1週間前に新舗装されたアルガルヴェ・サーキットは、油が浮いているような状態だった。走り始めはグリップレベルが低く、プラクティス走行が進むにつれて路面状態が良くなっていった。
決勝レースでフェルスタッペンは、予選3番手からタイヤを守るための走行に徹して3位、ガスリーは素晴らしいタイヤマネジメントを発揮して5位までポジションアップを果たした。
ポルトガルGP予選タイム差+0.252秒(Q3Gap)
POS | ドライバー | F | T1SPD | S1 | S2 | S3 | タイム | Gap | Q | Tyre |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | HAM | 304 | 322 | 22.266 | 29.292 | 25.094 | 1:16.652 | 3 | C2 | |
278 | 198 | 305 | ||||||||
3 | VER | 301 | 315 | 22.319 | 29.505 | 25.080 | 1:16.904 | 0.252 | 3 | C3 |
275 | 199 | 300 | ||||||||
6 | ALB | 299 | 315 | 22.491 | 29.628 | 25.318 | 1:17.437 | 0.785 | 3 | C3 |
277 | 199 | 300 | ||||||||
9 | GAS | 304 | 321 | 22.348 | 29.796 | 25.659 | 1:17.803 | 1.151 | 3 | C3 |
278 | 193 | 304 |
予選では、路面状態と相まってQ1では全車C3ソフトで走行、ラバーグリップが増加、トラックエボリューションによるタイムアップが大きかった。しかしQ2ではソフト勢のタイムアップが止まり、C2ミディアムが最速のタイヤとなった。
Q3になってもその状況が変わらず、突風などが絡み合い、実に奇妙な予選展開となっていた。
ポルトガルGP決勝タイム差+34.508秒
小雨のパラつくスタート、3番グリッドスタートのフェルスタッペンはタイヤが温まらずに5位に後退、路面状態が良くなり8周目には3位までポジションアップ、しかしC3ソフトタイヤは左フロントのグレイニングのためペースを上げられない。
後方にはルクレールがC2ミディアムでペースを維持しており身動きが取れなくなってしまった。またC1ハードを機能させられる確信がないためミディアムへのワンストップを選択、タイヤを守りながらペースを維持して3位となる。
ガスリーはソフトで28周のロングスティント5位までポジションアップ、ミディアムに交換した後、リカルド、ペレスをオーバーテイクして5位まで上がってチャッカーを受けている。
エミリアロマーニャGP予選タイム差+0.567秒
久しぶりのF1開催となったイモラ、ストレートにシケインの組み合わせ、レイアウト的には単純だが、低速・中速・高速の多種多様なシケイン、全体的な起伏、狭いコース幅がダイナミックな印象を与える。
POS | ドライバー | F | T1SPD | S1 | S2 | T16SPD | S3 | タイム | Gap | Q | Tyre |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | BOT | 284 | 328 | 23.432 | 25.478 | 301 | 24.699 | 1:13.609 | 3 | C4 | |
233 | 265 | 285 | |||||||||
3 | VER | 282 | 319 | 23.750 | 25.477 | 296 | 24.949 | 1:14.176 | 0.567 | 3 | C4 |
236 | 263 | 281 | |||||||||
4 | GAS | 283 | 326 | 23.749 | 25.612 | 297 | 25.141 | 1:14.502 | 0.893 | 3 | C4 |
231 | 263 | 282 | |||||||||
6 | ALB | 282 | 322 | 23.825 | 25.616 | 297 | 25.131 | 1:14.572 | 0.963 | 3 | C4 |
238 | 265 | 283 | |||||||||
8 | KVY | 281 | 321 | 23.876 | 25.784 | 295 | 25.036 | 1:14.696 | 1.087 | 3 | C4 |
229 | 264 | 282 |
上位チームの中で明らかに大きなリアウィングを使うレッドブル、唯一のコーナー区間であるセクター2でぶっちぎりに速い訳ではなく、そのドラッグ分セクター1,3で遅れメルセデスに負ける予選となった。
中団チームではレスダウンフォース仕様アルファタウリのガスリーが躍動、予選で4位と言う自身最高の結果を出した。
ホンダPU勢4台がトップ10内に入る予選であった、これは統一エンジンシングルモードをやっとものに出来たきた事の証明かもしれない。
エミリアロマーニャGP決勝タイム差+14.151秒
スタート直後は、フェルスタッペン2位、ガスリー5位、アルボン7位、クビアト8位となりホンダPU勢はまずますの滑り出しだった。
9周目、レコノサンスラップから症状があった、ラジエーター破損による水圧低下トラブルでガスリーがリタイアする。
