2020年F1第4戦イギリスGPは、オールド高速サーキットであるシルバーストンで行われた。
パワー、ドラッグ、ダウンフォース、メカニカルグリップなどどれをとっても最高レベルでなければ速いラップは刻めない。
メルセデスはそれらのバランスを高次元でレベルアップさせて、2019年より0.790秒短縮したが、レッドブル・ホンダは0.049秒遅い予選タイムとなってしまったのです。
予選タイム差+1.022秒
2020 GBR Q | ||||||||||
POS | ドライバー | F | S1 | S2 | SPD-F | S3 | タイム | Gap | Q | Tyre |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | HAM | 260 | 27.227 | 33.896 | 318 | 23.071 | 1:24.303 | 3 | C3 | |
316 | 269 | 258 | ||||||||
3 | VER | 260 | 27.321 | 34.404 | 317 | 23.600 | 1:25.325 | 1.022 | 3 | C3 |
307 | 270 | 254 | ||||||||
4 | LEC | 258 | 27.410 | 34.441 | 318 | 23.567 | 1:25.427 | 1.124 | 3 | C3 |
312 | 267 | 256 | ||||||||
5 | NOR | 258 | 27.569 | 34.675 | 316 | 23.538 | 1:25.782 | 1.479 | 3 | C3 |
310 | 268 | 258 | ||||||||
6 | STR | 256 | 27.691 | 34.575 | 311 | 23.573 | 1:25.839 | 1.536 | 3 | C3 |
314 | 270 | 251 | ||||||||
11 | GAS | 257 | 27.900 | 34.853 | 319 | 23.590 | 1:26.343 | 2.040 | 1 | C3 |
310 | 267 | 255 |
⇓2019年予選データ⇓
2019 GBR Q | ||||||||||
POS | ドライバー | F | S1 | S2 | SPD-F | S3 | タイム | Gap | Q | Tyre |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | BOT | 257 | 27.466 | 34.408 | 328 | 23.219 | 1:25.093 | 3 | C3 | |
311 | 274 | 254 | ||||||||
3 | LEC | 259 | 27.366 | 34.487 | 333 | 23.319 | 1:25.172 | 0.079 | 3 | C3 |
317 | 273 | 255 | ||||||||
4 | VER | 258 | 27.507 | 34.516 | 330 | 23.253 | 1:25.276 | 0.183 | 3 | C3 |
316 | 275 | 249 | ||||||||
7 | RIC | 260 | 27.588 | 35.051 | 335 | 23.543 | 1:26.182 | 1.089 | 3 | C3 |
322 | 271 | 258 | ||||||||
9 | ALB | 256 | 27.746 | 34.987 | 332 | 23.612 | 1:26.345 | 1.252 | 3 | C3 |
316 | 270 | 252 |
2019年と比較すると、セクター1,2ではタイムを短縮できているのですがセクター3で大きく遅れている。セクター3だけでハミルトンに約0.5秒負けて、ガスリーよりも遅いタイムとなってしまっています。
ハンガーストレートが向かい風だったことの影響なのか?単純にターン15,16,17が遅いのか?
各ターン手前とボトムスピード
SPD | S | T1 | T2 | T3 | T3B | T4 | T4B | S1 | T6 | T6B | T7 | T7B | T9 | T9B | T10 | T12 | T13B | S2 | T15 | T15B | T16 | T17B | F |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
HAM | 260 | 309 | 304 | 301 | 117 | 165 | 93 | 316 | 319 | 179 | 197 | 125 | 313 | 297 | 308 | 298 | 228 | 269 | 318 | 240 | 288 | 104 | 258 |
VER | 260 | 307 | 301 | 299 | 116 | 166 | 97 | 307 | 309 | 176 | 202 | 122 | 310 | 291 | 305 | 290 | 222 | 270 | 317 | 240 | 287 | 102 | 254 |
