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夏休みが終わった後半戦のスタート、ベルギーGPではメルセデスがフェーズ3、ホンダがスペック4、ルノーがスペックC、フェラーリがスペック3を投入した。

各メーカー色々な思惑のある投入方法をしてきたが、メルセデスだけは全台に同一スペックを供給したようだ。フェラーリはカスタマーに先行投入して、テスト的意味合いとワークスを後にする事によりカスタマーと違うスペックを使用できる事になる。

PU供給規則では、ワークスとカスタマーは同時期であれば同一スペックでなければならない。何か問題が見つかれば対策パーツを組み込んだ違うスペックを使用できるって事になるのです。

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R13ベルギーGP後パワーユニット使用状況

No Car Driver ICE TC MGU-H MGU-K ES CE
44 Mercedes L.Hamilton 3 3 3 2 2 2
77 Mercedes V.Bottas 3 3 3 2 2 2
05 Ferrari S.Vettel 2 2 2 2 2 2
16 Ferrari C.Leclerc 2 2 2 2 2 2
33 RBR Honda M.Verstappen 3 3 3 2 2 2
23 RBR Honda A.Albon 4 4 4 3 3 3
03 Renault D.Ricciardo 5 4 4 3 3 3
27 Renault N.Hulkenberg 6 4 4 3 2 3
08 Haas Ferrari R.Grosjean 3 3 3 2 2 2
20 Haas Ferrari K.Magnussen 3 3 3 2 2 3
55 McLaren Renault C.Sainz 5 4 4 4 4 3
04 McLaren Renault L.Norris 3 3 3 2 2 2
11 Racing Point Mercedes S.Perez 3 3 3 2 1 1
18 Racing Point Mercedes L.Stroll 4 4 4 2 1 1
07 Alfa Romeo Ferrari K.Raikkonen 3 3 3 2 2 2
99 Alfa Romeo Ferrari A.Giovinazzi 4 4 4 2 2 4
26 Toro Rosso Honda D.Kvyat 5 5 5 4 3 3
10 Toro Rosso Honda P.Gasly 5 4 4 4 2 2
63 Williams Mercedes G.Russel 3 3 3 2 3 3
88 Williams Mercedes R.Kubica 3 3 3 2 1 1

※基数規定ICE(3),TC(3),MGU-H(3),MGU-K(2),ES(2),CE(2)

13戦目での各車投入状況

  • ハミルトン:P1開始時にICE,TC,MGU-H,ES,CE
  • ボッタス:P1開始時にICE,TC,MGU-H
  • アルボン:P1開始時にICE,TC,MGU-H,MGU-K,ES,CE
  • リカルド:P1開始時にICE
  • ヒュルケンベルグ:P1開始時にICE
  • グロージャン:P1開始時にICE,TC,MGU-H
  • マグヌッセン:P1開始時にICE,TC,MGU-H
  • サインツ:P1開始時にICE
  • ぺレス:P1開始時にICE,TC,MGU-H
  • ストロール:P1開始時にICE,TC,MGU-H
  • ジョビナッツィ:P1開始時にICE,TC,MGU-H
  • クビアト:P1開始時にICE,TC,MGU-H,MGU-K
  • ラッセル:P1開始時にICE,TC,MGU-H
  • クビサ:P1開始時にICE,TC,MGU-H
  • サインツ:決勝前にMGU-K,ES
  • ジョビナッツィ:決勝前にICE,TC,MGU-H,CE

サインツとジョビナッツィは決勝前に同一スペックを投入したため、パルクフェルメ規定には抵触せずにグリッドスタートとなっています。クビサは旧スペックに戻したためピットレーンスタート。

パワーユニット:グランプリ毎の使い回しについて

さて何でこんな題名なのかと言うと、ホンダがスペック4を入れたのに土日使わなかった、ルノーがスペックC入れたのに土日使わなかった、などなど何でパワーが上がっているはずのPU使わないのよ!と疑問に思う方にちょっと説明しておきます。

現行は年間3基規定です。(2基のもあるけど)

  • 金曜日の走行距離約300km
  • 土曜日の走行距離約150km
  • 日曜日の走行距離約300km

これが大まかな走行距離で1グランプリ約750kmとなります。21戦/3基=7戦⇒5,250kmとなりこれが1基辺りに必要なマイレージになります。ル・マン24hを優勝する距離と同一ぐらいだと思って下さい。そういや昔トッドがル・マンとF1のPU規定を一緒にしたいなんて言ってましたが、出来るんですよね(笑)

安全マージンなどを考えると6,000kmが最低マイレージと言われています。

使えば使うほど金属疲労、金属摩耗、カーボンの付着など燃焼室内部が変化していきます。予選でフルパワーを出せばこの症状の進行は早くなり、それは決勝のモード変更でも起こりえる事です。金曜日は安全モード、土曜日はフルパワー、日曜日は状況に合わせてモード変更する事でマイレージを伸ばしペナルティを受けないように使っていきます。

エンジン自体に負荷がかかるのは、高回転を持続し尚且つ高負荷がかかる高速サーキットが主だったものになる。メルセデスは6戦目モナコまで1基を使い続けます。モナコではピークパワーは必要ないからですね。全開率が一気に上がる7戦目カナダで2基目を入れるのは理にかなった戦略となります。

さて2基目入ったところで、1基目はどうなるかと言うと金曜日に安全モードで使用していく事になります。それとパワーがいらないハンガリーでは土日も使う事で2基目のマイレージを伸ばします。

そして夏休み明けのベルギー、イタリアではパワーが必要になるため3基目投入となっていきます。今後に控えるパワーサーキットでは3基目を土日のみで使い、シンガポールは1基目で乗り切ったりと3基を上手く使い回して21戦戦っていく事になります。

 

これが出来るメルセデスやフェラーリ、彼らがなぜいつも上位に位置しているのか?パワーとマイレージを両立させている事、またスペック毎のドライバビリティが一定であることも強さの表れとなるのです。そして年間を通してパワーの変化が少ない事はそれに対応する車体側の大きな対応も減る、特に足回りや空力関連はおいそれと変更できるものでは無いし、ギア比に至っては年間固定です。

明らかに運用パワーが上がっているホンダ、回転数におけるトルクの出方が変わればギア比もそれに合わせたい。レッドブルもホンダもそういった色々な部分でお互い妥協している状態だと言えます。

 

彼らが今年狙うのは年間チャンピオンではなく、勝てるグランプリで勝つ為に最高のパッケージをドライバーに用意する事でしょう。スペック4のフルパワーを使うグランプリは何処になるのか?メルセデスやフェラーリと逆の事をするかもしれない。まぁでもシンガポールはさすがに無いよね・・。

何処でスペック4パワーをマイレージを削ってまで使う事になるのか?パワーエフェクト一覧を見て考えてみよう。

鈴鹿はホンダの地元なので絶対やってくれなきゃ困るってもんよ!