フェルスタッペンは、バージボードとフロアにデブリが挟まってペースが上がらないボッタスをアンダーカットするために、早めの19周目でC2ハードへタイヤ交換するが、次周にボッタスがハードに交換し前を塞がれる。
フロアダメージでペースの上がらないボッタス、それに付き合うフェルスタッペン、その前にはピットストップロスタイムぎりぎりラインにミディアムでロングスティントしているハミルトン、タイム差争いとポジション争いの3者の緊迫したバトルが続く。
しかし30周目の短いVSCで、ハミルトンはハードに交換し楽々トップで戻ってしまい勝負あり。
43周目アンバランスな空力でタイヤダメになったボッタスをフェルスタッペンがパス、一気にペースアップしてハミルトンを追う。
52周目フェルスタッペンの右リアタイヤがバーストしてリタイア。
Waking up on a Monday and realising it’s another two weeks until the next race weekend 😒#ImolaGP 🇮🇹 #F1 pic.twitter.com/Wz5yPLrfrB
— Formula 1 (@F1) November 2, 2020
SCとなりクビアトはソフトへ交換し7位、アルボンはハードでステイアウトして5位。
58周目からレースは再開、クビアトは温まりの早いソフトでペレスとアルボンをパスして5位、アルボンはスピンして最下位となる。
How was that for a restart?! 🔥
3 cars in 1 lap, @kvyatofficial was not messing around! 🚀
— Scuderia AlphaTauri (@AlphaTauriF1) November 2, 2020
クビアトはルクレールをパスして4位まで上がるが、温まったハードを履くリカルドをオーバーテイク出来ず抑え込まれ4位フィニッシュとなった。
まとめ
新規サーキットによる2戦でしたが、メルセデスのシミュレート力をまざまざと見せつけられたレッドブルでした。
レッドブルは安定したリア挙動を得るために、ウィングによるダウンフォースは常に強めで、ストレート区間で遅れる。その分コーナーでゲインがある訳ではない、予選でデプロイ差は大きくでないが決勝ではその差が延々と現れる。
メルセデスはこの2戦ウィングセットは常に若干低め、その分加速区間でのゲインが大きく、エネルギー消費も少ない。それでもコーナーで遅れる事がない安定したグリップ力をもっている。
ホンダPUは統一エンジンシングルモードへの対応が良くなってきたと思う。パワーサーキットになったイモラの予選で全台トップ10入り。ここ2戦ではガスリーが中団チームでトップに近い成績を続けている。
ただ多様なエンジンモードとERSモードの組み合わせで補ってきたエネルギーマネジメントが削がれたのは事実だ、エンジンモードと密接に関連するMGU-Hの回生量などに問題があるのだろうと思う。
メルセデスが最大ダウンフォースを使わず、タイヤに負担をかけない方向性のセッティングで、レースペースの強さを重要視してきている事がボディーブローのようにじわりじわりと効いている。
レッドブルとしては、今年これ以上の改善は見込めない、何かのチャンスにすがるしかない状況は見ている方にも辛い、後4戦でフェルスタッペンやガスリーがそんなチャンスを掴んでくれる事に期待します。
“記事参照 – RB16車体特性とドライバーとの関連について & Honda PUの私的な競争力の印象.”
Imola-GP、1度のFP走行データのみですが、Honda’s PU勢4台共にQualifyでトップ within8位入りしていた結果にも表れていた様に、ロング・レースペースも実は優れていた。この為、Max選手のバーストやP.Gasly選手のラジエーター溶接部を起因とする両者のDNFはとても悔やまれました。しかし、これも“That’s Race!”です ^^。ただ、今シーズン通しマシン・パッケージ競争性のみでなくMerceはチームマネジメントも優れている印象が強い。また、“Mode-3作動時のD.Kvyat選手のオーバー・テイク映像からトップ下でのこととはいえ、私的にはHonda PUのその走りはIncrediblyに凄まじく速い印象があった。このため、Merce W11に比較するとRB16でのHondaのMGU-Hのリカバリーとそのチャージ力は特に海外紙で時折り取り上げられるが、Racing PointのL.Stroll選手やFerrariのC.Leclerc選手を、Honda PU搭載AT01がコーナーでなくストレート・ラインで容易にオーバー・テイクするシーンは、対Merceに対しDeploy面Clipping(欠)のみでなく車体力の差の影響が否めない印象も。
以下、参照 ~部分抜粋~
“Long pace” from FP
○Max 1min. 18.9sec. Hardsタイヤ
①P.Gasly 1min. 18.5sec. Mediums〃
②L.Hamilton 1m 18.8s 〃
③D.Kvyat 1m 18.9s 〃
○V.Bottas 1m 19.2s 〃
RB16 in general is slightly susceptible to having its balance upset by the softest tyre.