LEC | 258 | 307 | 303 | 302 | 121 | 166 | 95 | 312 | 315 | 175 | 195 | 115 | 314 | 292 | 308 | 295 | 211 | 267 | 318 | 233 | 284 | 104 | 256 |
NOR | 258 | 304 | 300 | 297 | 114 | 155 | 98 | 310 | 312 | 167 | 195 | 118 | 310 | 291 | 304 | 287 | 225 | 268 | 316 | 238 | 284 | 105 | 258 |
GAS | 257 | 299 | 297 | 293 | 113 | 156 | 92 | 310 | 313 | 165 | 197 | 116 | 307 | 289 | 302 | 286 | 225 | 267 | 319 | 238 | 280 | 103 | 255 |
※T9Bはボトムスピードではなくターン時の抵抗で落ちた時の速度
セクター1(HAM+0.094)
ホームストレートからフルスロットルでターン1,2と通過、走行抵抗で速度が落ちてターン3へとアプローチ、ターン4まではほぼ互角ですが、第1DRS区間の加速差が大きい。
セクター2(HAM+0.508)
ターン6手前最高速度差10km/h、ぐるっと回りこむターン7で遅れる、全開でターン12まで走るが、フルスロットルターン区間の抵抗が大きいのか?速度差がどんどん開いていく。
セクター3(HAM+0.529)
セクター2通過速度からT16のアプローチ速度までは互角だが、T16,17の左右の切り返しで大きく遅れる。T17のボトムスピードが遅くトラクションも悪いためフィニッシュライン通過速度も遅い、タイヤが完全に終わってるっぽい。
決勝タイム差+5.868秒
スタートはメルセデス2台に続いてフェルスタッペンは3位キープ、オープニングラップのターン17でミスってはらんだマグヌッセンのインにターン18で飛び込んだアルボンでしたが、マグヌッセンにドアを閉められ接触。
マグヌッセンが吹っ飛んでクラッシュ、SCとなりました。アルボンには5秒ペナルティが科せられた。(いやいやよく見てよ、ペナいらんだろ・・)
レース再開後、淡々と周回していく各車、ほとんど何も起こらないいつものシルバーストンですよ。
Lap13ではクビアトがターン10の進入で右リアタイヤが破損して大クラッシュ、再度SCとなる。危ないわ~296km/h時点でコントロールを失ってのスピン。
ここで各車はほとんどハード(C1)に交換する。
Lap19からレース再開、ハードは40周行けると言われておりレーシングスピードで後34周、GRO以外全車ハードのため、このまま走ってチェッカーを目指すのみになってしまう。
レースは終わった、さぁ寝ようかな?なーんて考えが頭をよぎるw
再開後10周が終わったLap29時点で、フェルスタッペンは前のボッタスから6秒遅れ、後ろのルクレールには11秒差、完全に一人旅状態、13位のガスリーは7位グロージャンが作っている集団に追いつき機会を伺っている。
あぁ~しかし眠いなw
Lap31にジョビナッツィをパスするガスリー、アルボンはここで2ストップ目のミディアムに交換して最下位へ
Lap38にベッテルをパスするガスリーは入賞圏の10位になった。最近のガスリーのレースドライビングは安定しているし、オーバーテイクのポイントやそれまでの過程が洗練されつつある。
アルボンが順調にポジションを回復しているが、トップ3のギャップはあんまり変わらない。
Lap48時点で、HAM-5s-BOT-9s-VER-28s-LECの間隔になっている。レースではフェルスタッペンのペースは良い、メルセデスのペースが予選ほど強くないですよねぇ。
Lap49になるとあれれボッタスが遅れているハミルトンと7秒差??
Lap50に入ってすぐにボッタスの左フロントタイヤがバースト、フェルスタッペンは難無く2位浮上、この周の終わりにピットへ入りファーステスト狙いのソフトへ
Lap52最終ラップ、今度はハミルトンのタイヤがバースト、続けざまにサインツもバースト!!!
ハードはレーシングスピードで34周もたないのかよ。
最終的に、フェルスタッペンは2位、ガスリーは7位、アルボンは怒涛の追い上げで8位となったのでした。
まとめ
予選の圧倒的なタイム差1秒、しかしレースになればメルセデスはタイヤの状況を踏まえてペースをコントロールしなければならないため、約30周でついた差は15秒程度でした。
それでもラップあたり0.5秒もあるんだよね。
高速高負荷サーキットでは、まさかのまさか!タイヤがバーストするとは驚いた。
退屈だったレースが一気に動いて面白いと思う反面、危険性に危機感を覚えたのでした。もっと大きくグリップダウンして走れないからピットインしなければならないって局面が無く、いきなりですからね。
ベースタイヤ部分の設計間違ってるんじゃないか?
