F1マシンにおいて柔軟性(フレキシビリティー)は必要不可欠なものです。
柔軟性が無ければ、衝撃を吸収出来ず簡単に壊れてしまいます。
空力パーツは主に高速度域において、柔軟性を利用したドラッグの削減や負圧の増加を目指した開発がされています。
FIAが定めた荷重値をクリアしていれば全て合法となる。
フロアの柔軟性についてレギュレーションを翻訳し確認します。
3.15.6 フロントフロアの柔軟性
ボディワークの柔軟性は、ロードセルへのジンブルインターフェイスを備えた直径50mmのパッドを使用して垂直に上向きに荷重を加えることによってテストされます。
パッドの中心の位置はFIAによって与えられ、四辺形の領域内の厚板の下側になります。ポイント[XF=460、50]、[XF = 610、65]、[XF = 610、-65]、[XF = 460、-50]に頂点があります。たわみは荷重軸に沿って測定されます。
試験中は常に、与えられたたわみでの荷重は、次の座標を順番に接続して定義された直線グラフで与えられた荷重を超えている必要があります:(0 mm、0 N)(1 mm、0 N)(5 mm 、4000N)(25mm、6000N)。
これは、たわみが増加している、減少している、または一定に保たれている場合に当てはまる必要があります。
FIAからこれらの制限を超える動作を調査するように特に要求されない限り、テストの最大荷重は8000Nまたは最大たわみは15mm(どちらか早い方)になります。
荷重たわみの関係は、たわみの増加と減少の両方で厳密に単調でなければなりません。
フロントフロアの柔軟性について
ほとんどのチームがサスペンションを付けているフロントフロア、400kgで5mm、600kgで25mmという規定です。
縁石などによる下側からの衝撃に焦点があてられているようです。
この荷重テストは下側から押した時のみ、負圧の発生によって路面側に引っ張られる時はどうなるのか?
押した時は動かず、引っ張る時は動けるサスペンションなら高速度域で限りなく路面に近づける事ができないだろうか?
近づきすぎても問題となるからコントロールは難しいけど、私なら絶対にやりたいソリューションだなぁ・・・。
3.15.7 アウトボードフロアの柔軟性
a. XR =-450およびY=±450で[0、0、-500] Nの荷重がボディワークに加えられた場合、ボディワークは垂直方向に5mmを超えてたわむことはありません。(荷重はZ=0が基準面なのでマイナスは下向きです。)
荷重は、直径50mmのラムと同じサイズのアダプターを使用して適用されます。 そのようなテストが必要であると思われる場合、チームは後者を提供しなければなりません。
b. ボディワークは、[XR、Y] [-450、±600]または[-1300、±670]のポイントで[0、0、500] Nの荷重が加えられた場合、垂直方向に20mmを超えてたわむことはありません。
荷重は、直径50mmのラムと同じサイズのアダプターを使用して上向きまたは下向きに加えられます。 そのようなテストが必要であると思われる場合、チームは後者を提供しなければなりません。
※荷重を掛ける位置を矢印で大まかに示しました。(位置は正確ではありません。)
アウトボードフロアの柔軟性について
左右で荷重を掛けるポイントは3か所、フロアサイドの外側寄りに50kgで20mmまで許容される。
荷重を掛けた時にフロアの一番端が移動する距離が20mmまでと言う事になるのかな?
ワイヤーで吊るぐらいなので、高速度域では荷重テスト数値は大幅に超えた負荷になっているだろう。
この測定ポイントはレッドブルが強化部材を付けている場所じゃないだろうか?
多分そうですね!これならたわむ訳がない、メルセデスが苦労する訳ですね。
しかも金属ロッドがラジエーターに直付けされていて絶対に動かない、測定ポイントだけ動かない、では他の部分のフロアはどうなるでしょう?
3.15.8 センターフロアの柔軟性
a. RV-PLANK内のボディワークは、ドライバーなしの車がこれらの位置でサポートされている場合、XF =1080の厚板の2つの穴で2mm以下、最後部の穴で2mm以下偏向する可能性があります。
車は直径70mmのパッドで支えられ、穴の中心にあり、厚板アセンブリの下側にのみ接触します。変位は、各穴の中心にある基準面を基準にして、サポートで測定されます。
b. XF = 1080の厚板の2つの穴と、厚板の最後部の穴で、ドライバーなしの車が支えられている場合、基準面のボディワークは0.2mm以下しかたわみません。
車は直径40mmのパッドで支えられ、穴の中心にあり、基準面の車体にのみ接触します。XF = 1080の2つの穴の場合、変位は、第3.2.6条に詳述されているサバイバルセルの基準点を基準にして、サポートで測定されます。
一番後ろの穴の場合、変位は、5.4.8項に詳述されている最上部のトランスミッション取り付けスタッドのパワーユニットを基準にして、サポートで測定されます。
センターフロアの柔軟性について
緑の矢印はモノコックとの接続位置、青の矢印はギアボックスとの接続位置になります。
この穴はプランクの摩耗を計測する為のもので、内側で計測するらしい、金属スキッドで覆われたところは減りようが無いなぁ。
推測ですが、丸いパッドを車体の底にあてて車体を持ち上げます。
荷重を掛けるのでは無く、車体自体の重さでどれだけたわむのかを計測するようです。
穴の中心というのは、測定ポイントの中心と言う意味になるのかな?
6つの穴(直径50mm)に6つのパッドが同時に押し当てられ車体を持ち上げる??