RB16 は, 一般的に最も柔らかいタイヤによってバランスを崩す可能性がわずかにあります.
It has a marginally unstable rear end and as such it often compares better to the Mercedes on a slightly harder compound, where the turn-in is not so sharp that it overloads the rear.
それはリアエンドがすこし不安定であるため, ターンインがそれほど鋭敏(素早く)ないためリアに過負荷がかかる, すこし硬い性質(タイヤ)でメルセデスと比較して優れていることがよくあります.
The aero changes since Nurburgring ーVerstappen even had understeer there. It now has a bigger window of set-up, allowing it to retain the responsive turn-in without descending into a car that’s difficult even for Verstappen when on the softer tyre.
(Nurburgring以前) Max選手でさえアンダーステアであった。(〃以降エアロをアップデート)今ではセットアップ領域が大きくなり,よりソフトなタイヤを装着しているときにはMax選手でさえ難しかった車を, 低下させることなく反応の良いターンインを維持することができる.
Sharp direction changes and short duration corners are where the Red Bull is at its best relative to the Mercedes.
急な方向転換と短いコーナーは, レッドブルがメルセデスに比べて最高の状態にある場所です.
Given that extra horsepower is generally converted into downforce, Red Bull’s whole development philosophy, driven by years of trailing Mercedes on power, has been to steal time on corner entries through greater agility.
余分な馬力が一般的にダウンフォースに変換されることを考えると, レッドブルの開発哲学は, 何年にもわたってメルセデスの後塵を拝してきたパワーに突き動かされ,より敏捷性を高めてコーナーエントリーでタイムを奪うことにある.
It makes for a car that’s somewhat lively to drive – and it needs a Verstappen to be comfortable with the trait of a less-than-planted rear end aiding initial turn-in response.
運転はやややっかいさをもつ(makes生じる~起こす) – そして,最初のターンイン反応を助けるためには,(planted≒密着)グリップ不足のリアエンドの特性を安定させるにはMaxVerstappen選手が必要。
The rear then stabilises as the initial turn is made and the driver gets on the power – but only if he has the confidence to do so, to ride through that initial feeling of instability. For Verstappen it’s become second nature. #CHEERsDAN D.Ricciardo had also adapted to it when he was there – But P.Gasly and A.Albon have not found the trait so easy to live with.
その後, 最初のターンが行われ,ドライバーが駆動力を与えると,リアは安定しますが, それはドライバーが自信を持って, 最初の不安定な感覚を乗り切るためです. それはMax選手のもうひとつの天性だ。D.Ricciardo選手もそこにいたときに適応していたが, P.Gasly選手とA.Albon選手は, この特性(車と共に実践~駆動?させる)を手に入れていない.
The Red Bull is a little more pitch-sensitive and therefore tends to work its rear tyres a little harder than the more stable Mercedes.
レッドブルはピッチ(前後間の傾斜)にやや敏感なため, リアタイヤが安定したメルセデスよりもやや強くなる傾向にある.
It can typically turn on its tyres more quickly in cool temperatures but just as typically, its deficit to the Merc tends to increase towards the end of the stints.
特徴として低温ではタイヤをより速く回転させることができるが, 同様にメルセデスに対するその不足は, (レース)終了に近づくにつれて増加する傾向がある.
参照 – Very Thank you! to @SportmphMark-Hughes of The Race “LONG RUN DATA HINTS AT ANOTHER ITALY F1 SHOCK”
ドライビングの話で言うなら、ガスリーはリアが安定していないと駄目なタイプだという話が出ていますね。
ベッテルもそうだと言われています。
ということは今のフェラーリはリアが安定していない?
それを乗りこなすルクレールは…などと妄想するのが楽しかったり。
大きく分けてスロットルオンでアンダー傾向なのか?オーバー傾向なのか?だとは思います。
細かく言えば、舵角の残りとスロットル開度の微妙なバランスのとり方の違いにあると思います。
フェルスタッペンはレッドブルの特性を生かし、フロントを支点にくるっと曲がって、アクセルオンしますがステリングはほぼ切ってない。
微妙に0カウンタードリフト状態を交えながらターンアウトしていると思っています。
ガスリーはそれが嫌い、きっちりグリップを感じながらターンアウトしたいのだと思います。
ベッテルはルクレールと比べるとターンイン速度が速いんですよね、それが結果的にアクセルオンタイミングを遅くしてしまっています。
フェラーリはルクレールの乗り方に完全に合わせたマシン作りになっていますから、ベッテルとしてはその乗り方に合わせなければならない、自分でもその事をわかっていてコメントしていますしね。
動画解析してみようかな・・・。
RBシリーズ(ワイドタイヤになったRB13~RB16)が、元々持っている素性(特性)なのでしょうか?
