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F1史上初めてのグランプリ開催となったムジェロ・サーキット、高ダウンフォースパッケージが必要な中高速コーナー主体のコース、自由なライン取りができる最終コーナー、そして約1.2kmのホームストレートでオーバーテイクが可能であった。

レッドブルのフェルスタッペンは、予選でメルセデスとの差が今年一番少なく、レースに期待を込めていたがスタート直後にパワーユニットのコントロール系トラブルが発生、失速して下位に飲まれた後、接触してグラベルにはまりリタイアとなってしまった。

残されたレッドブルの1台であるアルボンは、本来いるべき場所に戻ってきて予選4位、決勝3位で初表彰台フィニッシュとなっています。

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予選タイム差+0.327秒

このタイム差はフェルスタッペンがQ2、ハミルトンがQ3で記録したベストラップのものです。

※比較ではQ3ラップを使用します。

POS ドライバー F T1SPD S1 S2 S3 タイム Gap Tyre
1 HAM 304 314 26.881 20.658 27.605 1:15.144 3 C3
281 258 297
3 VER 304 314 27.066 20.843 27.600 1:15.509 0.365 3 C3
278 258 300

 

開幕して以来、最小のタイム差となったレッドブルとメルセデス、8戦目からシングルエンジンモードが導入され2戦目にあたる今回、ホンダはかなり攻めたセッティングをしていた模様、そしてほんの少しダウンフォースを削ったためストレート区間ではメルセデスに若干勝っている。

 

メルセデスの予選モードは、モンツァで0.2秒失ったと川井さんはエンジニアから聞いていたようで、単純計算+10~15psぐらいだと思われる。その分のマイナスとホンダが頑張ったプラスでパワーはかなり差が詰まったように感じる予選だった。

 

レッドブルはイギリスあたりに持ち込んでいた空力パッケージ(リアウィング翼端板にスリットが入ったもの、リアタイヤ前フロアスリットを増加させたもの)を今回使用していた。

各ポイントの速度とタイム比較

テレメトリー付きオンボード動画より、速度とその区間タイムをデータ化

Point HAM Time int VER Time int
S 304 0.00 0.00 304 0.00 0.00
100T1 314 6.08 6.08 314 6.04 6.04
T1 312 6.48 0.40 311 6.44 0.40
T1 B 149 9.04 2.56 146 9.24 2.80
T1 full 173 10.40 1.36 166 10.40 1.16
T2 222 12.00 1.60 221 12.04 1.64
T2 B 164 13.60 1.60 173 13.72 1.68
T2 full 174 14.20 0.60 176 14.16 0.44
T3 B 198 15.40 1.20 201 15.60 1.44
T3 full 203 16.24 0.84 206 16.40 0.80
T4 280 20.68 4.44 282 20.60 4.20
T4 B 218 22.12 1.44 220 22.04 1.44
T4 full 220 22.28 0.16 220 22.40 0.36
T5 B 233 22.84 0.56 221 23.48 1.08
T5 full 234 23.48 0.64 223 23.96 0.48
T6 in 288 27.40 3.92 286 27.60 3.64
T6 out 283 28.72 1.32 280 28.52 0.92
T7 in 287 29.32 0.60 285 29.48 0.96
T7 out 280 30.68 1.36 279 30.92 1.44
T8 in 291 32.52 1.84 289 32.92 2.00
T8 out 278 35.24 2.72 280 35.48 2.56
T9 in 281 35.72 0.48 283 36.24 0.76
T9 out 273 37.88 2.16 274 38.48 2.24
T10 279 41.08 3.20 284 40.96 2.48
T10 B 186 42.48 1.40 178 42.92 1.96
T10 full 192 43.08 0.60 184 43.32 0.40
T11 B 216 43.96 0.88 211 44.28 0.96
T11 out 225 45.20 1.24 224 45.64 1.36
T12 271 49.32 4.12 273 49.52 3.88
T12 B 151 51.88 2.56 148 52.16 2.64
T12 full 180 53.32 1.44 174 53.64 1.48
T13 in 253 55.92 2.60 251 56.36 2.72
T14 in 268 57.16 1.24 266 57.56 1.20
T15 299 62.12 4.96 300 62.60 5.04
T15 B 184 64.64 2.52 178 64.96 2.36
T15 full 190 65.08 0.44 186 65.52 0.56
T15 out 242 67.40 2.32 239 67.84 2.32
Pit line 266 69.50 2.10 265 69.84 2.00
DRS 279 71.72 2.22 282 72.16 2.32
F 295 75.16 3.44 301 75.52 3.36

※オレンジ背景はターン手前ブレーキ寸前の速度、Bはボトムスピード、fullはフルスロットル、青背景はラインや縁石の通過を目印にしてあります。

マシン&ドライビング分析

セクター1:ターン4,5で大きく差が付いています。メルセデスのターン5速度が異様に高い。

セクター2:ターン5からは全開ですが、メルセデスがターン8,9のデプロイを抑えているのか?速度が低下、ターン10のブレーキ寸前まではフェルスタッペンの方が速い、しかしターン10,11で大きく離されます。

セクター3:回り込むターン12と15はメルセデスが速い、ボトムからのフルスロットルが早いため、その先の全開区間でも速さを維持する。

全体的に270km/hを超えるようなストレートがあるとレッドブルの加速がよくなっている。

 

ムジェロは中高速サーキットでありターン速度が重要視される、ハイダウンフォース仕様だったマシンは長いストレートでDRSを使っても最高速が約315km/hと言う状態だった。(DRS無しなら300以下)

ウィングによって生じるダウンフォースによってレッドブルのマシンが安定性を得たとも言える状況でした。

 

全体的にボトムスピード(ターン最低速度)が高いメルセデス、短いターンでレッドブルはボトムからフルスロットルまでの時間が短くタイムを取り戻せますが、大きく回り込むターン12,15ではフルスロットルになるのが遅く、ターン全体タイムでメルセデスに負けてしまう。

ロシアGPではもう少し近づいてほしい、そしてレースを走れる事がもっとも重要、パワートレイン系の信頼性が鍵でしょう。

 

参考オンボード動画リンク