メルセデスW13のサイドポッドが驚異の進化を遂げた。

 

サイドポッド側面の上部を削って、ボディにぴったりと付けてしまったのです。

そのサイドポッド前には大きなウィングがあり、サイドインパクトストラクチャー(側面衝撃構造)が内包されています。

 

この手法は合法なのか否かを確認したいと思います。

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メルセデスW13のサイドポッド分析

https://www.racefans.net/

サイドポッドの下は通常アンダーカットを使って、空気をフロア上面に導く導線をつくるのですが、メルセデスはそこに吸気口を備えています。

その前には、フィン状のストレーキがありますが、ボディーワークが許される範囲内のものです。

これにより吸気口へ向けてボルテックスが生成され、安定した空気量を確保します。

 

問題は、サイドインパクトストラクチャーを内包したサイドウィングです。

 

このレギュレーション解釈は合法か否かという点ですが、走行しているのでFIAが承認していると判断できます。

サイドインパクトストラクチャーの位置

黄色〇がサイドインパクトストラクチャーの位置です。

https://www.racefans.net/

 

レギュレーションを図で示したものは以下になります。

https://twitter.com/AeroGandalf

中心点を上図の四角い枠内に収める必要があります。

 

メルセデスのサイドウィングは、上部サイドインパクトストラクチャーを前方向と上方向のギリギリに配置していると思われます。

サイドインパクトストラクチャーはボディワークで覆う

 

テクニカルレギュレーション13.5には、こう記載されています。

  • 2つの側面衝撃構造は、ボディワークで完全に囲まれている必要があるため、それらの一部が外部の空気流にさらされてはなりません。

 

下部サイドインパクトストラクチャーはフロアに内包されています。

 

メルセデスのサイドウィングが、ボディーワークであると言う事が焦点となります。

 

このボディーワークですが、サイドポッドやボディカウルだけじゃなく、レギュレーション上に多く存在しているんです。

ボディワークと定義されるもの

これが主にボディワークと定義されるものになります。

  • 3.5 フロア
  • 3.6 フロントボディワーク
  • 3.7 リアボディワーク
  • 3.8 テールおよびエキゾーストテールパイプ
  • 3.9 フロントウィング
  • 3.10 リアウィング
  • 3.11 最終アセンブリ
  • 3.12 第3.5条から第3.11条で定義されていないボディワーク

サイドポッドはリアボディワークに該当します。

サイドポッドと宣言したものは、その曲線などが連続したものでなくてはなりません。

 

 

メルセデスのサイドウィングは、サイドポットではなくミラーインナーステイだと宣言しているようです。

ミラーインナーステイは、3.6 フロントボディワークに該当します。

 

 

※「この先は読むのが非常に大変になります。準備はよろしいでしょうか?」


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ミラーインナーステイのレギュレーション

ミラーインナーステイはミラーハウジングの中に存在しています。

 

  • 3.6.4 ミラーハウジング

a.「ミラーボディ」として宣言されたボディワークは、次のようなボリューム内にある必要があります。

i. Z = 0に平行で、80mm離れた上面と下面
ii. Y = 0に平行で、160mm離れた内面と外面
iii Z = 0に垂直で、Y = 0に対して60°〜70°の角度で、外縁が内縁の後方にある背面。
iv. X方向で測定した場合、前面は背面に平行で、背面から75mm前方にあります。
さらに、上記で定義されたボリュームは、ボリュームRV-MIR-HOU内にある必要があります。

 

b.「ミラーインナーステイ」として定義されたボディワークは、ミラーボディをミッドシャーシに接続する必要があり、次のことを行う必要があります。

i. 3.6.4(a)の記事で定義されているボリュームの内側の面の前端と後端にある2つのXプレーンの間にあります。
ii. 3.6.4(a)の記事で定義されているボリュームの下面に平行で上向きに25mmオフセットされている平面の上、またはZ=550より下にないこと
iii. 3.6.4条(a)で定義されたボリュームの船内面の船内に横たわる
iv.Z平面またはY平面と交差する場合、単一のセクションのみを形成します

 

c.ミラーボディは、「ミラーリアステイ」と宣言されたボディワークによってサイドポッドに接続できます。存在する場合、このボディワークは次のことを行う必要があります。

i. 3.6.4(a)で定義されているボリュームの最も内側と最も外側のポイントを通過する2つのY平面の間にあります。
ii. 3.6.4条(a)で定義されたボリュームの前面にある飛行機の後ろに横たわる
iii. X面で切断する場合は、Zで50mm以下、Yで10mm以下の単一セクションを形成します。
iv.平面XF=1300の前方にあり、Z=400とZ=720の2つのZ平面の間にあります。

 

d.ミラーインナーステーとミラーリアステイ(存在する場合)が完全に定義されたら、単一のボリュームを生成するために、それらをミラーボディにトリミングする必要があります。

これらのボリューム間の交差点には、半径10mm以下のフィレットを適用できます。結果のボリュームは、ミラーハウジングとして定義されます。

 

e.完全に定義されたら、ミラーハウジングは、接続する次のすべてのボディワークコンポーネントにトリミングする必要があります。

ミッドシャーシ、サイドポッド、および第3.11.1条で定義されているフィレット。

ミラーハウジングとこれらのコンポーネントの交差点には、半径10mm以下のフィレットを適用できます。

 

※注意:Google先生の直訳なので文言がおかしなところもあります。

結論:ミラーインナーステイもボディワークだった!

  • 「ミラーインナーステイ」として定義されたボディワークは、ミラーボディ(ミラー本体)をミッドシャーシ(モノコック)に接続する必要があり・・・

 

なんと言う事でしょう。

こんなデザインが許される事になったのはレギュレーションの不備によるものだったのです。

いたるところに存在する「ボディーワーク」これを読み解き、解釈した事によって得られたデザインだった・・・。

 

ボディーワークで覆う、だったらサイドポッドにこだわる必要は無いと言う考えになります。

いつの時代にも固定観念を突き破る柔軟な考えをもったデザイナーがいる、トップチームにはレギュレーションを解釈する専門チームがあるぐらいです。

 

 

ちなみにメルセデスにはサイドポッドに接続できる「ミラーリアステイ」がありません(存在しなくても良い)

 

 

このサイドウィングを防ぎたいならこう記述します。

「上部サイドインパクトストラクチャーは、サイドポッドと定義されたボディーワークで覆う必要があります。」

 

来年に向けてFIAさんにはレギュレーションの改定を頑張って貰いたいです。

2021年までは全てのマシンがサイドウィングを使っています。

2021年レッドブルRB16Bのサイドポッド前にあるウィング