2026年のF1は第6戦モナコGPが終了しました。
空力依存度100%の鈴鹿などを経てメルセデスが6連勝、新レギュレーションの空力の正解が浮き彫りになりました。
F1がF1たる最も重要なフロアデザインが明暗を分けます。
オープンフロアとは?
このようにサイドポッドをフロアから完全に分離したデザインを私的にオープンフロアと呼んでいます。
前提としてフロアで発生するダウンフォースはドラッグが少ないです。ドラッグが多いとは上面の正圧が多い場合の事を言います。
例えば、ダウンフォースを10発生させるとしたら圧力差10を作る事になり、上面正圧6と下面負圧4で達成されますが、正圧4負圧6の方がドラッグが少なくなります。
力が発生する方向は正圧→負圧です。
フロアと路面の間で発生する負圧はグラウンドエフェクト効果により倍増されますので、結果としてフロアで発生するダウンフォースはドラッグが少ないとなる訳です。
逆に飛行機はグラウンドエフェクト効果によって翼と路面の間で発生する正圧が倍増されて、速度が低くても離陸できるのです。
均一なフロアダウンフォースバランス
オープンフロアの特徴して圧力差を発生させる上面正圧と下面負圧の流れが均一である事が挙げられます。
マシンバランスに苦労しているレッドブルは昨年までのサイドポッドスタイルを維持しています。
簡単に強い正圧の発生ポイントを赤枠で示しています。
サイドポッド前方は空気の流れを抑え込みサイドに弾く、後方はダウンウォッシュを使いディフューザーの傾斜が始まる所で抑え込みます。
フラットになったフロアに対して正圧の数値に大きなバラつきがあるのです。
メルセデスやマクラーレンのオープンフロアをもう一度見てほしい。
フロア上面の流れがスムーズなのが誰でも直感的にわかるでしょう、マクラーレンは昨年からこれを意識したフロアとサイドポッドデザインをしていました。
メルセデスはサイドポッドで発生する流れの乱れが、フロア上面の流れを妨げない様なデザインになっています。
エネルギー効率はドラッグ削減が第一前提
強力なモーターがあろうとも運動エネルギーを作るのは低出力になったエンジンです。
ドラッグは空気の流れを停滞させる事(正圧)ですが、使う場所を間違えれば効率の良いダウンフォースは得られません。
アストンマーティン・ホンダAMR26はニューウェイお得意のハイレーキスタイルを採用していますが、マシン自体を前傾姿勢にすることでマシン全体の上面正圧を稼ぎます。
プレシーズンテストでは上位チームがレーキ角をある程度付けた状態で走行を開始しましたが、その間違いに気づき僅かなレーキ角設定に戻していました。
ドラッグが多すぎるのと、ブレーキング時に更に路面から離れる事で発生するリア側フロアダウンフォースの不足、強力なリア回生ブレーキが不安定になる事が分かったからです。
エネルギー不足の現代F1おいてハイレーキは無用の産物になってしまいました。
まとめ
空力に関しての基本的な方向性はどの時代も変わりないと思っています。
L/Dを常に意識したダウンフォースが必要なだけです。
今年に限って言えばアクティブエアロとの連動でダウンフォースの増減をコントロール出来ることが大きな課題かもしれません。
細かいボルテックスジェネレーターを使いアクティブエアロ作動で空気の流れを変化させて、単純なウィング面のドラッグ削減だけでなく、その他の部分のドラッグをも削減できる事がポイントとなるでしょう。
開幕からボルテックスジェネレーターが増え続けています。
空気を捻じ曲げる行為自体はドラッグ増ですが、その結果としてL/D値が改善するならOKです。
メルセデスがなぜ優位なのか?それはPUだけではありません。
フロアとサイドポッドの分離、オープンフロア構想とL/D値が優れているからなのです。







コメント Comments
コメント一覧
藤田潤 がコメント
2026-06-15 21:12
なるほど!
夏に登場と言われているアストンマーチンのBスペックはハイレーキ捨てますかね?
Jin(F1モタスポGP管理人) がコメント
2026-06-15 07:51
やめないと勝負にならないですね。
がコメント
2026-06-15 14:41
低出力PUになった事でICEが発する発熱量も少なくなるから冷却機器ラジエーター容量も少なくて済むから
大きな膨らみのサイドポッドにする必要が無くなると思うのですが如何でしょうか?
