2022年新規定F1は設計自由度が無い、似たようなマシンばかりになると言われていましたが、多種多様なマシンが入り乱れる結果になっています。
特にトップ3チームと言われるレッドブル、フェラーリ、メルセデスが全く違うコンセプトだった事が衝撃的でした。
基本的な設計においてフロントアクスル位置が違う事はあまり注目されていません。
ホイールベース最大3,600mm、その始まりを決めるフロントアクスル位置には100mmの自由度がある。
今回はそこに注目してみましょう。
フロントアクスル位置が違うトップ3マシン+α
フロントアクスルはコクピットの先端(Xa)から100mm後方にあってはならないとの規定があります。
コクピットの背面(Xc)=インダクションポッドの先端とヘイローの先端部分が同一距離(規定上同一)になるように画像を調整しています。
フロントアクスル位置の違いは、レッドブルが一番前、メルセデスが一番後ろ、フェラーリが中間となっています。
ホイールベースの中心線(赤ライン)の位置で考えると、重量物であるパワーユニットが近いフェラーリやメルセデスは減速からターンイン時に荷重がかけやすい。
ダウンフォースも関係するのですが、マシンの素性的にそのような傾向になると言う事です。
レッドブルがアンダー傾向なのはこの設計によるところが大きい。
どんなに空力改善したところでフェラーリにターンイン速度で負ける理由がここにあります。
アルファロメオはフェラーリと同じフロントアクスル位置でありながら、リアアクスル位置がレッドブルに近く、ホイールベースが3,600mm以下なのが明白です。
フロントタイヤ位置のセオリー
F1マシンの設計においては空力が重要視される。
フロントタイヤの乱流は邪魔者なので、出来るだけ車体から離した前に置くのがセオリーです。
新たなホイールディフレクターがありますが、ステアリング操作と共に流れが変化してしまう。
そして、バージボードやノーズ下のエアロパーツが使えなくなった事で、この設計による利点は大きくなっている。
昔からある、この基本的な考えを守っているのがレッドブルなのです。
フェラーリやメルセデスは重心におけるアンダーステアを嫌った為に、このような位置になったと思われます。
また、この設定の違いによってフロントウィングで上昇する気流の処理に違いが生まれます。
レッドブルのフロントウィングは何処よりも前にあり、ダウンフォースが「てこの原理」で増加します。
そのためフラップ角度を浅く出来て、気流の上昇率を下げる事が出来ます。
レッドブルのフロントアームは気流を下げるエアロ加工がほぼ無く、なるべく直線的に導く様に作られており、リフトとドラッグを抑えています。
空力パーツの寸法はアクスルラインが基本になります。
レッドブルのフロアの始まりは何処よりも前であり、これもフラップ角度に頼らないフロント寄りのダウンフォースがある事に繋がっています。
フェラーリやメルセデスはフロントウィングの上昇気流をアーム類を使って下げるのですが、このエアロアームがドラッグになります。
フェラーリはメルセデスよりもフロントウィングやノーズ関連の空力処理がスムーズな方です。
メルセデスのフロントアームは幅が広く太くなっています。
イギリスのアップデートではアームの付け根に気流を下げるデザインを盛り付けて、アッパーアーム後ろを高い位置に移動させています。
フロントウィングの上昇気流への対応が不十分だった事がわかるアップデートです。
まとめ
現状で正解はレッドブルですが、このフロントアクスル位置はマシンの素性を決める重要なポイントです。
フロントウィングから始まる波打つような気流をどう処理するのかにも影響を与えます。
来年のマシンがどのような位置なのか?
