過去にあったF1技術に迫る!今回はアクティブ サスペンションについてです。
Active Suspensionは1982年頃よりロータスで開発され始めています。実戦投入された1987年セナの駆るロータスで初優勝したが、重量増・制御・信頼性に乏しく1年で姿を消した。
そして、1992年ウィリアムズ・ルノーFW14Bに搭載されマンセルのドライビングによりシーズンを支配しました。FW14はニューウェイにより空力性能は抜群に良かった、アクティブ サスペンションにより更に強くなり前年度チャンピオンのマクラーレン・ホンダを圧倒しました。
1993年はウィリアムズ・マクラーレン・ベネトン・フェラーリ・ロータスが独自開発のアクティブ サスペンションを搭載し、フットワークはマクラーレンから購入しています。
アクティブ サスペンションの原理
油圧アクチュエーターで、路面の凹凸やダウンフォースの強弱により変化する車高を常に一定に保ち、フロアの空気の流れを安定させるものです。特にディフューザーの効率を最大化するものであった。
主にプログラミングによりコース毎に路面の凹凸を設定(距離計測などで)、速度センサーやGセンサーで荷重の変化とダウンフォースを捉え油圧で制御します。マシンとピットを繋ぐ双方向テレメトリーによりセッティングは随時変更可能なものでした。
貴重な1987年ロータスのアクティブサスペンション可動テスト動画では、速度計測のピトー管に息を吹き付けると、車高が上がっているのがわかります。速度上昇に伴うダウンフォースに対抗する可動だと言う意味。
ウィリアムズFW14B・FW15
ウィリアムズはサスペンションが油圧アクチュエーターのみになっています。1993年にフロントはロッカーを介したモデルを投入しています。リアに関してはロッカー無しのロッド直付けのみ設定です。
マクラーレンMP4/8
ビルシュタインとTAGエレクトロニクスの共同開発、特にTAGの制御技術はF1界トップでした。
マクラーレンは油圧式フルアクティブを目指さずに、ロッカーを介してスプリングも使い微妙な振動をカバーするものでした。
アクティブ サスペンションの効果
アクティブサスペンションの無いリジェのオンボードを見ると、路面とフロントウィングの距離が凹凸でブレブレになっているのがわかります。ステアリングキックバックもかなり多いです。車速が上昇しダウンフォースが増加するとフロントウィングは路面にかなり近づいています。
マクラーレンのオンボードは、もの凄く安定しています。サスペンションアームが常に素早く動いているがわかります。マスダンパー搭載のルノーRS25、イナーターを搭載している現在のマシンと同等な挙動だと感じます。
ディフューザーストール機能
ストレートでリアの車高をギリギリまで下げ、ディフューザーをストールさせる事でドラッグを減少させます。この効果は最高速で最大約20km/hあったと言われています。
ベネトンのオンボードですが、動画00:54でシューマッハがステアリングにある青いボタンを押しつづけています。これによりリアの車高を下げてドラッグを減少させます。2020年現在で言うところのDRS(ドラック リダクション システム)です。
上の緑のボタンはギアダウンにて使用しています。当時はフルオートマチックトランスミッションを使用しており、ギアアップは自動で、ギアダウンはプログラミングされたギアポジションをボタン一つで実現していました。
1993年限りで、アクティブサスペンションは空力稼働装置に当たるとして禁止され、トラクションコントロール・ABS・フルオートマチックトランスミッション・パワーブレーキ(油圧アシスト)などのドライビング補助に当たるデバイスは禁止されました。
チャップマンが懲りに凝ったシステムでしたが作動がワンテンポ遅れると聞いたことがあります
残念でした
これならティレルの電池式?の車高装置の方が当時は有益でしたね
ロータスはレーザーポインターも使って完全なアクティブ化を目指していたとか?
何にせよ当時の電子技術で実走までするなんて凄い事だった。
1993マクラーレンもリアの反応が速すぎたなどがあった、理由はエンジンに近くて油圧反応が速い事だったなんてね。
現在は機械式でこの動作をほぼ実現している訳ですが、開発費用がかかり過ぎる。
2021ルールでアクティブ共通パーツ化にならなかったのは、ちょっと残念でした。
珍しい電動式のアクティブ?を使ったのは後にも先にも、ティレルだけだったでしょうか?
