F1のメカニズムを中心にしたブログです。考察や分析をおこなっています。

レッドブル・ホンダvsメルセデス インテルラゴス加速力分析!(+Ferrari)

レッドブル・ホンダvsメルセデス インテルラゴス加速力分析!(+Ferrari)

https://twitter.com/MercedesAMGF1

メルセデスが新規エンジン(ICE)を投入しまくる事態になっているシーズン終盤戦です。

レッドブル・ホンダに対して有利な状況が無くなった今年、メルセデスはエンジンのマイレージを削りパワーを出す方向性に転換した。

この為、エンジンの損傷が激しく、年間3基規制を達成する1基あたり5,000kmを走る事が出来なくなっている。

ペナルティを受けてでもパワー面で優位に立ち、レースで逆転する事でチャンピオンへの望みを繋いでいる。

とりあえず、現状どれほどの差があったのか分析してみようと思います。

メルセデスvsレッドブル・ホンダの加速分析(+フェラーリ)

インテルラゴスには、2つの長い全開区間がある。

ターン3~ターン4までの間は下り、ターン12~ターン1までは上りとなっている。

200km/hから315km/hの加速時間を計測してみました。(200に設定する理由は、それ以下だとホイールスピンなどが絡む為)

おおよその速度到達点(赤200,緑DRSポイント、青315)

T3→4 HAM BOT VER SAI
200
DRS 282 4.59 280 4.55 277 4.49 279 4.40
300 1.51 1.56 1.63 1.63
315 1.71 1.78 1.68 1.75
Total 7.81 7.89 7.80 7.78
T12→F HAM BOT VER SAI
T12b 129 128 126 125
200
DRS 292 6.47 288 6.31 287 6.43 290 6.46
300 0.93 1.16 1.44 0.96
315 2.10 2.15 2.83 2.87
Total 9.50 9.62 10.7 10.29

驚くべく事に、最初の下りストレートでは、加速性能にほぼほぼ差はありません。

最終の上りストレートでは大きな差がつきます。T12の立ち上がり速度も関係するためボトムスピードを表記しています。

ハミルトンはDRSを開く時点で共に最速、200→DRSまで時間はかかっていますが、200に達する地点が早い事がこれによってわかります。

 

フェルスタッペンのこの記録は、ボッタスの後方約3秒トウです。上りでこのような差がついてしまうのは、ドラッグ云々よりパワーの問題の方が大きいでしょう。

フェラーリにすら負ける加速力、これではどうにもなりません。

考えられるのは、エンジン&ERSマッピング、ホンダはマシンの優位性を信じ、かなり絞っていたのではないかな?

200→315の加速時間は1.2秒負けているが、タイムは+0.15秒程度です。

 

メルセデスエンジンパワーアップの秘密

エンジンパワーを上げる?どうやって?

燃焼室の変更は不可、圧縮比は変えられない。コンプレッサーやタービンなどあらゆるもののデザイン変更は不可。

燃料流量は10,500rpm以上で100kg/hが上限、燃料を増やせない以上、やれることは空気量を多くする事と回転数の上昇力を上げる事に絞られる。

空気量を増やすにはブースト圧を上げる事であり、コンプレッサーの回転数を上げる事、これは=タービンの回転数を上げる事に繋がる。

回転数の上昇力を上げる事は、点火を早める事や排気抵抗を減らす事などが考えられる。

 

ターボエンジンの排気はタービンを回す事に使用され、排気の抜けという点においては非常に抵抗が大きい。これを少し取り除くだけでも、多くのパワーを得られる。

ホンダがトロロッソに移籍した時に、エキゾーストスペースを多く与えられ、エキゾーストの見直しだけで10hpもアップしたなんて逸話もあるぐらい排気抵抗はエンジンにとって敵だ。

 

メルセデスはここぞの加速ポイントで、タービンにあるウェイストゲートを開けている時間が長い。

ウェイストゲートは、本来タービンにかかり過ぎる圧力を抜くため、回り過ぎないようにするものだけど、排気抵抗を減らすために使用されている。

タービンには、MGU-Hが直結され回生抵抗があるので、回り過ぎるなんて事は発生しないはずだけど開けている。

https://www.youtube.com/watch?v=VdLyujtDjVA(画像クリックで動画へジャンプ

ターン2を立ち上がり4速~7速の間、エキゾースト音が変わる。

ターン4後では5,6速、ターン10後では3,4,5速、ターン12後では4,5,6,7速となる。

 

基本的に、コンプレッサー+MGU-Hの回生抵抗=タービン、となるエネルギー設定のF1ハイブリッド。

コンプレッサーの能力を確保しつつウェイストゲートを開けるには、MGU-Hの回生抵抗を減らすしかないはず。

MGU-Hの回生を、弱める or 無し or 弱Eブースト状態と推測されるが、フルスロットル状態でEブーストする余裕はないはずなので、弱めるか無しの選択となるだろう。

 

ホンダもアルファタウリのオンボードではエキゾースト音がはっきりと聞こえ、どこでウェイストゲートを開けているか確認できる。

この開けている時間が、圧倒的に長いのがメルセデスエンジンです。

 

