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メルセデスW13は、アゼルバイジャンGPが行われたバクー市街地で異常なポーパシングに見舞われた。

2.1kmもあるスロットル全開区間のほとんどをバウンシングしながら走行していた。

 

ラッセルはその内重大の事故が起こると警告、ハミルトンは腰を負傷してレース後コクピットから直ぐに降りられないほどだった。

メルセデスチームはレギュレーションを改定しようと目論んでいるが、他チームは拒否している。

 

いつまでたっても原因を解明する必要があると白を切るメルセデスさんに、他チームの対策を提示しようと思います。

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ポーパシングの原因とは?

ポーパシングの原因は、フロアとディフィーザーの境目(キックポイント)でストール(流れが剥離)する事で生じる。

ディフィーザーの斜面に沿って流れが上っていかなくなる事で、キックポイントの流れが停滞し負圧が失われる

 

車高が低くなりすぎたり、フロアが変形するなどしてトンネル断面積が狭まると起こる。

  1. キックポイントの流れが停滞する
  2. 負圧を失いダウンフォース荷重が減る
  3. ヒーブサスペンション(ピッチングサスペンション)が伸びて車高が上がる
  4. キックポイントの流れが速くなる
  5. 負圧が復活しダウンフォース荷重が増える
  6. ヒーブサスペンションが縮み車高が下がる

これを高速で繰り返す事でポーパシングとなります。

 

解決策はキックポイントの流れを停滞させない事のみです。

メルセデスW13の車高が直ぐに下がる理由

メルセデスはリアサスペンションに付いているヒーブサスペンションが簡単に縮んでしまう。

フロア・リアウィング・リア周りで発生するダウンフォースが多いと言う事になります。

 

  1. フロントフロアフェンスでトンネルへ入る空気量が多い
  2. ディフィーザーが大きく吸い出し効果が高い
  3. 絞りこまれたリアエンドによってディフィーザー上面へ空気が大量に流れる
  4. ディフィーザー上面とビームウィングの効果が高い(斜面に沿って上面に正圧、下面に負圧)
  5. ディフューザーの吸い出し効果が更に高まる(3,4によって)

 

https://www.racefans.net/

 

 

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メルセデスのディフューザーですが、左右の角は開幕時よりも低くなっています。

後方は最後にラッパ状になるのですが、規定のいっぱいいっぱいの大きさとなっています。

 

これによって、メルセデスのディフューザーは上面も下面も空気を流す力が強く、ダウンフォースが非常に高くなっています。

ダウンフォースが速度の2乗で増加する事を加味すれば、その増加率が非常に高くなる事は想像できるでしょう。

 

これがたったの250km/hで始まってしまうポーパシングの原因です。

ダウンフォースが高いからこそ、失った時と復活した時の差が大きく、バウンシングが大きくなってしまいます。

バウンシングが収まりにくい原因の一つ

メルセデスには規定の解釈を突き詰めて、サイドインパクトストラクチャーを利用したミラーステーウィングがあります。

このウィングは主にダウンウォッシュと言う下がる流れを作りだしますが、極端に言えば揚力を発生する翼です。

 

とにかく振動する今年のマシンは、空気を狙った通りに流せない。

中空にあり上下動する翼の流れは乱れます。

https://www.autosport.com/

綺麗に空気を流す事が重要なF1において、制御できない流れは邪魔者です。

特にこれはリア周りの流れに影響を与えるので、制御できないリアダウンフォース荷重が増加する事になってしまいます。

比較用レッドブルRB18のディフューザー

ポーパシングの少ないレッドブルRB18を見てみましょう。

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フロアから繋がるディフューザーの角度が浅い事がわかります。(最後のラッパ状の部分はなだらかな曲面)

中央から左右の角への形状が全体的に、かなり斜めに下がっています。

 

レッドブルはアゼルバイジャンでビームウィングの上部を外し、下部の角度を浅くしています。

ダウンフォースが減る、ドラッグも減る、ディフューザーの吸い出し効果も減ります。

上面で作るダウンフォースを減らし、高速域ではフロアを出来る限り路面に近づけてドラッグの少ないダウンフォースを得ます。

まとめ

本当に全てが誤った方向へ開発してしまったメルセデスW13、今シーズンの優勝は絶望的です。

しかし中団チームも2強に比べて良い所が無く、メルセデスが3番目のチームである事は疑いが無い事実でしょう。

 

圧倒的なダウンフォースがあるので、バルセロナのようなスムーズな路面と短いストレートがあれば2強に迫る事が出来ます。

 

ポーパシングを無くすには、一つの対策としてトンネルフロアから一部の空気を抜かなればなりません。

https://www.auto-motor-und-sport.de/

このアルファタウリのようにすれば、トンネルからキックポイントへ流れる空気を減らせるので、感度を下げる事が出来るでしょう。

後は車高を上げてフロアをストールさせなければいいし、キックポイントを広げればいいし、ビームウィングを減らして角度を浅くするなどの対策があります。

 

他のチームは冬のテストで起こったポーパシング問題に、突貫工事で取り組み今のマシンになっています。(ほとんどのチームはパフォーマンスを犠牲にしている。)

それらの数々の対策を見ていれば、しなければならない事は少し空力の知識があればわかります。

 

今のままのマシンなら、車高を上げてダウンフォースを減らせば何とかなるでしょう。

 

 

出来る対策をしないでポーパシング(バウンシング)させて、ドライバーが苦痛にあえぐ姿をメディアに露出させ、レギュレーションを改定しようとするなんてまったくもってお門違いです。

 

 

2007、2008年ワークスなのに下位を走り続けたホンダのように、潔く失敗を認めて黙って走り続ければいい。

それが8年連続コンストラクターズチャンピオンチームに求められる事でしょう。