マクラーレン・ホンダ最後のGPとなったアブダビでは予選は惜しくも11位、しかし決勝では前を走るはずだった2台がリタイアし、予選で負けたマッサを抜いた事でアロンソが9位完走しています。
序盤戦のホンダPUの不甲斐なさからすれば、この結果は喜ばしい事です。どうしようもない状態から終盤には信頼性を見せることが出来て良かったです。
序盤戦からこの状態である事がもっとも重要だとホンダスタッフも再認識したでしょう。オフシーズン狂ったようにベンチテストしている姿が目に浮かびます。
アブダビGP予選タイム差+2.405秒
順 | ドライバー | SPD T | S1 | S2 | S3 | タイム | ギャップ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | V.ボッタス | 327k/h | 17.047 288k/h |
41.090 324k/h |
38.094 225k/h |
1:36.231 | |
7 | N.ヒュルケンベルグ | 318k/h | 17.339 285k/h |
41.992 316k/h |
38.807 217k/h |
1:38.138 | 1.907 |
11 | F.アロンソ | 315k/h | 17.499 280k/h |
41.990 315k/h |
39.147 223k/h |
1:38.636 | 2.405 |
13 | S.バンドーン | 316k/h | 17.427 281k/h |
42.022 316k/h |
39.359 222k/h |
1:38.808 | 2.577 |
※アロンソ・バンドーン・ヒュルケンベルグはQ2タイムが最速
ヤス・マリーナ・サーキットは全長5.554km、全開率63%となっています。
今回はマシン的にもライバルであったヒュルケンベルグのタイムを比較対象に乗せてみました。ベストタイムは同じQ2のものなので検証しやすくなっています。
全開率の高いストレート区間であるセクター2でほぼ同等なタイムであるが、コーナー区間のセクター3で大きく離されています。
ヒュルケンベルグはアロンソよりドラッグが多いコーナーセッティングだった事がこのデータより明らかです。
アロンソはフィニッシュライン通過速度でトップチームとほぼ変わりません。ターン21がかなり速い事になります。ホンダもこのあたり速度域であればドラックとのバランスも良く加速に支障が出ないようです。
メルセデス勢も今回かなりダウンフォースをつけていたようで、セクター3で最速でした。直角コーナーが多く苦戦するセクターと思われましたが、路面がスムーズでアップダウンも無く車体が安定したことでメルセデスの短所は消え、ロードラック高ダウンフォース+パワーで他を圧倒しています。
アブダビGP決勝タイム差+1laps
予選11位のアロンソはスタートでマッサをとらえ一時10位になるが、1周目のストレートで簡単に抜き返され結局11位でオープニングラップを終える。
ブラジルの再現かのようなマッサとアロンソの争いは、21周終了時点でアロンソがアンダーカットに行く。直後の22周目マッサもピットインでカバーに入る。
結局ピット戦略では逆転できなかったが、アロンソはタイヤの温まっていないマッサのインを突き鼻先を入れると強引にねじ伏せてパスしてみせた。
中盤にはサインツにオーバーカットさせそうになったが、ルノーのピットミスでナットが緩みタイヤが外れそうになったためサインツはリタイアして救われた。
後半戦は延々と単独走行しマッサに常に3秒差ぐらいを維持。前のフェースインディアには完全においていかれてしまったが9位完走となっている。
バンドーンはスタート失敗しコースアウトしたことで、フロアに何らかのトラブルが発生した模様、ペースを上げられず下位での走行を強いられた。
まるでラリーカーの様なドライブだったなどと発言していることからも、重要なダウンフォースが失われていたようです。それでもハースの間に割り込む12位完走となっています。
アロンソは最後にERSチャージラップを挟み、全力アタックをしましたが、ボッタスから1秒遅れるファーステストタイムでした。
まとめ
マクラーレンホンダの最後の戦いとしては、まあまあな結果でした。トラブル無く走り切った事が今のホンダの開発の方向性が間違っていない事を示しています。
ルノーとの比較からもホンダパワーはぶっちぎりの最下位ではない事は明らかだと思います。
マクラーレンのシャシーは最後にはルノーに逆転されていますね、ウィングに頼らなければならないマクラーレンとフロア面を中心にアップデートを重ねているルノーの差がこの最終戦に出た結果だと思います。
来季同じPUになるレッドブル、ルノー、マクラーレンの3者比較が楽しそうな感じ。
ホンダの新たなパートナーとなるトロロッソはかなーり不安を残す後半戦の戦いでした来季大丈夫だろうか?PU面ではとにかく信頼性を確保しなければならないのでホンダに課せられた使命はとてつもなく大きいですが、マクラーレンとは構築する事ができなかった協力関係に期待します。
トロロッソはコンストラクターズで七位になってしまい、八億近くの損失になるそうですが、今年まで32億ほどルノーへ払っていたPUの価格がホンダワークスになった事で無料(ただし18年からは1カスタマーのシーズン辺りの価格が15億3,900万円に引き下げ)になったので少しは楽になりますかね?
