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「F1 Honda TopGap」レッドブルVSメルセデス Part.2020R9トスカーナ(ムジェロ)

「F1 Honda TopGap」レッドブルVSメルセデス Part.2020R9トスカーナ(ムジェロ)

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F1史上初めてのグランプリ開催となったムジェロ・サーキット、高ダウンフォースパッケージが必要な中高速コーナー主体のコース、自由なライン取りができる最終コーナー、そして約1.2kmのホームストレートでオーバーテイクが可能であった。

レッドブルのフェルスタッペンは、予選でメルセデスとの差が今年一番少なく、レースに期待を込めていたがスタート直後にパワーユニットのコントロール系トラブルが発生、失速して下位に飲まれた後、接触してグラベルにはまりリタイアとなってしまった。

残されたレッドブルの1台であるアルボンは、本来いるべき場所に戻ってきて予選4位、決勝3位で初表彰台フィニッシュとなっています。

予選タイム差+0.327秒

このタイム差はフェルスタッペンがQ2、ハミルトンがQ3で記録したベストラップのものです。

※比較ではQ3ラップを使用します。

POS ドライバー F T1SPD S1 S2 S3 タイム Gap Tyre
1 HAM 304 314 26.881 20.658 27.605 1:15.144 3 C3
281 258 297
3 VER 304 314 27.066 20.843 27.600 1:15.509 0.365 3 C3
278 258 300

 

開幕して以来、最小のタイム差となったレッドブルとメルセデス、8戦目からシングルエンジンモードが導入され2戦目にあたる今回、ホンダはかなり攻めたセッティングをしていた模様、そしてほんの少しダウンフォースを削ったためストレート区間ではメルセデスに若干勝っている。

 

メルセデスの予選モードは、モンツァで0.2秒失ったと川井さんはエンジニアから聞いていたようで、単純計算+10~15psぐらいだと思われる。その分のマイナスとホンダが頑張ったプラスでパワーはかなり差が詰まったように感じる予選だった。

 

レッドブルはイギリスあたりに持ち込んでいた空力パッケージ(リアウィング翼端板にスリットが入ったもの、リアタイヤ前フロアスリットを増加させたもの)を今回使用していた。

各ポイントの速度とタイム比較

テレメトリー付きオンボード動画より、速度とその区間タイムをデータ化

Point HAM Time int VER Time int
S 304 0.00 0.00 304 0.00 0.00
100T1 314 6.08 6.08 314 6.04 6.04
T1 312 6.48 0.40 311 6.44 0.40
T1 B 149 9.04 2.56 146 9.24 2.80
T1 full 173 10.40 1.36 166 10.40 1.16
T2 222 12.00 1.60 221 12.04 1.64
T2 B 164 13.60 1.60 173 13.72 1.68
T2 full 174 14.20 0.60 176 14.16 0.44
T3 B 198 15.40 1.20 201 15.60 1.44
T3 full 203 16.24 0.84 206 16.40 0.80
T4 280 20.68 4.44 282 20.60 4.20
T4 B 218 22.12 1.44 220 22.04 1.44
T4 full 220 22.28 0.16 220 22.40 0.36
T5 B 233 22.84 0.56 221 23.48 1.08
T5 full 234 23.48 0.64 223 23.96 0.48
T6 in 288 27.40 3.92 286 27.60 3.64
T6 out 283 28.72 1.32 280 28.52 0.92
T7 in 287 29.32 0.60 285 29.48 0.96
T7 out 280 30.68 1.36 279 30.92 1.44
T8 in 291 32.52 1.84 289 32.92 2.00
T8 out 278 35.24 2.72 280 35.48 2.56
T9 in 281 35.72 0.48 283 36.24 0.76
T9 out 273 37.88 2.16 274 38.48 2.24
T10 279 41.08 3.20 284 40.96 2.48
T10 B 186 42.48 1.40 178 42.92 1.96
T10 full 192 43.08 0.60 184 43.32 0.40
T11 B 216 43.96 0.88 211 44.28 0.96
T11 out 225 45.20 1.24 224 45.64 1.36
T12 271 49.32 4.12 273 49.52 3.88
T12 B 151 51.88 2.56 148 52.16 2.64
T12 full 180 53.32 1.44 174 53.64 1.48
T13 in 253 55.92 2.60 251 56.36 2.72
T14 in 268 57.16 1.24 266 57.56 1.20
T15 299 62.12 4.96 300 62.60 5.04
T15 B 184 64.64 2.52 178 64.96 2.36
T15 full 190 65.08 0.44 186 65.52 0.56
T15 out 242 67.40 2.32 239 67.84 2.32
Pit line 266 69.50 2.10 265 69.84 2.00
DRS 279 71.72 2.22 282 72.16 2.32
F 295 75.16 3.44 301 75.52 3.36

