レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが今季初優勝して9勝目を達成!

シルバーストンでの2連戦目となったF1 70周年記念GPは、まさかまさかの展開が繰り広げられました。予選でのタイム差約1秒は、タイヤアロケーションが変わっても存在し、レースペースでは0.5秒を覚悟していた。

ミディアムのC3は前回の状況から使えて10周ほど、ハードのC2は決勝までチェックできない事が最初から解っていた。そこにプラスされた空気圧が運命を分けるアレンジとなり、決勝でメルセデスは失速、レッドブルは快走し余裕の勝利を遂げたのだった。

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予選タイム差+1.022秒

2020-GBR-R2
POS ドライバー F S1 S2 SPD-F S3 タイム Gap Tyre
1 BOT 257 27.334 34.470 332 23.350 1:25.154 3 C3
318 277 254
3 HUL 257 27.356 35.012 329 23.714 1:26.082 0.928 3 C4
318 274 249
4 VER 257 27.440 35.068 328 23.668 1:26.176 1.022 3 C4
309 275 247
5 RIC 255 27.515 32.259 335 23.527 1:26.297 1.143 3 C3
318 272 253
7 GAS 255 27.643 35.245 330 23.646 1:26.534 1.380 3 C4
309 273 252
8 LEC 255 27.487 35.189 325 23.938 1:26.614 1.460 3 C4
315 272 252
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1段階柔らかいタイヤなのだから先週より速くなると普通は思うだろう。しかしピレリは第4戦で起こった決勝でのタイヤバーストを避けるため、空気圧の最低設定をフロント25→27psi、リア21→22psiに変更している。

これによりタイヤはより丸まった状態となり接地面積が減少、予選タイムにおいて約1秒遅くなってしまった。

 

C3ですら1周フルアタックすれば作動温度を超えるシルバーストン、C4で空気圧がアップしたタイヤは作動温度を簡単に超えてしまう。フェルスタッペンのフィニッシュライン速度の遅さがそれを物語っています。

しかしQ2をハードC2でクリアするトップ10唯一のドライバーとなった。

決勝タイム差▲11.326秒

決勝の戦略はハード2セットとミディアム1セットをどう組み合わせるのか?

フェルスタッペンはハードスタート、メルセデス2台は3LapOLDのミディアムのため、5,6周でラップタイムが落ちてくるはず、その時に居る位置とお互いがハードになった時の2スティント目が勝負となるはず、そんな予測を元にスタートを見守る。

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復帰2戦目、決勝スタートは今年初めてのヒュルケンベルグはスタートを若干ミス、難無く3位になるフェルスタッペン。

Lap4終了時点でトップとの差3.8秒、Lap5終了時点でその差3.8秒、Lap6終了時点でラップタイムが逆転し差が詰まり始める。

ここまでは予想通り、メルセデス2台がいつハードに変えるのか?出来るだけ伸ばして20秒後方のいい空間にピットアウトしたいはず。フェルスタッペンは乱流を避ける2秒後方にとどまらず、ハミルトンの1秒以内に入ったのがLap11。

 

ピットからは近づきすぎ離れてと指示が飛ぶ、しかしフェルスタッペンは遅いペースに付き合ってられないと、ハミルトンにプレッシャーをかけ始める。ハミルトンのリアタイヤのブリスターにフェルスタッペンは気づいていた。

メルセデス2台がピットインし、Lap15からトップにたったフェルスタッペンは31秒台後半で走る、ハードに交換したメルセデス2台はペースアップしてボッタスとの差が15→13秒へと縮まる。

あぁ~追い付かれるのかと考えていたが、Lap20終了時点その差14秒、え?あれ?メルセデスのペースおかしいぞ!

 

まだ6,7周のハードが変だ!1周1秒ぐらい、みるみる差が広がっていく、メルセデスのタイヤにブリスターが多く発生していたのでした。そしてLap26終了時点で1回目のピットイン、2位ボッタスには18秒差、3位ハミルトンには23秒差あり2位復帰は確実。

ミディアムに交換したフェルスタッペンは、Lap27にボッタスの後ろ0.4秒でコースインするとターン6でインに入り。

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ターン7のアウトからトラクション差を利用してあっさりとパスする。

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ボッタスの14周目ハードは既にボロボロです。

フルタンク3LapOLDのハードで26周も走るなんて、なんてこった!最速のレースラップならハードは20周ぐらいだと予想していたが、トップのクリーンエアーの恩恵は凄まじいし、フェルスタッペンのタイヤマネージメントも素晴らしい。

ここで完全に勝利を確信した!