このオフシーズン、ホンダは日本のSakuraとイギリスとの時差を使った24時間体制どころか、日本もイギリスも24時間体制にして合計1日48時間体制にでもして頑張って欲しいですね。
オマケにアメリカのHPDも巻き込んで1日52時間体制とかしないかなー?www
トロロッソは予算比なら10%以上の増加ですが、元が少ないだけに苦しい事には変わりないですね。
ホンダはかなりの増強なので多少期待していいのか?HPDはさすがに無いけどスタッフの引き抜きとかはありそう。
勤務体制の考え方に100%同感です。アマとプロの違いがここにあると愚直に信じています。労働組合法遵守のサラリーマン集団ではプロ集団に勝てない原点ではないでしょうか? 寝ていても考える(?)ことによって「ひらめき」も生まれる覚えがあります。ただし思い知ったのは学習がない場合、夢も空白になりますが。(笑)
3直3交替勤務が基本ですよね。スクランブルは練度の高いパイロットによる24時間勤務です。「ちょっと待ってね」、はありません。
いつもながら詳しい情報ありがとうございます。
比較動画も見させて頂きました。
鈴鹿から気になっていたのですが
ハミルトンと他のドライバーの違いがどこにあるか調べています。
今回のご紹介頂いた動画でもコーナー出口の姿勢が早く安定してるんですよね。
アロンソが少しカウンターを当ててる所でもハミルトンは当てなくてもスパッと安定して走り抜けるので、ハイドロリックサスの別バージョンと言うか、マツダのGベクタリングコントロールに近い高度な姿勢制御が生かされてるのではと勝手に思ってます。
マクラーレンは高ダウンフォースにしないとタイヤの挙動が不安定になるようで、ここを改善できたら上位に食い込んでくるカモですね。
メルセデスのトラクションは化け物じみてますよね。
とにかくあの良く上下動する足が凄い、それでいて車体側がブレないですもんね。
レッドブルなんかもこの辺は抜きんでていますね、レッドブルのサスはトロロッソに供給できないのかなぁ?w
「最終McLAREN HONDA良い結果で終え、お互いに来季健闘誓い良かった!」 ~モタスポGPさんも一年間アリガトウ!ございました~
まず、PUがトラブル無く2台完走3戦連続の耐久性を確認出来て良かったです。また、今記事から直近目標となるルノー(HUL)とのQ2では速度比較差が少なく来季に向け良かったです。なお、伊GP以降の予選でのTop差は減傾向でしたが、今戦のフリーと予選結果差は予選モード使用不使用⁉︎的な記事も参照になり良かったです(参照:Sportiva)。
来季、☆☆ALONSO氏と有望VANDOORNE氏2人のMcLARENと、終盤強さ示したRenaultとRed Bullの同PUチーム間で拮抗した競争になれば世界中のF1ファンが沸くでしょう!。
FIA公認F1 eSports(ゲームPS4)初代チャンピオン決定戦、メルセデス号2台にトトロッソ号がトップ3バトルを制して優勝しましたが、ゲーマー名がBrendon Leighで“Brendonハートレー”にて聴こえバーチャルな世界ですが、“来季トトロッソホンダに向けイイ結果でした”。この様なエキサイティングな「トップ争いをHONDAには実現して欲しいです!!ね。」
(モタスポGPさん、貴重なデータ比較を一年間アリガトウ!ございました。とても勉強になりました。ここ知るまではHONDAの飛躍的結果を抱いたのですが、今ではココでの専門的な“まとめ”が地に足がついているので、中長期的な展望でポジティブに応援出来ています。)
Esportsの決勝はなかなか楽しめるないようでしたね。あのチャンピオンの恥ずかしがるしぐさが気持ち悪かったけどw
私自身ホンダのどこがおかしいのか調べだしたら、こんな事になっていた1年間でした。
開幕時にマクラーレンホンダを叱責しすぎた手前、納得できるデータをあさっていたらいつしかデータ屋になってましたねw
日本でもSKYSPORTSの契約ができないものなのか?たしか好きなドライバーのオンボードにチャンネルを合わせる機能がありますよね。
あれが見れれば速度計が常に表示されたオンボード映像で検証できるんですが・・・DAZNでやってくれないかなw
トロロッソの最終戦での7位転落以上に心配なのは、終盤の失速と来季はF1経験の浅い2人のドライバーとなる事でしょうか
遅くに決まったルノーからホンダへのシフトで、早めに来季型にリソースを振ったのでしょうし、ルノーのおかげで終盤は毎戦ペナルティと言うのも入賞争い脱落の要因ではあるでしょうが…..
ホンダ自体もECUやMGU-Hの改良、トロロッソとのマッチングと日英両国のファクトリー共休む暇も無い冬が待っているでしょうねぇ
楽しみといえば、ホンダ育成ドライバーの福住仁嶺選手がレッドブルのホーナー氏が共同代表のF2アーデンに移籍すると言う話があり、それが実現してシーズン5位以内に入ればスーパーライセンスが取れるので、来季ホンダが競争力を見せて、福住選手が活躍すれば数年の間に久しぶりの日本人F1ドライバーが誕生するかもしれませんね!
福住のF2参戦はほぼ決定ですよね。チームがいいとは言えないけど。ちょっと期待です。
トロロッソは初ワークス体制をどう生かすか?ジェームス・キーに過度な期待は危険ですけど、ここ数年の出来からすれば期待せざるをえない。
ホンダは3基に縛られずに6基ぐらいを目標にしてガンガン全開でいけばトロロッソでも上位入賞するチャンスは増えると思います。
「USA GP後、トップギャップまとめ(管理人さん)指摘が的中⁉︎」
’17前半のPUトラブルについて、“ホンダ長谷川さんに聞く’17PUトラブル…vol.1という記事(Motaspo.gp)ありましたが、その記事読んでいて、今サイトUSA GP後に指摘していた「TCと連結しているMGU-Hのレイアウト欠陥…」という記事の指摘が近似していて思いだしました。
vol.2もあると思われ気になります。
管理人さん、フルシーズンにわたる貴重な情報と評価、ありがとうございました。お疲れ様でした。