スキッド有りなら、前の2つの穴の部分が2mm、最後部の穴の部分が2mmたわんでも良い。スキッド無しなら0.2mmまでと言う事になります。
※センターフロアの測定方法は、文面から予測してみましたがよくわからないです。
有用なフレキシブル化が出来そうな場所
以上の測定ポイントや固定ポイントを踏まえた上で何処をたわませたら有用なのかを考察しました。
車体への取り付け位置を繋いだ赤の領域はたわむ事自体がありえません。
フロントフロアを含む前の緑の領域が負圧によって路面側にたわめば、フロント寄りのダウンフォースが増加します。
リア側の緑の領域も測定ポイントが無い部分であり、負圧によって路面側にたわめばダウンフォースが増加するでしょう。
F1iによれば、後方のピンクの領域を曲げるらしいけど、路面に当たった時に凹んで衝撃を吸収する? 負圧で路面側に近づく?わからないなぁ~??
これらをコントロールするには路面に接触しない車高を設定する必要があり、たわみによって追加のダウンフォースを得る事に繋がります。
キックポイントを含むディフューザーをストールさせない事が絶対的な条件となります。
FIAがフランスGPから測定条件を上げるようですが、多分フロントフロア部分だと私は思っています。
下側から押す荷重測定しかない事が最大の要因です。
路面に近づくことが負圧を増加させる事に繋がるのに、下側に引く測定が無いなんておかしい。
※柔軟性については、曲がったらおかしいと言う方々がいらっしゃいますが、レギュレーションも知らずに騒ぎ立てる事自体がおかしいです。
よく対象になるフロントウィングフラップですが、フラップのどの位置においても約6kgの荷重で5mmまでたわむ事を許されています。
たったの6kgですよ、あれだけたわむのも納得の荷重設定ですよね。
3.15 Aerodynamic Component Flexibility←レギュレーションのこの項目を読んでみましょう。
建築構造物では無いですが、
F1マシンの基礎土台となるモノコック+PU+ギヤボックスが一直線に並ぶセンターフロアーがしっかりと剛性確保しているのは言うまでもありませんが、
左右サイドポッドの柔軟性とのバランス、メリハリの付けどころが、各チーム腕の見せ所ですね?
建築構造物は、走る曲がる止まるを繰り返すF1マシンと違って地面に
乗っかってるだけで動かないですが、
地震がある限りガチガチに固くするわけには行かない?
参考になります。
トトがフレキシブルフロアにごちゃごちゃ言ってましたが、今のレギュレーションで出来るのか?って思ってましたが、フロントフロアは下から上なんですね!
これはうまく使えば限りなく路面に近づけられますね。
今回センターフロア見て思ったんですが、地面と擦ってない部分があるんですね。
擦る時は全面擦りそうなイメージですがなんででしょう。
このレッドブルのフロアはモナコの時なので、バンプの当たり方で波打ってたりしますね。
>よく対象になるフロントウィングフラップですが、フラップのどの位置においても約6kgの荷重で5mmまでたわむ事を許されています。
>たったの6kgですよ、あれだけたわむのも納得の荷重設定ですよね。
確かにその通りですね。
高速で走るマシンが風圧で大きく撓むのは当然ですね。
それにしても、下から押し上げる基準しか無いって(笑)
まぁフロア上には色んな物が乗ってますから、上から押さえるテストが物理的に難しいのはわかりますが。
アウトボードフロア(フロアサイド)に限って言えば、上下方向の荷重テストです。
フロアサイドは、ほぼ全チームがたわみでトンネルを密閉しようとして失敗しています。
50kgで20mmなので、それ以上の荷重の場合は20mm以上たわんで良いと言う事です。
結果、ストールが起こってしまった。
車高も下がる、フロアサイドも下がる、2つの変数をトップチームでもトレース出来ずにいます。
現状はフロアサイドはたわませない方向性になっています。
しかしRBは、凄いフロアを開発したんですね。ストールを回避しながら、追加ダウンフォースを得られる。
結局の所、メルセデスが抗議した所で、追加ダウンフォースを他チームから削り取る事で差を縮められるが、リア周りのエアロコンセントに課題があるメルセデスは、根本解決にならない。
ドライバビリティは悪いまま。
もしかして、ゼロポッドを止める算段が付いたのか。
ウィリアムズでレットブル型に大変更した利点をこのように語ってますね。
「車高を高くして、よりソフトなマシンを走らせるという選択肢もある。低速コーナーのダウンフォースやメカニカルグリップの不足が少なくなるんだ。そしてそれらは全てラップタイムに反映されていくだろう」
https://jp.motorsport.com/f1/news/why-williams-is-abandoning-its-f1-2022-launch-concept/10334051/
車高を高くできるメリットが端的に語られてて、レットブルの強さの秘密が絶対的ダウンフォース量ではなく、ダイナミクスの柔軟性の確保にあることが分かりますね。
クルマを数値だけでなくトータルに見ることができたレットブルが今の序列を作ったと言えそうですね。
Craig Scarboroughさんはフロントエリアとリアエリア共に上方向に曲がるとTwitterに書いているのですがあり得ますか?
その場合は路面からの衝撃を吸収して曲がる、負圧で曲がりやすい部分をシーソー原理とてこの原理を利用して曲げるなどです。
ホーナーはフロアを変える必要ないと言ってますね
一方でビノットは新しくする必要があると