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2020年13戦が終わり11勝を記録しているメルセデスAMG-W11、ナンバー1パワーユニットであり、そのパワーやエネルギー効率においてナンバー1のマシンである事に疑いの余地は無い。

特にロングホイールベースを生かした面積の広いフロアを、路面に対し一定距離を保つサスペンション技術が凄まじく、どんな状況に対してもニュートラルでドライビングしやすい印象を受ける。

マシンを前傾姿勢にするレーキ角セッティングは、ローレーキを採用している。

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ハイレーキセッティングの落とし穴

ハイレーキはディフューザーの規制限界を超えて大型化する。

ブレーキングからターンインのエンジンブレーキ中にその威力を発揮するはずだが、2019年からアウトウォッシュを大幅に失い、マシンサイドをボルテックスで守れなくなった。

(2018年型RB14 フロントウィングカスケードにより強力なアウトウォッシュを発生)

それにより、リアディフューザー手前フロアの低圧ゾーンに高圧の空気が流れ込みやすく、その機能を安定させる事が難しくなっている。風の影響を受けやすく、路面から大きく離れたフロアに流れる空気が乱れる度合いも大きい。

不安定なリアダウンフォースにより、スロットルオンでリア車高が下がりきる間のトラクションが安定しないなどの問題もある。

メルセデスW11 レーキ制御とライドハイト制御

メルセデスは一貫してローレーキを続けており、リアの不安定な挙動を極力排除するコンセプトを維持、上下動の少ないリア周りは、色々な空力パーツによる空気の流れを安定させる狙いもあるだろう。

ターンイン時には、その少ないレーキが最大限に上昇

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ストレートではフラットレーキ

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ストレート後半でマイナスレーキ

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DRS無しでウィングの最大負荷がかかるストレート後半では、レーキがわずかにマイナスまで変化している。メルセデスはリアが沈み込むとリアタイヤのキャンバーが増加すると言われていますが、最大値になっているのがわかります。

そして驚くべく事に、フロントウィングはわずかに上昇し、Tトレイを路面に擦ることなく前上がり姿勢になっています。

まとめ

前上がりになるマシンはドラッグをかなり削減できる。この姿勢を作るのは簡単な事ではありません。

フロントウィングのダウンフォースも最大負荷になっているのに、上昇させるにはサスペンションアームで発生させるリフトとのバランスが非常に難しいはず、特にヒーブサスペンションによる車高変化はいったいどんな制御をすればこうなるのか?

  • ブレーキング時:荷重はフロント、DFは減少、フロント車高は下げたい
  • フルスロットル加速:荷重はリア、DFは増加、フロント車高は上げたい

マシンの荷重移動とDF負荷増減に対して、ヒーブサスペンション機能が別って事?そんな事ができるのか?これは難しい考えてもわからないなぁ。

 

多分、フロント部分でのダウンフォースとリフトが速度域(250km/h以上とか?)によって、絶妙なバランスになるように調整するのだろうけど、フロントのロールをほぼ無いようにしているサスペンションにも関係がありそう。

電子制御アクティブサスでもないのに、こんな事されたら他チームは勝てませんよ。