2022年の空力において最大の関心事であるトンネルフロアは、謎のベールに包まれたものでした。
2戦が終わり、クラッシュやトラブルによる緊急ピット作業にて、フロア底面のデザインが見えるようになってきました。
雁字搦めのレギュレーションとはなんだったのか?
フロアフェンスのデザインは実に多彩です。
確認すると共にその効果について考察します。
フロアフェンスの比較
現状でフロア底面のデザインがわかるのは4チームです。
それぞれデザインを確認していきましょう。
ウィリアムズFW44
フェンスの始まる間隔は広く狭まって行く、曲率が急でサイド方向へ曲げるデザイン。
アルファタウリAT03
フェンスの間隔がウィリアムズより狭く見えます。
そして、鋭くサイドへ曲がっていきます。
ハースVF-22
ハースのは間隔が広いまま、サイドへ曲がって行きます。
このフェンスがどのような機能を持っているのかCFDを確認します。
フロアフェンスのCFD
フェンスはサイドに空気の流れ吹き出すだけでなく、路面との間に負圧を発生させます。
上半分はトンネルへの間隔が広く、フェンスの間隔が狭くてなだらかな曲率の場合。
下半分はトンネルへの間隔が狭く、フェンスの間隔が広く曲率が急な場合です。
トンネルへ繋がる部分では無いフェンスとフェンスの間の空気は、フェンスの下側から路面へこぼれるように乗り越えて行きます。
路面とフェンスの端の間は狭く、流速が上がり負圧となる。
中団で活躍中のハースのフェンスは間隔が広く、強い負圧の発生ポイントが分散されると考える事が出来ます。
路面との距離を一定に保つのが難しくなったサスペンションと相まって、強い負圧のポイントを分散させる事で、ダウンフォースの安定性があると考えられるでしょう。
また、曲率が急なものは正圧が増加、ドラッグが増える事も考慮しなければなりません。
異質なフロアフェンスを持つレッドブルRB18
レッドブルのフロアフェンスは、今までの3台とは違い、曲率がなだらかです。(ほぼ直線にしか見えない)
側面から2枚目のフェンス(青矢印)は、途中でカットさせて強力なボルテックスジェネレーターになっています。
トンネルに一番近いフェンスは異様に長く、途中で折曲がり路面に対して平面状(緑矢印)になっている所があります。
このフェンスを乗り越えた空気は、路面とこのミニフロアとも思える平面部分で負圧を多く作り出すでしょう。
このフェンスの出口はフロアサイドのかなり後ろで、トンネルに繋がっているのに空気が抜ける通路(赤矢印)が見えます。
フロアサイドにあるS字ボルテックスジェネレーターに吹付けるように空気が出てきます。
このS字の後ろの曲面は、ターン中にアウト側が路面に張り付きダウンフォースを発生させます。
その後ろに発生するボルテックスはフロアをシールすると共に、リアタイヤ下側の正圧部分を吹き飛ばしドラッグを低減します。
まとめ
いや、もう、わけがわからないレッドブルのフロアフェンスです。
最初に確認してきた3台とは、全く違う思想であり、異様で異質で変態的です。
さすが、ニューウェイ空力大先生と言ったところですね。
今年から導入されたフロアフェンス。
フロントタイヤで発生する乱流をトンネルフロアから遠ざけるバージーボード的な役割だけかと思えば全く違い、それ自体で負圧を作りダウンフォースを発生させるものでもあります。
フェンス自体の長さ、形状にかなり自由度があり、最適解と思われるデザインへは簡単にたどり着けません。
各チームの思想が色濃く出る部分です。
今年のレギュレーションは自由度が少ないよ~なんて言葉は全くの嘘です。
予算制限、空力実験時間ハンデキャップなど、昨年のチャンピオンシップ上位チームはかなり大変です。
足並みが揃うのは、おそらく3~4年かかるかもしれません。
コース特性によってフロアのコンセプトを変える可能性はありますかね?
無いです。
そんな事したら、今までのデータが無意味、シミュレータも無意味、あらゆるセッティングの全てがやり直しになってしまう。
レッドブルは、フロントダウンフォースがフェラーリより低いと思っています。
ドラッグを増やさずにフロント寄りのダウンフォースを追加出来るかがポイントになると思います。
なるほど
そこに直線番長な理由が隠されていそうですね。
可能性としての話ですが、メルセデスだけはフロア変えてくる可能性があると予想しています。
恐らく今のコンセプトでは、フロントウイングやリアウイング、ビームウイング等のマシン表面の変更だけでバウンシングを抑えるのは、かなり難しいと予想してます。
レッドブルはトンネルの一番狭くなる所が、3チームに比べて広い。
ポーバジングが起こりやすいチームは狭いです。
メルセデスの修正はまずそこかな?