 

問題はミディアムC3を何周使うか?ハードは26周のハイペースに耐えられるのはわかっている。フルアタックで突き放したいが、C3は簡単に作動温度を超えてしまう厄介なもの、2秒後方になったボッタスはペースアップしてくらいついてくる。

Lap32終了時点でボッタスへピットインの指示が、合わせるようにフェルスタッペンもピットへ、共にハードへ交換してハミルトンの11秒後方2位で復帰。

アンダーカット阻止でピットインしたとの見解が多いが、私はこれが既定路線だったのではないかと思う。

フェルスタッペン第2スティント

アウトラップ除外の5Lap

Lap VER2
28 1:31.598
29 1:31.294
30 1:30.545
31 1:30.361
32 1:29.666

最初の2周はマネージメントしているが、Lap30からフルアタックモードになっている。ピットからもガンガンいけみたいな指示があったようだし。

第3スティント比較

アウトラップ除外の19Lap

Lap VER3 BOT3
34 1:30.892 1:30.998
35 1:30.809 1:30.966
36 1:30.985 1:30.912
37 1:30.791 1:30.606
38 1:30.471 1:31.014
39 1:30.682 1:30.997
40 1:30.174 1:30.612
41 1:30.153 1:30.627
42 1:30.102 1:30.477
43 1:30.160 1:30.672
44 1:29.540 1:29.765
45 1:29.822 1:29.814
46 1:29.465 1:29.944
47 1:29.578 1:30.929
48 1:29.540 1:30.026
49 1:29.523 1:30.554
50 1:29.629 1:32.282
51 1:30.013 1:33.333
52 1:30.014 1:35.416
平均 1:30.123 1:31.050

ボッタスをパスして追ってきたハミルトンはラストスティントをハードで10周、それでも結果的に11秒差つけてフェルスタッペンは優勝したのでした。

第3スティントはもっとペースアップできるが、あえてボッタスとのギャップをコントロールして余裕のクルージングだった。

先週の3位一人旅してる時と同様に、ピットへ「ドリンク飲んでリラックスしてるか?」とジョークを飛ばすマックス(笑)

アルボンもハードペースが良くて5位まで挽回、ガスリーは惜しくも11位、クビアトが10位となったホンダ勢でした。

まとめ

アンビリーバボー!

ソーシャルディスタンスなんてくそくらえな抱擁祭り!

わかる、わかるよ、今年は勝てないかもしれない、マシンは速くない、そんな悪夢がよぎっていた矢先の出来事。圧倒的なメルセデスに弱点が見つかり、そしてレッドブル・ホンダRB16はレースで最速だったのだからね。

 

なぜ?こんな事になったのか?コメントのやり取りの中、気づいた事がある。

高空気圧で表面が丸くなったタイヤ、全部の面を使うにはタイヤを傾ける必要がある。タイヤを傾けるにはマシンをロールさせなきゃいけない。レッドブルはある程度ロールさせたりリアを大きく上下動させるハイレーキセッティング。

川井さんがこんなことを言っていた、メルセデスのフロントがいつもよりロールしていると、先週のフロントバーストの対策でそうなったようだが、リアはど真ん中にブリスターが発生し、内側だけが異常に摩耗していった。

メルセデスは基本的にロール量が少ない、よってタイヤ中心からアウト側の設置が不十分である。

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対策された左フロントは綺麗で、リアは中心から内側がひどい状態、特に左にその傾向が強い終盤の2台。後ろのハミルトンは10周以下のタイヤです。

まさかですよね、ダウンフォースが強くなったことでタイヤを早く痛めるW11、コーナー脱出速度も速い訳でリアタイヤへの負担は文字通り最強なんです。

 

そして、昨年型メルセデスのリア周りを使うレーシングポイントも同じ症状。

あれ?今年モデル関係なくない!根本的なメルセデスのリアサスペンションの動かし方なんじゃないか!

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この空気圧マジックは、気温が多少低くくなっても発生すると思うし、今後に控える高速高負荷サーキットではピレリの設定次第でどう転ぶかわからない。

 

さぁ、盛り上がってまいりました(笑)