だからフェルスタッペンは勿論、2018年までチームメイトだったリカルドも優勝した。
リカルドとマックスが同じタイプのドライビングスタイルなのか、わからないですが、
RBシリーズが、どのドライバーも許容するオールラウンド的なマシンでは無いマシンですね(^.^)
ハミルトンは乗りこなす事が出来ても少しは手こずるかなぁ?
ハイレーキ&RBマシンの特性ですね、NA2.4ℓV8時代はパワーは無く、空力パーツも少ないためコーナー速度最強でした。
ベッテルの走りが最近輝いたと思ったのは2017年、ハイレーキとショートホイールベースマシンで良い感じでした。フェラーリが完全にベッテルをサポートすれば、無駄なライコネンへの牽制もなくなりタイトルを獲れていたかもしれない。
私はホンダPU参戦ハイブリッド・エラ以前のF1の知識はありません。
ただ、おそらく成績を参考にすると歴代RedBullシャシー・コンセプト及び実車はその時代々の規制下では、’18年RB14迄は他を優位に上回りザ・ベスト・シャシーであったと思います。そして、RedBull & Hondaコンビに入ってから搭載PUパワーサイドはMerceに肉薄したり僅差の印象ですが、’19年 W10というシャシーサイドが飛躍的に進化した影響が一番大きいと思います(確かテストでG.Russellがドライブし一貫してトップタイムでした。今戦デブリ(破片)というよりパーツのPiece(小片)影響によるダウンフォース低下したV.BottasをMaxにでさえ容易にオーバーテイク許さなかった)。また、これ迄の規制変化の影響(海外紙のプロの考察にハイレーキに不利に働くようになったが多い)や、両ドライバーも優るW11のコーナリング速度が新たな領域に入った影響もあると思います(⇨RB16のリア側ステイブルorトラクション面への影響)。
ターン時のオーバーorアンダー傾向についてはJINさんのコメント(技量-スロットルオンの開閉度とステアリングの関係性の考察)が一番しっくりきました。基本的にはその時 “リアル・トップ”・ドライバーならば、良いマシンであれば速く走らせることが出来ると思います。またチーム内の差は、おそらく基本的にメンタリティー含めたアビリティーなど、その時のスキル差だと思います?。どのドライバーさんであれ世界最高峰F1次元へのコメントのため、なんともおこがましい解釈です。m(_ _)m
重量増加、ダウンフォース増加、パワー増加に対してピレリタイヤの温度管理がシビアすぎる。
今のF1ドライバーは本当に大変です。
でもだからこそ、機能するタイヤ温度管理を出来るドライバーは極僅かであり、本物のトップドライバーと言えるでしょう。
そして、いつの時代も高い速度域での、スロットル操作とスライド管理が極限レベルにあるドライバーのみが、常に上に立ち最高の評価を手にする。
たまに書く私が好きなセナやシューマッハの名言
「速度を上げれば空力性能が上がってもっと速く曲れる。」
空力性能が上がったから速く曲れる、では無いその感覚もつドライバーのみが、真のトップドライバーだと思っています。
コンピューターシミュレーションを上回るフェルスタッペンは、正にその域に達していると思いますね。
昨年のチャンピオンシップでは5強(ハミルトン、ボッタス、フェルスタッペン、ルクレール、ベッテル)が、
今年は3強(ハミルトン、ボッタス、フェルスタッペン)に絞られていますが、
チーム争いで言うと相変わらず
メルセデス2人(ハミルトン、ボッタス)対レッドブル1人(フェルスタッペン)の図式ですね。
来年、もう一度レッドブルがタイトル争い再挑戦するためにも、
(少なくともハミルトンとフェルスタッペン直接対決の機会が最多く展開される様に)
フェルスタッペンのチームメイト選定を強化して欲しいです。
ヒュルゲンベルグが有力視されているようですが。
技術的にも実力的にもフェルスタッペンと同等に近いドライバーが望ましい(ドライビングの方向性も同じ)
そしてメルセデスのボッタスのように(ボッタスには失礼ですが)チームタイトルに貢献して、エースドライバー(ハミルトン?)を援護出来る様なドライバーだと尚良い。