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コメント Comments

コメント一覧

  • じゅんた がコメント

    2021-11-18 14:30

    すげー!
    JINさんにかかれば、何でも丸裸ですね。
    田辺さんが、ホンダではメルセデスみたいな事は出来ない。と言ってますが、ホンダPUで同じ事をやっても同じようなパワーアップは出来ないって事なんでしょうね。

    • Jin(F1モタスポGP管理人) がコメント

      2021-11-19 01:11

      昨年、あたりからこれらの解析動画は海外で出回っています。
      特に低速からの加速の際には、ウェイストゲートオープンは当たり前な設定。

      それを最大化する事でパワーを絞り出していると考えられます。

  • がコメント

    2021-11-19 03:03

    モタスポGP管理者様
    2点教えて頂きたいのですが、
    ウェイストゲートバルブは、負圧式(ダイヤフラム弁?)を使っているのでしょうか?または電気式(電磁弁?)でしょうか?
    もう1つは、MGU-Hの働きを弱める(回生機能やEブースト)事で燃料消費の面では問題無いでしょうか?

    • Jin(F1モタスポGP管理人) がコメント

      2021-11-19 03:28

      たしか油圧電子制御ですね。
      F1って制御系にモーター使用を許さない傾向です。

      MGU-Hは、回生をある程度捨てて、エンジンパワーを優先しているって事です。
      例えば、回生抵抗で10kw弱める=排気を捨てる事でエンジン10kwのプラス、これなら問題ないですよね。

      エンジンの最大化+MGU-K160hp が必要なストレート、発電して後から使うよりも、今エンジンで使おうってマネージメントです。

      結局のところ、燃料から得られるエネルギーは変わらない。(エネルギー保存の法則)
      燃焼による効率が行き着いたら、それ以上のパワーをどうやって生み出すか?
      メルセデスはそこまで出来るが、壊れるって事でしょう。

      • がコメント

        2021-11-19 07:44

        ありがとうございました。
        昔のターボF1の頃のウェストゲートバルブ使用とは目的が変わっていますね(昔はエンジン保護のため)
        セナがロータス(黒のJPSカラー)でドライブしたマシンのルノー製V6ターボエンジンは予選仕様でウェイストゲートバルブを取り除いて?
        エキゾーストの排出口を塞いでパワーを稼いだと言うのを聞いた事がありますが(普通エンジン壊れるのですが)

  • がコメント

    2021-11-19 12:13

    自分の常識の中ではパワー上げるならウェイストゲートは極限まで開かないようにしてとことん過吸圧高めるのが普通だと思ってたけど流量制限もありMGU-Hもありで効率が最大限に求められる中で逆にウェイストゲートを開く方向性なんですね
    それでも過吸圧ちゃんと出せるってことはタービンの効率も相当良いってことなんですね

  • pfuto がコメント

    2021-11-22 08:37

    2018年頃のフェラーリPUは低速からの立ち上がりでWGを開けて排圧を下げてPUの回転上昇を意図的に速くする調整をしているという記事がありましたね・・・うろ覚えですが。
    あと現在の高度な燃焼形態では、点火タイミング早めると明らかに燃焼効率が落ちますよね(燃焼速度を上げることはパワーを出せるとおもいますけどそれは簡単な事では無理)
    あと、予想ですがWGの制御もモードに組み込まれているのでは?そうするとAMG以外のチームもそのモードを享受できている?その割にはAMGだけが異常に速くなっていることの説明がしづらいような・・・。

    • Jin(F1モタスポGP管理人) がコメント

      2021-11-22 09:50

      ギア比との関係もあると思います。
      メルセデスは、6速までショート設定で加速に優れます。その分回すんですけど、高回転域でのパワーが寿命を縮める主な原因だと推測されます。
      ちなみに、このブラジルでは今までの高回転型から一転して、各ギアの使用範囲を下げています。

      • pfuto がコメント

        2021-11-22 12:17

        各ギアの使用範囲は、セッティングの範疇で変更可能?ギアボックスのギア比はシーズン中での変更はできないでしょうからそっちでやるしかないですよね。
        ギア比が低いところでの高回転は比較的PUにとっては負荷は低いので高負荷状態をさけて中間加速を重視したセッティングに変えてきたってことかな?カタールの2セクターが速かったのはそれですかねぇ。

  • がコメント

    2021-12-15 05:18

    モンツァ等で

    メルセデスはインタークーラーの大幅な見直しによるパフォーマンスの向上と説明している。
    記事が出てましたね

    やはり冷却系を意識してアップデートしてきたのは間違いなく

    https://www.funoanalisitecnica.com/2021/08/f1-mercedes-red-bulll.html?refresh_ce=6402
    https://www.funoanalisitecnica.com/2021/09/f1-honda-mercedes-red-bulll.html

    トークンを使ってアップデートしていたインタークーラー ポンプが
    故障したので
    実際には、この時に交換新しい吸熱ユニット
    (インタークーラー)
    がより不具合を修正して機能してきた

    https://www.funoanalisitecnica.com/2021/11/f1-mercedes-red-bull-ice.html?refresh_ce=0

    https://www.formulapassion.it/opinioni/federico-albano/il-dato-anomalo-della-power-unit-mercedes-potenza-motore-hamilton-bottas-verstappen-redbull-brasile-clipping-593379.html

    開けているのが長いのは冷却ユニットの効率を考えて
    必要以上に吸入を冷却出来るキャパオーバーな部分を逃がす為では?

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