※オレンジ背景はターン手前ブレーキ寸前の速度、Bはボトムスピード、fullはフルスロットル、青背景はラインや縁石の通過を目印にしてあります。

マシン&ドライビング分析

セクター1:ターン4,5で大きく差が付いています。メルセデスのターン5速度が異様に高い。

セクター2:ターン5からは全開ですが、メルセデスがターン8,9のデプロイを抑えているのか?速度が低下、ターン10のブレーキ寸前まではフェルスタッペンの方が速い、しかしターン10,11で大きく離されます。

セクター3:回り込むターン12と15はメルセデスが速い、ボトムからのフルスロットルが早いため、その先の全開区間でも速さを維持する。

全体的に270km/hを超えるようなストレートがあるとレッドブルの加速がよくなっている。

 

ムジェロは中高速サーキットでありターン速度が重要視される、ハイダウンフォース仕様だったマシンは長いストレートでDRSを使っても最高速が約315km/hと言う状態だった。(DRS無しなら300以下)

ウィングによって生じるダウンフォースによってレッドブルのマシンが安定性を得たとも言える状況でした。

 

全体的にボトムスピード(ターン最低速度)が高いメルセデス、短いターンでレッドブルはボトムからフルスロットルまでの時間が短くタイムを取り戻せますが、大きく回り込むターン12,15ではフルスロットルになるのが遅く、ターン全体タイムでメルセデスに負けてしまう。

ロシアGPではもう少し近づいてほしい、そしてレースを走れる事がもっとも重要、パワートレイン系の信頼性が鍵でしょう。

 

参考オンボード動画リンク

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コメント Comments

コメント一覧

  • じゅんた がコメント

    2020-09-18 12:58

    スレ違いですみません。
    来期のPU開発って可能なんですかね?
    ビノットが、来期のマシンはトークン使ってPUを一新するかもしれないと発言してます。
    可能ならホンダもやるべきだと思います。

    • Jin(F1モタスポGP管理人) がコメント

      2020-09-18 13:12

      レギュレーション2020-21
      出来ますよ、開幕時点で新仕様+年内1回アップデート可能

      トークンを使うという事は、取り付け方法が変わり、モノコックやギアボックス側に加工が必要になる場合です。(トークン2使用)

  • 1コメンター がコメント

    2020-09-18 13:17

    ”Congratulations to Alex Albon選手” F1キャリア初表彰台
    アルボン選手は、自身のスキルのみ(天候やタイヤ交換などの幸運なく)でつかみかけていた2度の表彰台がゴール間近の追突で幻になっていたので本当に良かったです。彼の毎レースみられる(下位ではなく)トップ下での多くの早期に決めるオーバーテイクは見事だと思います。C.Honer氏が“彼は性格が優しすぎる”と評していました。

    一方、MAX選手のDNFとワンモード化とは関係ないと田辺-TDさんコメントされてましたが、偶然なのかワンモード以降MAX選手のみPUトラブル発生してしまいました。当然、オールパッケージとして最適化されていないと良い結果には到達出来ませんが、それでも、今のところはMercに劣る印象のマシンパッケージで、MAX選手のスキルでポジション上乗せして優勝や表彰台に到達している印象があるので、何か日本人的にMAX選手にはとても申し訳ない気持ちです(・・;)。
    Hamilton選手はオーバーステア・タイプ(一般的にブレーキ遅くコーナーを鋭角に抜ける)とのことですが?、このタイム比較を参考に(ブレーキイング直前~ボトム時スピードなど)、基本的にはRB16駆るMAX選手とW11駆るHam選手のドライブ特性は似ているのでしょうか?。個人的には、この2人は別格感があるので、根拠はありませんが一般的レベルで云うオーバーステアorアンダーステア・タイプということが当てはまらないのかもしれないと思っているのですが(両方の特性を融合させたものを持つ)?。全然違いますかね。
    なお、車体差がありスキル比較は困難ですが、ターン4~5の連続鋭角系ターン、7戦 BelgianGP シケインなど速度が異なりますがW11のHam選手が速く抜ける印象があった様な…?
    “RedBull Honda Family 頑張れ!”

    • Jin(F1モタスポGP管理人) がコメント

      2020-09-18 13:37

      F1ドライビングは基本的にV字ラインですが、その中でもこの二人は明らかに違います。
      ハミルトンは高いボトムスピードを維持して突っ込み、スロットルワークで向きを変え踏んでいきます。
      フェルスタッペンはボトムスピードが低い事からも早く向きを変え一気に踏んでいくスタイルです。
      マシン特性に合わせたドライビングとも言えますが、本当のトップドライバーはアクセルに対するマシンの挙動を捉えるのがずば抜けて高い。

