久しぶりのトルコGP、2週間前に新舗装されたイスタンブール・パークは、油が浮いているような状態だった。ポルトガルのアルガルヴェと同じ状況は今季2度目の珍事件。
とにかく滑る路面で、金曜日からレッドブルは好調、フェルスタッペンは常にトップタイム、アルボンも上位に付けマシン的に強い事が証明されていた。
土曜日は雨交じり、ウェットタイヤでもトップタイムをマークするフェルスタッペン、しかし予選では開始前に降った雨、段々と雨量の減っていく路面、Q3でウェットからインターへとタイヤを変えたが、最初からインターを履いていたストロールにポールを取られてしまった。
決勝レースではフェルスタッペンがスピンして戦線を離脱、アルボンは最初のインターを上手く使えず、2ストップになり表彰台争いから脱落してしまった。アルファタウリは予選から全く奮わず、決勝でも入賞圏内に絡む事が出来なかった。
予選タイム差+0.290秒
POS | ドライバー | F | S1 | S2 | T12SPD | S3 | タイム | Gap | Q | Tyre |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | STR | 222 | 40.723 | 37.594 | 297 | 29.448 | 1:47.765 | 3 | I | |
242 | 277 | 225 | ||||||||
3 | VER | 217 | 40.721 | 37.736 | 291 | 29.598 | 1:48.055 | 0.290 | 3 | I |
259 | 273 | 216 | ||||||||
4 | ALB | 213 | 40.994 | 38.695 | 291 | 30.758 | 1:50.448 | 2.683 | 3 | I |
254 | 273 | 216 | ||||||||
6 | HAM | 212 | 42.306 | 40.327 | 298 | 29.927 | 1:52.560 | 4.795 | 3 | I |
238 | 272 | 216 |
ウェットタイヤを使ったQ2までは余裕のトップタイムだったフェルスタッペン、Q3で最初からインターだったらポールだっただろう。メルセデスはインターの熱入れに苦労し、ハミルトンが4秒以上離される結果に繋がっている。
レッドブル2台はインターへの熱入れがメルセデスより早かったとなり、タイヤの攻撃性が高かったとも言える。この事が決勝レースのタイヤマネジメントの差に繋がっていった。
決勝タイム差+44.873秒
レース開始前にまとまった雨が降りウェットスタート、2番グリッドのフェルスタッペンに期待と不安が入り混じる。そして案の定、馬鹿みたいな失敗スタート、4番グリッドのアルボンも同じ感じ、2台揃って全く進まない。
普通に1速でクラッチミートして、ホイールスピンでスロットルオフ、その後アンチストール状態になり、エンジンはスロットル操作を受け付けていないような感じ、ターン1の混乱に乗じてポジションアップできたのはラッキーだった。
レコードラインじゃない偶数側であったことも多少影響があったように感じる。
ターンイン速度は天下一品なレッドブル2台、直ぐにポジションアップしていく訳ですが、インターへ変えた後フェルスタッペンはペレスのテールに食らいつき。
Brave from @Max33Verstappen #TurkishGP 🇹🇷 #F1 pic.twitter.com/XmbSoxdpzV
— Formula 1 (@F1) November 16, 2020
これを見てる時の心情としては、そんな高速コーナーで近づくな!やばいって、やばいって、あぁぁぁあ~~~~。
そして直ぐに2度目ピット(Lap19)へと入る訳ですが、ここでレッドブルピットはフロントウィングフラップ調整をミス、右フラップを立てて、左フラップを寝かせてしまったらしい。
フェルスタッペンは後方に下がったが、今度はアルボンが好ペースで追い上げを開始、ハミルトンのミスに乗じて4位、その後ベッテルを仕留めて3位。
https://streamable.com/cw3hba
ペレスに近づいていくが抜くことは出来ずに徐々にペースダウン、インターが悲鳴を上げていた。アルボンはLap35で2度目のピットインをして戦線離脱。
フェルスタッペンは、2度目のピットストップをしていないハミルトンとペレスの後ろ3位まで復帰していたが、タイヤが完全にダメらしく3度目のピットストップ(Lap44)、この時には左フラップだけ調整しており、約25周間アンバランスな空力で走っていた事になる。
アルボンは2セット目のインターでペースを上げられず、フェラーリ2台とサインツに負け、3度ピットに入っているフェルスタッペンにも抜かれてしまったのだった。