レッドブルやメルセデスの速さを分析する上でシルバーストンのデータはかなりわかりやすいと思います。
特に2019年と比較するとトップスピードの低下、ストレート後半ではない部分で、大きくタイムを短縮しているのがわかると思います。ダウンフォース増加に伴うターン全体速度が向上しています。
レッドブルについては2019年とほぼ同タイムを記録しており、タイムを短縮している部分の変化がよくわかります。じゃ~メルセデスはどうなんだって話になりますよね、興味深いデータを手に入れたので見てみましょう。
メルセデスのハンガリーGP予選Q3ラップの2019年と2020年の比較表です。上のグラフは加速度曲線、下のグラフは回転数となります。
各ターンの立ち上がり加速度が際立って上昇しているそうです。グラフから推測すると3,4速の加速度が鋭くなっています。それに伴いエンジン回転数をより高回転で回すセッティングとなっている。
マシンに回転動作がまだ残っている中での加速が優れているって事になります。強力なトラクションとニュートラルな旋回性能により可能になる強さですね。
今回の中継 DAZNで 見てました
面白いところは すぐリプレイで 見られるので かなり楽しめました
勝手な 憶測ですが レッドブルのリアの不安定感 なんとかならないものかと思いました
あれでは コーナーの立ち上がりで トラクションが 掛からない
メルセデスの 旋回性の 良さは DASによって コーナリング中の トーアウト量を 増した恩恵では 無いかと感じました
ただし アウト側(左フロント)の タイヤは 引きずる感じになって 負担が増えたか?
右フロントのブリスター発生なども DASの影響でしょうか?
レッドブルに お願いしたい
フェルスタッペンの ドライビングの凄さは 誰もが認める所ですが アルボンが乗っても 早く走れる車を作ってもらえないでしょうか
以上 憶測と願望だけで すんません
今シーズン終了後(選手権が2020年内終了)
DASの内部機構が公開されるのと同時に、
どういう使い方をして、どのような効果が得られたのか、
も公開して欲しいですね。
直線だけで無く、コーナリング中も操作してデータ取っているでしょうね。
来年DASが禁止されても役立つことに使える?
アルボンとマックスのドライビングは似ているモノなのでしょうか?
全く方向性が違う場合、同一マシンでセットアップによる変更が出来る許容性がRB16に備わっていると良いのですが、
現状そんな感じがしない。
元リカルドの担当エンジニアがアルボンについたのも、
それが理由?
決勝が良いので、もっと予選グリッドが高いポジションを獲得すれば、表彰台の確率も上がる。
タイヤこそ、路面に接触している唯一のパーツ?センサー?
ドライバーが感じ取る重要な情報源なのですが、
予兆無く、いきなりって言うのがゾッとして怖いです。
ハミルトンは、後方とのギャップを計算しながら、近づけず過ぎず離れ過ぎず上手くコントロールしているから、タイヤもPUも負荷掛けていないので、タイヤパンク想定外だったと思いました。
最後まで交換無しで、持たせる自信があったのでしょうか?
ハミルトンは29秒台でラップできているし、崖みたいなグリップダウンを感じてないと思う。
柔らかいタイヤだとガクッとグリップダウンして、明らかにラップタイムが落ちますから。
なるほど。
バラツキ無く、
安定したラップタイムを刻む事も、急激なグリップダウンを防ぐのに役立つ?それでいて速い。
マシンにもキッチリ落とし込むセットアップを施して、
往年のプロストのような走りですね。
同じ状況で、ハミルトン2番手ボッタスがトップであっても、やはり先にボッタスのタイヤがダメになったかどうか?は、定かで無い。
でもノーポイントのボッタスには、つらい痛い結果です。
ここ2戦、マックスに2位を献上したリザルトになっていますが、
これからハミルトンにも同じ事が起こらないとも限らないので、
是非ともボッタスの挽回を期待したいです。
マックスも開幕戦をリタイア、ノーポイントだっただけに、
以降3位、2位、2位は順当なリザルトかと思います。
いずれチャンス(優勝?)が巡って来る。
今のところボッタス、マックスの2人が
ハミルトンに唯一対抗出来る存在ですが、
簡単には7回目タイトルを取らせないで欲しいですね(^.^)
ハミルトン自身も望んでいる。
「BritishGP 1戦、リア・ウイングのセット・アップからみたトップ3チームのダウン・フォース比」
ハイアー・プレッシャーのダウン・フォースのセットアップ順
①RedBull RB16 > ②Mercedes W11 > ③Ferarri SF1000
参考:TECH TUESDAY “How Ferrari clawed back some pace with low downforce setup at Silverstone” ’20/08/04.
Ferrari ran the lowest-drag configuration out of all the teams at Silverstone, Ferrari’s rear wing was the smallest at Silverstone . フェラーリはシルバーストーンのすべてのチームの中で最も抵抗の少ない構成を実行しました。フェラーリのリアウィングはシルバーストーンで最小でした。
Mercedes chose probably the second-lowest wing level of the top teams. メルセデスは、おそらくトップチームの2番目に低いウィングレベルを選択しました。
The Red Bull RB16 inherently seems to carry more drag than the Mercedes and this together with not quite as extreme a solution.
レッドブルRB16は本質的にメルセデスよりも多くの抗力を持っているようであり、これは非常に極端(低ダウンフォース)な解決策ではありません。とのこと。