記憶してるのは、中嶋悟選手やジャン・アレジがドライブした019と後継モデルの020(3年間、同じモノコック使用)、片山右京選手ドライブの021で、
フロントがモノショックタイプのノンロールサスペンションに車高調整用の電動モーターを使っていた。
エンジンが非力なコスワースDFRのV8だったので、動力を消費してしまう油圧式を使わず、バッテリーの電源さえ確保すれば使える電動式にしたのかな?と思ってしてしまいました。
パワーステアリングの油圧式より電動式の方が?みたいに。
1992年のマクラーレンMP4/7Bは、イタリアGP予選のみ少しだけ御披露目しただけで引っ込められましたが、完全なフルアクティブ(プッシュロッド式)だったですよね。しかもマクラーレンが開発主体でなく、ホンダ系列のサスペンションメーカー、ショウワ製作所が中心となって独自開発したとGPカーストーリーで読みました。
ロータス99Tのフルアクティブ(プルロッド式)を御手本にしたともありました。
1993年のマクラーレンMP4/8のアクティブサスペンションはMP4/7Bのモノとは全くの別物ということですね。
1994年以降もアクティブサスペンションの開発が続けられていたら、全チームがフルアクティブ使用だったでしょうか?
しかも、万一システムダウンした時に必要なバックアップスプリングすら不要にした完全型(それは安全対策上、無理ですね)
マクラーレンはホンダのECUも使っていて、1993年は新規開発でした。
しかし、それが逆にTAGエレクトロニクス(現マクラーレンアプライド)を強くした。
今の技術で作れば、誤作動や壊れる心配はほぼないでしょう。
TAGエレクトロニクスのスタッフメンバーは、もともとTAGポルシェターボの電子制御を担当していたボッシュのメンバーがヘッドハンティングされた人達ですね。
ラウダやプロストのタイトル獲得に貢献した裏方、プロフェショナル集団。
顧客にグループCでのメルセデスエンジンやプジョーF1エンジンなどの制御系を請け負っていましたね。
次回発売(6月予定)のGPカーストーリー、ロータス107を取り上げるので楽しみなのですが、
1992年ロータス107が、フロントがモノショックのセミアクティブで、スイッチON、OFF切り替えでパッシブサスペンションでも走れる優れモノ?
ハッキネン、ハーバード両ドライバー共にスイッチを切って、ほとんどパッシブで走行していたとの事。
それが、翌1993年ロータス107Bに改変されて、フロントがツインショックのフルアクティブに変更されました。
フルアクティブだとパッシブには戻せない。
さらに、翌1994年ロータス107Cではパッシブサスペンションに戻ってしまいました。
残念
個人の感想で失礼します。
GPカーストーリー「ロータス107」を購入して、じっくり読みました。
デザイナーのクリス・マーフィー設計(ラルース・ローラ設計で有名)
1992年107が、モノショック(1本)+セミアクティブ(ですが、ほとんどスイッチOFFにしてパッシブサスとして使用)
1993年107Bが、ツインショック(2本)+フルアクティブでアップデートしたはずがセットアップ難しいようでした。
それでも、ハッキネンがマクラーレン移籍後、残されたマシンを引き継ぎ引っ張り上げたジョニー・ハーバードは尊敬に値します。
1994年107Cでは、
ハーバードもホンダ(無限ホンダでしたが)ユーザーだったのですね。
ロータス在籍の長かった
ハーバードも、先のハッキネンと同様にロータスを卒業して、
古巣ベネトンに移籍して、あのドイツ皇帝ドライバーのチームメイト(No.2?)として活躍する事となるのですが、苦労もした。
次回GPカーストーリー「ティレル020」ですが、
今回のロータス107同様、3年間同じ設計のモノコック使用のF1マシンと言うのは偶然なのでしょうか?
今のF1では考えられないです。
でもモノを大切に長く使用するのは良い事と思うのですが?
