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2014年から導入されている現行エンジン(パワーユニット)は、コロナウィルスによる世界的な経済衰退に伴い2020年の開発は一部を除いて許されていない。

2026年新エンジンルール導入に伴い、現行エンジンは段階的な開発制限と最終的な凍結が予定されていたが、この情勢でダイノテストは更に厳しい制限へと変更された。

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エンジン開発制限

コンポーネント 2020 2021 2022 2023 2024 2025
ICE 0 1 1 1 0 0
TC 0 1 1 1 0 0
MGU-H 0 1 1 1 0 0
MGU-K 1 1 0 0
CE 1 1 0 0
ES 1 1 0 0
Fuel/oil 0 1 1 1 0 0

 

年度の区別は、前シーズン終了時点から今シーズン終了までとなる為、内燃エンジンに関わる3つのコンポーネントは、2021~2023年までに年間一度の仕様変更しか許されない。それに合わせて燃料とオイルも一度の仕様変更が許される。

その他のコンポーネントは2年毎に一度のみ、2023年シーズン終了時点で凍結され、以後2年間は「信頼性、安全性、コスト削減、取り付け方法の変更や供給の問題」を目的にした変更のみ許可されるが、FIAや他メーカーの承認が必要となるため、基本的には難しい。

エンジンダイノテスト制限

エンジンダイノ 2020 2021 2022 2023 2024 2025
テストベンチ数 9 9 9 9 9 9
占有時間(h) 無し 10,000 8,000 8,000 8,000 8,000
4,800 6,400 6,000 6,000 5,600 5,600
操作時間(h) 無し 1,250 1,000 1,000 1,000 1,000
600 800 750 750 700 700

 

複数のシリンダーでの燃焼エンジンをテスト、または燃焼エンジンとトランスミッションを一緒にテスト(フルカーダイノを含む)できる、9つのテストベンチの制限が現在実施されており、2025年のシーズン終了まで残ります。

ERSテスト制限

ERSダイノ 2020 2021 2022 2023 2024 2025
テストベンチ数 4 4 4 4 4 4
占有時間(h) 無し 2,000 2,000 2,000 2,000 2,000
1,080 1,600 1,600 1,600 1,600 1,600
操作時間(h) 無し 500 500 500 500 500
270 400 400 400 400 400

時間の上段は、当初決められていた時間制限だが、2020年6月に施行されたレギュレーションにて大幅に削減されています。

※単気筒燃焼テストは含まないようだ。

燃料のバイオエタノール混合率

F1は2030年までに、炭素系燃料からの脱却を目指している。

現行は5.75%のバイオエタノール混合率となっているが、2022年からは10%のE10燃料(インディはE85)、その後は段階的にエタノール混合率を増加させていくようです。

また最終的には、第3世代バイオ燃料、合成燃料とも言われる研究中のe-fuelへの完全移行も考えている。

まとめ

2021年から年間たった一度のアップデートしか許されないエンジン開発制限、私はシーズン開始時点で新規導入してシーズン中にアップデートが一度できると勘違いしていた。

スポーティングレギュレーションを確認すると、「前シーズン終了時点から、今シーズン終了まで」が年度の区別でした。

 

ダイノテストは、燃焼テストやサーキットに合わせたセッティング作りの他には、マイレージ確認のためにも行われます。

例えば1基あたり7レース使わなければならないエンジンは、1イベントあたり約600km、合計で4,200kmは走れなければならない。マージンを考え5,000kmが最低ラインと言われています。

300kmを走るのに約1.5時間、5,000kmのダイノテスト操作時間は約25時間となります。

 

このエンジン開発制限は、開幕戦に投入した新仕様で、1年間戦わなければならない厳しいものとなっています。

ホンダがコンコルド協定にサインしなかった理由の一つになるかもしれないな・・。