フロアのトンネルといえば
アストンマーチンとレッドブルで共同開発、ニューウェイ氏が空力面を手掛けた
ヴァルキリーを思い出しますね
今シーズン2戦終わっただけなので、まだまだ先が長いですが、
結果だけで見るとフェラーリとレッドブルが2強が先頭を走っていて
中団グループが混沌している感じですね。
決してメルセデスが3番手ポジションに位置してる訳では無い。
遅れを取っているメルセデスが、いつまでに2強に追い付く事が出来るか?かなり手こずって時間掛かりそうに思えます。
それとマクラーレンもですが。
車体での遅れをPUでカバー出来るほど今のメルセデスPUにアドバンテージがあるとも言えないですし?
車体センター中央のボトム部分は、涙型アーモンドの形をしているのですね(スキッドプレートは四角形のプレート板ですが)
このフロアパネルは、今でもそうですが大きな損傷が無い限り年間を通じて全く同一のモノが使い続けられるのでしょうか?
スキッドプレートは交換すると思うのですが。
楕円形フロア中心の上には何があるか?
変えると言う事は、内部配置もやり直しなるので、微妙な変更しか出来ないです。
サイドポッド床下のベンチュリー構造が
前方入口が拡がる→中間で下がって絞られる→後方出口で再び拡がる
と言う格好になっていますが、
サイドポッドの熱交換機器を置くとすれば、一番路面に近い場所なので中間部分が最適だと思うのですが?
サイドポッドが極端に小さいメルセデスやウィリアムズには当てはまらないかも知れないですが?
フェラーリ、ハース、マクラーレンはラジエーター配置が昨年とほぼ一緒です。
他は、多少浮かせていたりします。
メルセデスは燃料タンクに溝を作って、はめてこんでいる為、冷却効率が悪いとの噂です。
ウィリアムズFW44は、
センターラインクーリングで重心が高くなる事を承知の上で、
サイドポッド縮小に踏み切っているのが、よく分かるマシンですね。
すごく割り切っている。
オールマイティーなマシンでは無いので、限られたコースでしか見せ場も無いかなぁ?
個人的には、FW44好きなデザインですが?
フロアフェンスは垂直でなければならないとかは無いんですねえ
部分的にダブルフロアとかレッドブルの変態っぷりが凄まじいです。これに加えてハイレーキもある訳ですし…
空気の流れと効果が読めませんw
というかCFDぶん回さないと中々たどり着けないと思うのですがどこからそのリソースを捻出したのか…
ポーパシングという想定外の要素だってあったのに、第2戦でいちばん制御出来てる気がしますレッドブルは。
有機CFDニューエイ先生をお忘れか?
私は空気の流れが見えます!by新方法(New way)
フラットボトム期(~1994年)やステップボトム期(~2021年)のフロアパネルと比べて曲げ剛性が高そうです。
モノコックと同様で、カーボンファイバーの鎧って雰囲気です。
全体がフラットで平らな板よりも両サイドが湾曲してベンチュリートンネル構造のパネル板が反り難くい?
それでもメルセデスは両サイドの後端をワイヤーで吊って補強サポートしていましたね。
JINさん、勉強になります。m(__)m
フロア前縁の、何枚かのパーテンション的な仕切りによる Channel (経路~溝~集める) 部分について、RB18の場合、おそらく、前方インテーク・エアー側の特にインサイドの部分は、広幅かつ前面投影に対し抵抗の少ないであろう直線的なラインにより一貫して流入量が多い。そして、他チームの場合‘仕切り’の前後長が短くアウトレット位置が比較的前側で、エアーがリリースされた後の方向性への強制度が低め ≒ 変化による他からの影響が高め?。その点RB18は、仕切りが長くアウトレット位置を安定して計算された位置へ導きエアーリリース後のフローへの強制度が高めで ≒ 変化に対する影響度が低め?、また、広幅で多くインテークし、ある程度長さを取った位置から急激に狭窄部(低圧=流速増す)を導き、また、おそらく、その高まった流速を保ったまま狙った位置へリリースするような形状でもあるのでしようか?。変化量が安定していて、おそらく狙ったセットアップもし易そう。
空力学はトータルパッケージを統合させたコンセプトなので、その部分だけ取り入れた影響の詳細は不明ですが、おそらく、このRedBullフロア・コンセプトのアイデア、即Copy ; パクられそうですね。(笑)
RB18が非ニュートン流体を使ったポーパシング対策専用のダンパーを導入しているという話がでていましたね
排熱を利用して高温にしなければいけないからexhaustの近くに置く必要があるが、プッシュロッドのジオメトリが一役買っているとか。
全くの素人なのでどれだけクリエイティブなものなのかさっぱりですが、とてもクールなアイデアに聞こえます。
あれは多分、4月1日だと言う事で、スカボロー氏の冗談でしょう。
ダンパーの役割として、ばね要素の振動周波数抑制に非線形のものは許されない。
これが2022規定の根本的に難しい部分です。
「大きく非対称な減衰力」
を利用することは許可されていません。
件のTweetの最後のツリーにJo Ke-Son-Youと書いてある上に#April1stとタグ付けされているので間違いなくエイプリルフールネタですよ…。
ひっかかってる方が多数見られてましたが…。
Jo Ke-Son-You→Jokes on you
フェラーリのフロアも公開されちゃった…
https://twitter.com/tgruener/status/1517557325636280322