財政的、環境的にも
こんにちは
アクティブサスペンションの解説有り難うございます
ロータス99Tでは、作動が遅れるので、
セナはブレーキングポイントの手前からブレーキを踏んで、フロントを沈めて作動させていたとか聞きました
それに比べて、今の技術で作ると凄い物ができるのでしょうね
想像しただけでワクワクします
余談ですが最近は前走車などから飛んでくる液体によって車載カメラなどが汚れることが殆どありませんね笑
ロータス99Tのフルアクティブサスペンションは、応答速度の遅れが解決出来ず未完成で、対するウィリアムズFW14Bの通称リ・アクティブサスペンション(ハイドロニューマチックサスペンション)が実戦向きで完成度が高いでしたので、よく比較されました。
甲乙付け難いですが、ロータス方式は基礎技術(CPU演算処理)が間に合わなかったのが残念でした。
それでも、低速市街地サーキット2連戦(モナコ、デトロイト)を制覇したのは凄いです。セナの凄みを感じます。
待望のホンダターボエンジンを手に入れたのに、ウィリアムズホンダに太刀打ち出来なく、翌年マクラーレンホンダに移籍するまで我慢強くロータスホンダで奮闘したのも凄いことでした。
アクティブサスペンションでは無いのですが、一般車でエアーサスペンションの車に乗せてもらったら、まるで魔法のじゅうたんの様にフワフワ感でした。
荒れた路面を通過しても接地感が感じられず、床下では何も起らなかったと感じるくらいに。
地に足が着いていないと言う表現になります。
これが正にスカイフック理論と呼ばれるのものですね。
私はY31セドリック(エアサス)が初めての車でした。
でもね、コントローラーでローダウンだったので普段は跳ねまくってましたね。
普通にするとフワフワと快適で、さらにハイにすると凄かったですよ。
まぁハイは深雪用でしたけど、砂浜も結構いけたなぁ。
あと、あの車ギアDに入れるとググっとリア車高が下がるんですよ、だから普段からフロントの下げを多くして、高レーキ角セッティングでしたよ(笑)
日産セドリック、懐かしいです。
テレ朝ドラマの西部警察や特捜最前線を思い出してしまいました。笑
今のF1マシンにアクティブサスペンションを載せたら、フロント側よりもリヤ側に効果発揮出来ますね。
同じ車体で
コースの特性に応じて、高レーキ角とフラットレーキ角を自由自在に使い分け出来る。RB16とW11の美味しいとこ取り。
アクティブサスペンションで
マンセルはロータスで恐怖を感じ、セナは電子制御には否定的だったにも関わらず、結局この2人がアクティブを最大限モノにして恩恵受けたのが何とも皮肉でした。
アクティブ初体験だったプロストは、何万kmテスト走行しても最後までFW15Cに絶対的な信頼を感じ取る事が出来なかったようですね。
4回目のタイトル獲得しても満足感が少ないコメントだったです。
セナは87年のロータス99Tのアクティブサスペンションは余り快く思っていませんでしたね。あれがもっと完成度の高い技術装備であったら・・・モナコとデトロイト以外の優勝もあったかもしれません。後、94年にシーズン開幕前デーモン・ヒルはアクティブサスペンションの申し子だから彼は駄目になると公言していた人もいた記憶があります。実際、そのような事はありませんでしたが。
ロータス99Tの動画画像を観ていますと、当時の車体(オス型成形モノコックで別カウルのカバーを被せる)が懐かしいです。
現在主流のメス型成形モノコックが、まだ少数派だった時代。
カーボンファイバーに埋め込まれたバルクヘッドを固定するリベットが、ロータスのモノコック特徴。
それと1987年までのレギュレーションで、ドライバーの着座ポジションが、かなりフロント寄り(ペダルの位置がフロントタイヤ車軸を越えていた)なのが印象的でした。
1988年以降、現在のF1のようにドライバーが後方に下がりノーズが突き出たスタイルになったのは御存知の通りです。
燃料タンク容量も195リットルだったので、満タン時と消費した後での車高変化にも、アクティブは対応していたのですね。