メルセデスの改善を見極めるには、先ずこのフロントアクスル位置の確認です。
前方がタイトになり空力に支障をきたす設定が間違いである事は明白だからです。
残念なのは、これを見極めるのが困難だと言うところ。
テストや開幕すぐに比較出来る画像があるのか・・・期待してます。
この100mmの違いを残したレギュレーションは、よく考えられていると感心しています。
F1において100mmの違いを生み出せる事は、はっきり言って自由である事と同義です。
空間を作って、空気を自由に流すだけではダメってことなんですね。
それにしても、レッドブルのニューウェイさんは、凄い。レイトンハウスなどのピーキーな車を作っていた人が、今となればF1デザイナーの先頭を走る。F1って、速い車同士が高次元にやり合うのが理想ですね。
F1マシンとしての基本ベースを守っている事がレッドブルの強さですね。
今年のポイントは、基本的な事をやる、分散させる、総合的なバランスが必要なんです。
フロントが強いフェラーリ、ダウンフォース最大値が高いメルセデス、どちらも負けた。
F1ドライバーをクラッシュ事故から保護して安全性を高めるために
フロントアクスル(車軸)よりもドライバー足元つま先(アクセルペダルやブレーキペダルの位置)が越えない様にする(フットボックスレギュレーション規定)事で
現在のフロントノーズ先端部分が前方に突き出したスタイルになったのは今から遡ること約34年前の1988年からでしたね?
マクラーレンMP4/4が随分ノーズが伸び切った印象有りました。
それまでのF1マシンは、ノーズ先端が短くて太いスタイル?
ドライバーのシートポジションも、かなり前寄りで今考えるとゾッとしますね?泣
燃料搭載量も少なくなってタンク容量も小さくなったのでホイールベースが長くなってもドライバーのシートポジションを後ろに下げる事が可能になりました。
現在のF1レギュレーションでは最大ホイールベース長さが決めらているので既に限界でしょうね?
ホイールベース全長が一定の中で切り詰めるには
PUの長さを縮小させるか?燃料搭載量をさらに減らすか?しかないですね?
レッドブル、フェラーリ、メルセデス、アルファロメオのサイドビュー画像ですが、同じ縮小率として定規を当てて測るとレッドブルとアルファロメオがフェラーリとメルセデスよりもホイールベースが短いですね?
上限目一杯(ロングホイールベース)は、メルセデスでしょうか?
レッドブルはハイレーキとの組み合わせでショートホイールベースを採用していましたがグラウンドエフェクトカーになっても、その傾向は変わっていないのでしょうか?
全てが同じ場所同じ角度では無いので、正確では無いですよ。画像の解像度も低いのでそこまでは判断できません。
それでも違いがわかるほどにアクスルラインが違う。
昨年で全台が3,650mm以上なので、基本的にホイールベースは最大なはずです。
来シーズン2023年のマシンは、新レギュレーション2年目なので基本的に今シーズンマシンを熟成させる方向でしょうね?
特にレッドブルはチャンピオン獲得マシンなのでジオメトリーを変更する事は無いと思うのでホイールベース長も不変かなぁ?
課題の軽量化も克服してバラストの位置を調整しやすいので、よりバランスが取りやすくなる?
ライバルチームとのアドバンテージ差が少なくなれば更なるアップデートが図られるかも知れないですが?
次の一手は既に用意している事でしょうね?
問題は重量ですね。
798→796kg、レッドブルでも5kgオーバー?メルセデス8kg?アルファタウリ12kg?
これを達成する為にホイールベースを短くするのか?+チタンで軽くするのか。
バラストの事を考えると今より10kg減は必要です。
何時も楽しく読ませていただいてます
ホイールベース最大値も決められたしそこまで…などと思っていましたが
これはびっくり だいぶ違いますね!
鈴鹿で写真を撮った際にメルセデスが胴長に感じたのは
こう言うことだったんですね~
“楽しく勉強になります”
ショート・ホイールベース & ハイ・レーキ特性からくる強い荷重移動=挙動の影響を、フロント・アスクル&フロア前端部の前方化による総体的フロントDWFの強化により軽減 (クイックかつ小回りきく回頭性を保ちつつ、フロアタイヤのグリップ力 & 耐久性も↑) させた RB18 ということなのか?
このホイールベース・ベース比較画像を見て、当初、22シーズン規制対策のためのRB18レイアウト・デザインにて、コックピット位置を後方化するため Power unit サイズ側の対応が必要 (リアエリア前後長がスモール化へのPUのサイズ的対応?) という、RBサイドのシーズン前コメントの記事の内容との辻褄があう印象です。
昨年までの各マシンの特性は一度無くして考えた方がいいです。
Rb18は結局のところフロントの強さを失っているからです。
何を優先的にしたマシンなのか?
