2021年F1GP9戦中6勝、5連勝中のレッドブル・ホンダが、またまたフロントウィングをアップデート!

それに合わせてサイドディフレクターも変更してきた。

 

オーストリアGPで、フェルスタッペンのみに与えられたこのアップデート、どういうものなのか確認してみます。

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フロントウィングアップデート

 

Y250ボルテックスを増幅させるために、下面から空気を多く導く凸形状が作られた。

それに合わせて切欠きの形状を変更、若干だが下に移動している。

Y250ボルテックスはバージボード外側を通り、サイドディフレクター付近から排出される。

今回のアップデートではその軌道が路面に近づく方向であるように感じられます。

サイドディフレクターアップデート

Y250ボルテックスの出口になる、サイドディフレクターの形状も同時にアップデート。

ストレーキが2→3枚になり後ろへ長さが増加、角度的には緩やかに流れるようになっている。

この場所で発生するボルテックスが強くなり、前から流れてくるY250ボルテックスと接続され、その流れ全体を強く維持する事を目的としているようだ。

この二つの施策で得られるもの

旋回中のフロントタイヤ乱流は、フロアに対して大きな影響を及ぼす事が、下画像のCFD解析(路面近くの圧力分布図)からもわかる。

https://www.f1technical.net/

Y250ボルテックスは、この乱流がフロアに流れないように弾くが、それを1段階強められる思われる。

レース中にフェルスタッペンは無線で新しいフロントウィングは良いと答えている。

 

フロントウィングとバージボードでフロントタイヤ乱流をサイドに弾くと、フロアダウンフォースが上昇する。

過去にアンドリュー・グリーン氏(アストンマーチン)は、主に強くなるのはフロアへの空気導入部分になると海外サイトのインタビューで答えている。

https://www.f1technical.net/

モナコで導入されていたエンドプレート側のメインプレートと路面の空間を広げ、アウトウォッシュを増加させたが、それに起因して流れ全体がわずかにサイド方向へずれた事が考えられる。

それに対する施策となるのが、今回のアップデートだったと思う。

 

ハイレーキの特徴、ブレーキング時にフロントウィングが路面に近づく事でグランドエフェクト効果が増加する。

しかし、レッドブルはメインプレートを路面から離す方向でアップデートを進めてきた。

その効果自体は減少しているはず、それよりも重要なフロア前端のダウンフォースを上昇させる事で対処しているとも言える。

 

ダウンフォースの発生ポイントがより中心になり、そこが支点となってマシンを回転させる原動力となるだろう。

そしてリアディフィーザー周りの空力は、フロア全体を機能させる最重要なポイントです。

 

全てを最高の状態へ進化させ続けているレッドブル、ここ数年記憶にないぐらい一つ一つのアップデートがことごとく機能している。

※どんどん変わっていくマシンの挙動に対応する事は、慣れていないペレスには辛いだろう。

メルセデスW12が失ったダウンフォース

メルセデスが失ったものの多くは、このフロア空気導入部分の負圧であるとも言える。

中心点からフロント寄りダウンフォースが減った事で、マシンバランス全体が後ろ寄りになっている。フロントタイヤへの熱入れが上手くいかない、リアタイヤが過熱する。

 

事実、2,3,4戦目はリアウィングのダウンフォースを減らした事で、バランスが改善されていた。

モナコとアゼルバイジャンではソフトタイヤが機能できず、更には二人のドライバーが真逆の状態になって迷走。

フランスでは良い状態だったが、レッドブルのレスダウンフォースセッティングとホンダパワー、フェルスタッペンのスピード戦略に負けた。

 

レッドブルリンクでは、全体ダウンフォースを高めようとフロントウィングやリアウィングで調整するが、ドラッグが増加しすぎていた。

メルセデスが復活するには、フロントとリア全ての改善、それができなければフロア前端のダウンフォースは増えない。

 

元々、強力なフロアダウンフォース用に調整されていたサスペンションなど、凍結レギュレーションによってどうしようもない部分も多い。(レーキ角増加に対応できないサスペンション)

ローレーキのままフロアダウンフォースを増やす施策はあるのだろうか?

イギリスGPのアップデートが命運を握る。