。
今も昔も、サイドパネル横のエアーシールは重要な部分ですね。
ウイングカー時代は、サイドポンツーン側面に上下↕️するスカートを設けて地面に接触させる事で、エアーを密閉遮断させていたのが禁止された(走行中に外れたり動かなくなって機能しなくなると危険)
そういう意味でもレーキ角の付いたマシンは、ウイングカーやグラウンドエフェクトカーと同じで車全体を1つのウイングと見なした。
来年の新F1グランドエフェクトカーに、これまでのパーツを直接持ち越して継続使用する事は出来ませんが、車体全体パッケージに関係する考え方(センタークーリング化など熱交換器の配置レイアウト)は取り入れるのではないでしょうか?
この際、思いきって左右サイドポッド内は、完全に空っぽ(熱交換器類を全てセンターに集約する)にして、エアーを抵抗無くスムーズに通過させると面白い。重心が高くなってしまいますが?
センタークーリングのみは、さすがに無謀かと(笑)
フロア底が上昇、ホイールベース最高3.6mでスペースがやばい。
そうなんですよ、小型PUがやっと生きてくる規程なんだよ、ねぇホンダさん。
やっぱり。センタークーリングだけって言うのは無理ありますかね。
それこそアルピーヌの巨大インダクションボックス以上のボリューム必要ですね?
現行F1のサイドポッドでも一番絞っているのがメルセデスですね。
マクラーレンもメルセデスPUカスタマーになって絞り込みが大きい。
熱交換器が小さくて少ない容量でも安定した冷却性能を維持しているのがメルセデスPUの強みでもあります。
トップ走行でクリーンエアー確保が前提のマシンですが、
その代わり急激な外気温度の対応出来ない時もありますね。
(応急処置でルーバーやチムニーを設ける時もある?)
今シーズンも高温熱波がヨーロッパに襲来するか?
レッドブルやアルファタウリの来シーズンマシンも楽しみです。
昨シーズンもフロアカットされる以前に設けられたスリットが毎回形状が違っていて標準化されない(常時変化するのが当たり前ですが)
今シーズンも最終戦には開幕戦とは全く違う形状になるでしょうね。
その時には失ったダウンフォースを取り戻すどころか、昨年をも凌ぐモノになるか?
Z型カットを採用していないチーム(マクラーレン、アルファロメオ)も
途中から取り入れてくるかも知れないですね。