それによって失うものをどのようにして補完しているのか?
何事にも順序があります。
“回答ありがとうございます”
F1テクニカル面を解釈する上で、私はまだこれ迄の観念が固定化し、経年変化の面で現在を考慮出来ていないことに気づきました (このため、より正しいF1テクニカルを知ることは他の全ての面において役立つ)
確かに、特に F1-75 に対し、RB18 は、以前迄の小回り系旋回性が一番の Red Bull F1カー特性ではなく(初期の車重の影響もプラス)、ロング・ストレート系を含む高速域セクターで速く、また、タイヤ耐久性に優位で、レース周回全体をより速く走り終える特性の印象であったことを思い出しました。
“Aero-dynamix “Rake Angle On F1 Car” by F1 Technical”
上記の記事を閲覧したのですが、記事掲載した時点のショートホイールベース&ハイレーキ・セットアップ車体の考察と比較して、2022 RB18は “勝つ ≧ 速く = Must タイトル獲得” の点で、JIN氏のこのピックアップ考察から、明らかにコンセプト&実車がさらに正常進化している印象ですね 。
最大ホイールベース3600mmが決められて一定の範囲中、
レッドブルがフロントアクスルまでの長さを大きく取れたのも、
ホンダPU(昨年RA621Hベース)の
ボア80mmと言うPU規定で気筒間ピッチ間隔を切り詰めて短くしたのもPUコンパクト化(前後を短く、重心低く)は貢献していますよね?笑
他のメルセデス、フェラーリ、ルノーがPUどれだけコンパクトにしているのか?
レッドブルはリアがタイトになる為に、プッシュロッドにしたと考えていいでしょう。
メルセデスは全長が短くなっていますが、前方に水冷インタークーラーがあるので結構大変そうです。
フェラーリはギアボックス内部リアサスペンションがエンジンに近く、その為にタービン位置を上げたと思われます。
ギアボックスケース内部のギアカセット位置が決められた為に、リアプルロッドを採用しているチームはスペース的に辛そうな印象を受けています。
2021年旧レギュレーション(ステップボトムフロア)までのメルセデスW12で3700mm相当に近くのロングホイールベースを誇っていましたが、さすがに100mm短縮されるとキツイですね?
そこに今年のW13「ゼロポッド」によって補機類(熱交換器)の有効スペースを左右サイドポッドに頼らずにマシンセンターに集中させるので3600mm以内に収めるのが苦しい?
どこかで犠牲になっている箇所があるかも知れないですね?
例えばドライバーのシートポジションとか?
他のメルセデスPUカスタマー(マクラーレン、アストンマーチン、ウィリアムズ)は、独自の空冷式インタークーラ使ってサイドポッドに配置していればスペース的にも楽になって自由度も高まる?
こうしてみるとメルセデスW13はゼロポッドを始めとした空力全般とサスの構造(プルかプッシュか)及び形状、フロントアクスル位置など現状最適解だと思われるRB18と違い過ぎていて、本当に来年の車はどうするんだろうという気がしますね。
トレンド(RB18)に寄せようにも変更点が多岐に渡りすぎていて予算制限のある中でそこまで変えられるのかという疑問もわきます。今年収集したデータや引き継げるパーツも必然的に少なくなるでしょうし。
代表のトトは半年の遅れと言っていましたが、全く変えようとすると現実的には丸々1年の遅れなんじゃ…
個人的にはゼロポッドを力付くで継続して独自路線を貫くのを期待しています。
2023年メルセデスW14はゼロポッドコンセプトをそのままに、
フロントサスペンションをプッシュロッド式→プルロッド式、リヤサスペンションをプルロッド式→プッシュロッド式に変更すると言うパターンも考えらる?
メルセデスだけでなく他チームもレッドブルやマクラーレンと同じ前後サスペンション形式に追従してくる?
1年でも早くベンチマークのマシン(レッドブル)に着いていかないと
追い付く事が難しくなる?