  • がコメント

    2020-09-18 13:33

    浅木さん曰くマックスのPUトラブルはデータの問題らしいですが少々疑問です
    浅木さんコメントでは
    ①レッドブルのPUデータとアルファタウリのPUデータを同じにしないといけない
    ②レッドブルのPUデータとアルファタウリのPUデータを統合した
    ③マックスのPUトラブルはデータを統合した際に細かい煮詰めが不足していたかも
    ①はドライバー毎でのシングルモードの認識だったんですが違うんでしょうか?
    ②は①の通りですと玉虫色のPUデータになると思いますがこれでは
    ワークスもカスタマーもおいしくないのではなんですがこれがFIAの狙い?
    ③はモンツァとムジェロは別のデータ起因と浅木さんは言ってましたが
    マックスだけトラブルはデータ起因ならば不自然ですね。一部ハードウェアなら
    個体差で説明が付くんですが・・・

    • Jin(F1モタスポGP管理人) がコメント

      2020-09-18 14:22

      2基目までは各ドライバー毎と言う情報でしたが、もしかしたら違うのかもしれません。
      ホンダの場合ICEの燃焼モードをかなり調整しながらレースでも戦ってきました。それをいきなり一つにするのは大変です。
      調整して何とかするのが前提だったため苦しくなったとも言えるでしょう。

      データの不適合性、今のPUはあらゆるところにセンサーがあり、異常を感知するとセーフモードになります。
      トスカーナのスタートは3.8秒でセーフモードに入ったとのRBエンジニアの情報を目にしました。

      統一シングルモード、市販車ですら3段階あるのに、一つですからかなり昔の市販車にしなさいって事でしょうw
      各ドライバーの味付けはERSのみで行えとのお達しです。

      • がコメント

        2020-09-19 21:02

        ERS制御のプログラムだけは、
        マックス、アルボン、ガスリー、クビアトの4人それぞれ仕様違いを設定して使っても良いと言う事でしょうか?
        またはステアリングにERS用パラメーター関係調整ダイヤルの付いたステアリングで各ドライバーがマニュアル操作するとか?

        PU保護のセーフモードについてですが、
        今回の規則変更(固定モード統一による)によって
        一度入ってしまうとエンジニアがレース続行(PU異常無いと判断)したくてもリセット出来ないのでしょうか?
        昨年初優勝したオーストリアGPの時、途中セーフモードに入ったが解除出来た(センサーが異常検知したが、PUにトラブル無かったので)

        別件ですが、
        以前にICEの気筒休止についてコメントされた方がおられて、トラクションコントロールに抵触するのでダメとの事でしたが、
        2気筒同爆点火とかもダメでしょうか?
        ICEのファイアリングオーダー(点火順序)についてはレギュレーションで規制されていないかと?

      • Jin(F1モタスポGP管理人) がコメント

        2020-09-19 23:20

        ERS設定は個別に可能ですし、レース中に設定変更OKです。
        レギュレーション上、全てドライバーが操作しなければならない事です。

        セーフモードはそれこそメーカーのさじ加減です、ホンダの場合は停止した後に起こりやすい、ルノーはフライングラップ直後に起こりやすい、色々な条件設定によるものです。
        ほとんどの事例は、熱が関係している事がわかると思います。
        例えばCEやECUのプロセッサー温度による処理能力の低下などによる不具合とかですね。
        F1の場合は、エンジンはECU(MCL製統一)、ERSはCE(メーカー独自)と使う制御ユニットが分けられています。それらを強調制御しつつセーフ設定などなど、プログラミングの課題は多そう。
        カスタマー供給を続けてきた他メーカーの方に一日の長があるのは致し方ない事だと思います。

        リセットできたかどうかは、フェルスタッペンが走り続けていればわかったでしょうけど、詳しいことはわかりません。
        ICEモードが一度下がれば上げることはレギュレーション違反になります。

        一般公開されているレギュレーションには、燃焼プログラムについての物はありませんので、詳しくはわかりませんが、点火に関しては一工程(4ストローク)の間に最大5回のスパークが許されています。
        バンク角90°V6で向かい合う気筒のクランクピンを共有すると不等間隔燃焼になる。https://motor-fan.jp/tech/10014656
        クランク角に規定は無いはずですよ、しかしF1のような高負荷なエンジンで、5,000km使わなければならないとすれば、クランクピンオフセットの等間隔燃焼だとは思いますが・・・。

  • がコメント

    2020-09-19 07:09

    ありがとうございました。
    耐久性とERS関係を中心に改善が進められそうですね。
    各ドライバーの好みに合わせた細かいセッティング構築など。

    ICEを保護するためのセンサーに一旦引っ掛かってしまうと、
    モード下がったまま最後までレースを続けるか?
    (10位完走で最低1ポイントでも獲得出来れば)
    それともレース棄権して早くリタイヤするか?
    (次レースのためPUマイレージ節約出来る)
    逆にセンサー感度を鈍らせて引っ掛かり難くするとICEを保護出来なくなるので、設定バランスのさじ加減が本当難しいですね。

    同爆エンジンの件、参考サイト添付ありがとうございます。
    V6の最適バンク角度は12O度ですね(^.^)

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