まとめ
序盤のレッドブル2台の速さは、これはいけると思わせたが、路面の雨量が減るとインターを上手く機能出来なかった。
インターは大体20周を超えると異様にグリップダウンしていたが、ハミルトンとペレスは綺麗に摩耗させて、グレイニングしている表面を滑らかなスリック状態へもっていっている。ハミルトンは最悪な状態を超えると温度を維持できグリップが回復したと語っている。
ドライビングの差はもちろんあるだろう、しかしレッドブルがこの状態を作り出せたとは思えない。明らかにフロントに負担をかけるマシン特性は、メルセデスのように全輪に同じような負荷をかける事は出来なかったと思う。
速さだけなら、一番だったと思う。トップ走行のクリーンエアなら、もう少し路面の回復が早ければ、水はけの悪いオイル路面でなければ・・・。
たらればを言ったらきりが無い、負けは負けなのです。
レッドブルがスタートで大失敗した一方
アルファタウリ2台はスタートの混乱時にポジションアップを果たしていました。
ガスリーにいたっては19番手(実質18番手)から、あっという間にクビアトの傍まで来ていました。
ガスリーのスタート映像は
「Pierre Gasly slices through the field at the start」と検索すれば出てきます。
ガスリーは奇数グリッドでしたよね、ベッテルもそうだった、レコードライン上の影響は何となく大きかったような気がします。
レッドブルは、スタートでパワーが出ない症状が度々あるし、なんなんだろうか?
アンチストールになるのはわかるけど、回復が遅い気がする。
偶数列ながらクビアトもいいスタートだったので前で失敗してたノリス、ルクレールを抜き、1コーナー侵入時にジョヴィナッツィの後ろまでついてたのでPUってより車体側もしくはチームからの指示ミスが影響してるような感じではないでしょうか?
レッドブル勢は待機中にタイヤが冷えることを考慮して普段の倍の回数空転させたことがPUに悪影響を及ぼしたんじゃなかろうかと…。
話は変わりますが今回、RB16のウェイストゲートパイプの位置がエキゾーストの上から下(AT01と変わらないような位置)に変わってたのが気になりますね。
ウェイストゲートパイプは、リアウィング下の気流に利用していたのを、ディフューザー上面に近づける方に変更。
スロットル開度によって変化する気流がリアウィングに不安定さを与えたと考える。
ホンダには、その効果を上げるためにアンチラグによる排気発生量増加を、お願いしてそうだし・・・
排気は残さず回生に使おうぜって思いますね。
“Red Bull Family・Honda PU勢のスタート”について
スタート・ポジション側ライン上の路面環境も影響あるとのことですが、結論は記載されていませんが、RB車スタートについて少し記載されていました。同PUのAT車は良いスタートなためPUサイドが直接の原因では無い印象です。下記参照に、正常に回転している駆動がタイヤ通し路面へ伝わらないことが原因な印象です。~抜粋~
The Red Bulls both started the race in first gear, which is the conventional method in the dry and pretty much the only time first gear is used on track.
RedBullsは両ドライバーともに1速ギアでレースを開始した. これはドライでの従来の方法であり, 1stギアがトラックで使用されるのはほぼ唯一の方法です.
But in wet conditions everybody else starting in the top 10 used second gear to start, to limit wheel spin on the clutch release.
しかし, ウェットコンディションでは, トップ10からスタートする他の全ドライバーは, クラッチリリース時のホイールスピンを制限するために2速ギアを使用してスタートした.
AlphaTauri also used first gear in the other Honda-powered cars though, and had better getaways, so it can’t be the defining reason.
ただし、他Honda(PU)のAlphaTauri車でも1stギアを使用し, より良いスタートをきり,それが決定的な理由にはならない. とのこと。
参考 : @JolyonPalmer ”How a potential win for Verstappen slipped away in Turkey”