そう言えば思い出したけど、セナは92年のシーズン中のどこだったかのテスト時に「個人的には余りこう言う電子制御のシステム等は好きではないんだ。ドライバーの真の実力が一体どれ程か?コンピューター制御だとそれらが殺されるので。」と言ったコメントをしていたような記憶があります。僕は確かにセナの言い分も一理納得のいく面もある気も今は致します。当時と今はレギュレーションやエンジンの規格等も全然違うので何とも言えませんけど、皆様は一体この言葉にどう思われますか?何か・・・今でもセナのその言葉が心に残っていたので。もう28年前の事ですみませんが。
セナはTCSをかなーり嫌っていましたね。セミオートマもバトル相手のギアチェンジミスを誘えないとかなんとか。
ドライバーの差が露骨に表れる部分であるし・・。
でも、合っても無くても速いドライバーはやっぱり速かった。
さすがにフルオートマは禁止されていますが、
ステアリングから手を離さずに操作出来るパドルシフトが今では標準装備品となりました。
それでもセナにとってシフトノブでの操作に、こだわりと手応えを感じていたのですね。
F1で初めて採用されたドライブバイワイヤも、従来の機械式アクセルの操作に慣れたセナにとっては違和感があったのですね。
ホンダにして見れば、セナのアクセルワーク(セナ足)を解析、数値化して電動で再現するつもりが裏目に出たか?
この時代、F1の電脳化技術が色々試されてマニアには興味ネタが尽きなかったでしたが、操作する立場のドライバーにすれば、最初は戸惑いもあったのですね。
怠け者の自分には、技術進化で運転が楽になってしまい、ますます怠け者になってしまいそうです。泣
私はTCS,ABS(電子制御)は嫌いです。基本的に4WDしか乗らないので必要性を感じないとも言えます。
近年の事故を見ていれば、電子制御によって運転技術が下降しているのはわかると思います。
そして電子制御でもどうしようもないスピード領域で事故になるので、死亡事故率が高くなる。
その機能をわかっていて乗っているのか?それが普通だと思っているのか?でも運転技術の違いが生まれるでしょう。
ドライビングの大きな割合を占めるアクセルワークは、セナが最も得意とするところ、TCSを嫌っていた理由です。
今でもこの様な装置、或いはシステム等を嫌うドライバーはいるのでしょうか?セナはTCSのどう言ったところが嫌がっていたのでしょうね。今更誰も分からない事実ですけど。はて?
なるほど、管理人さん。分かりました。どうしてセナはTCS等を嫌った理由が。つまり電子制御と言う物は運転技術下降を招く、=返って危険、更には事故までを招いてしまう訳ですね。天国のセナには申し訳無いのですが、彼の死亡事故はある意味それらを示唆していたのかも・・・と言う気もします。ハイテク過剰も困った物ですね。
1993年アクティブサスペンション最後の年、ミナルディ(現在のアルファタウリ)M193というF1マシンがありましたが、
このマシンのフロントサスペンションが、一見ウィリアムズFW14Bの金色油圧アクチュエーターにソックリなのですが、エンジンから油圧ポンプを使って動力を使って動かすアクティブサスペンションと違う簡易式アクティブではありますが、通常パッシブサスペンション扱いでした。
ただ他のパッシブと違ってフロントとリヤを機械的に連結、連動させている(電子制御は一切使わず)のが面白いでした。
これが後のFRICサスペンションの元になったのですね。
単純にノーズダイブやリアのボトミングを抑えるものなのか!?
機械制御FRICってな感じですね。
電子制御式やFRICサスペンションのように、きめ細かい制御は出来ないので、そんな感じでしょうね。
それでも資金力の少ない下位チームが、出来る範囲の色々アイデア工夫で技術挑戦する事に好感が持てました。
それにエンジンもフォードコスワースHBのカスタマー仕様(シリーズⅥ)だっただけに尚更そう感じました。
FIAが目指すところのコスト削減というのであれば、全チーム共通のアクティブサスペンション(FIA公認仕様)導入するのが、一番効果的だと思うのですが、全チームの承認一致が不可欠ですね。