まあゼロポッドに再挑戦するチームが出て来るまでは考えて無いですが?
Jin(F1モタスポGP管理人) がコメント
2026-06-16 21:12
増大したバッテリーやモーターの冷却が必要になっています。。
通りすがりのタコ がコメント
2026-06-16 15:00
いつも面白い解説ありがとうございます。
見た目としてはフロアとサイドポッドの分離で重心が上に上がってしまっているように見えてしまいますね。
あの不細工な前輪の後ろのフェンス群無くせばドラッグが劇的に減りそうなもんですが…
前輪が作る乱流の方が影響大きいのでしょうね…
うーん空力は分からない面白い
Jin(F1モタスポGP管理人) がコメント
2026-06-16 21:10
センタークーリングの増大と重心の上昇、これに抗っているのがフェラーリですね。
センタークーリングは無く、サイドポッドの内側はフロアに密着しています。
1勝したフェラーリは次の解析にしたいと思っています。
がコメント
2026-06-16 23:23
フェラーリを御手本にして追随するチームが出て来る事も考えられますね?
完全にセンタークーリングを無くすのではなくて割合を減らすだけでも。
ハースは以前ほどフェラーリに依存しなくなって独自路線を歩んでいるように思いますが、それでも御手本として取り入れる姿勢は変わら無い?
がコメント
2026-06-18 04:26
このフロアパネルからサイドポッドを切り離した(浮かび上げたと言う表現も?)オープンフロアを見て思い出すのは1992年フェラーリF92Aですが完全にフロアパネルとサイドポッドの間に隙間空間が存在しました。
ただ当時フロアパネルの剛性が低くて真っ平らの板だと反り返って平面度が保て無くなったと聞きました。
現に同じV12エンジンを使っていたマクラーレンもホイールベースの長い車体でフロアパネルの面積が大きくなり剛性確保に苦労したそうです。
現代のF1ではフロアパネルの成形技術も進化しているので剛性はしっかり確保されていると思いますが?
2020年まではフロアパネルにスリット刻みなど付けて
薄いパネルでも強度高める方法使えましたが現在は禁止になっていますね。
tm がコメント
2026-06-22 07:07
F92Aはマシンの問題と誤魔化してたけど単純にエンジンがホンダに負けてたって話もなかったっけ?
当時はエンジン批判即解雇みたいな話もあってパワーも信頼性も負けてるのにフェラーリのエンジニアは誰も批判しなかったけど
Jin(F1モタスポGP管理人) がコメント
2026-06-22 09:23
F92Aアレジの後日談
エンジンは91年よりパワーダウンしていてシーズン途中に91年型に戻す
シーズン中に縦置きを横置きミッションに変更した為ダブルフロアを通る空気がディフューザーに抜けずらくなり空力もダウンしたと
縦置きのままなら空力は非常に良かったと言っていましたよ
エンジンが悪いとは言えずマシンのせいにしたかった上層部の意向
がコメント
2026-06-29 06:57
今から考えますとツインフロアパネルのコンセプトはかなり時代先取りして早過ぎた技術とも思われましたが条件さえ整っていれば決して間違いでは無かった。
フェラーリ車体にホンダV12エンジン載せていたら?
結局F92Aのフロアパネルとサイドポッドとの隙間空間は埋め立てられて塞がれてF93Aとして普通のマシンになってしまいました。
フェラーリV12はエンジンオイルの消費量が激しくて
別オイルタンクを追加するくらい不安定だったと当時の記事に有ったと記憶しています。
tm がコメント
2026-06-29 10:54
当時何の雑誌だったか誰が言ってたかも思い出せないけど当時のエアロダイナミストならだれでも1度は考えるアイデアだったらしいよ
ただ、ダブルデッキにすると重心上がったり、冷却苦しくなったり、縦置きギアボックスで全長伸びたりと
空力以外のデメリットが大きすぎてチャレンジしないって当時のエアロダイナミストが答えてたはず
トラックバックURL
https://f1-motorsports-gp.com/car-design/f1-2026-aero-floor-open/trackback/