2022年新しいレギュレーションが施行された時、フロントウィングとエンドプレートの接続で意図的なボルテックスを作るのは困難なはずでした。

メルセデスが線のような接続のフロントウィングを登場させた事で非常に穴のあるレギュレーションだと言う事がわかっていました。

 

しかし、ただエンドプレート後端を開いただけでは効率の良いアウトウォッシュは作れない、もしくは逆に不安定になってしまうなどの問題が発生しています。

2024年の後半戦に入り、その進化は凄まじくレギュレーションで許される限りの小さく様々なアウトウォッシュ生成デザインが登場しています。

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マクラーレンMCL38:フロントウィング

オーストリアGPより採用されているエンドプレート後端の切り欠き状の折り返し。

マクラーレンはトップ4チーム中で唯一1枚目ウィングのエンドプレート接続が長い、そのため他の3枚を後端に集中させる事ができる。

綺麗に3枚が折り返すようにデザインされ切り欠き状になっており、細く強いボルテックスを作れると思われます。

 

2021年まで使われていたY250エリアでボルテックスを生成する切り欠きにそっくりです。

フェラーリSF-24:フロントウィング

フェラーリはシンガポールGPからマクラーレン型を模倣した。

後端ウィングが2枚のため切り欠きは2つになってしまっています。

しかし、この後のフェラーリの快進撃の要因になったアップデートなのは言うまでもないでしょう。

 

フラップのバランスを変えてエンドプレート側を低くするデザインに変更されている。(2022年型に似ている)

レッドブルRB20:フロントウィング

開幕からあまり変更がないレッドブルのフロントウィング、大きな変更はエンドプレート外側に付いているストレーキの大型化ぐらいです。

マクラーレンやフェラーリと比べるとシンプルなエンドプレート後端です。

幅の広い2枚目ウィングから外側に捻じって接続されている、なるべく前方からアウトウォッシュを作ろうとするコンセプトでしょう。

まとめ

アウトウォッシュがなぜ重要なのか?細く強いボルテックスがなぜ重要なのか?

フロントタイヤで発生したタイヤウェイク(乱流)を吸い込みながらマシンサイドを流れていく事で、フロアに対する空気の壁を作る事にあります。

 

コーナリング時の進行方向角度、路面のバンプ、ダウンフォース強弱による車高の変化など、フロアと路面の関係性は一定ではありません。

フロア全体は負圧エリアのため、特にマシンサイドからの吸い込みが発生してフロアの気流は乱れます。

少しでもそれを減らすための工夫がマシンデザインに表れます。

 

フロントウィングのアウトウォッシュは、その後方全体に影響を与える為、ほんの0.1%持続率が上昇しただけでも効果は計り知れないものとなります。

 

似たようなデザインになったマクラーレンとフェラーリ、そして停滞するレッドブル、直近の結果が答えを示しているでしょう。