2022年エミリア・ロマーニャGPが行われたイモラでは、フェラーリとアルファロメオのフロアを見る事ができました。

トップチームで優勝争いできるマシン、中団グループのトップを争えるマシン。

それぞれ、戦う場所が違うチームです。

 

方法は違えどフロア前方でダウンフォースを稼ぎ、フロア後方でもダウンフォースを稼ぐ。

これぞトンネルフロアの回答だと言うものを確認しましょう。

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フェラーリF1-75のフロアとフェンス

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フェンスは、広めの間隔で空気を多く取り込み、大きめの傾斜角度で路面側へ収縮し、フロアサイドの排出口付近で多くの負圧を獲得します。

 

トンネルに近い内側1番目のフェンスは、トンネル側へ空気がこぼれるように若干開いており、路面との間に負圧を作ります。

そして、前方下側が四角にカットされていて、多くの空気を取り込む事が出来ます。

この二つの角では、渦流が作られトンネル方向へ流れます。

 

ビィブにあるボルテックスジェネレーターは、上面が空気を受け止めるような角度があり正圧を作り、トンネル方向へ渦流を発生させます。

これらの3つ4つの渦流の回転方向が全て同一で、トンネルの中で合流する事で流れを安定化させるでしょう。

 

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ディフューザーの始まる最下点は、それなりの高さが確保されており幅も広めとなっています。

これだけ広いと多くの空気量が必要となる。

 

前方のビィブと内側1番目フェンスの取り込み面積が広く、必要量を満たしていると考えられる。

ポーパシングが起こっている事がそれを証明しています。

アルファロメオC42のフロア

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フェンスの上下方向の長さが異様なほど短い、急激な曲率のある傾斜で空気を収縮し、路面へ一気に近づけています。

この路面との距離感は、昨年まで使われていたステップドボトム並みで、路面へ近づいている広さを確保する事で負圧を獲得する方法です。

 

ビィブと内側1番目フェンスは、上下方向はかなり広いですが横幅は狭い、トンネルへ導く空気量は少ないです。

これを補うべく、この1番目フェンスはフロアの中間で高さが無くなり、2番目フェンスとの間を流れる空気が流れ込むようになっています。

 

1番目フェンスはトンネルの中でボルテックスジェネレーターとなり、トンネル内部で渦流を発生させます。

2,3番目フェンスの間からも多くの空気が流れ込むでしょう。

 

フロアフェンスを含む前方はステップドボトムじゃないか! レッドブルの次に衝撃的なフロアフェンス構造だと思います。

サイドポッドの大型化

サイドポッド下部を浮かせて、アンダーカットラインから多くの空気をディフューザー上面とビームウィングへ導くダブルフロア構造だったアルファロメオ。

イモラのアップデートでは、サイドポッド全体のボリュームをアップ、後部が特にサイドに張り出されアンダーカットラインを潰した。

 

速く強い空気の流れを、リアタイアとディフューザーの間に流す意図を感じられるものになっています。

ディフューザー後端のボルテックスの促進とリアドラムディフレクターの効率アップが狙いとなるだろう。

まとめ

フェラーリのフロアは、はっきりと言えばオーソドックスです。

フェンスの仕事、ディフューザーの仕事、どちらもしっかりと機能するようにしている。

 

フロアとディフューザーのつなぎ目が角ばっている事が、ポーパシングの原因の一つとして考えられています。

フェラーリにもそれがあり、レッドブルにはありません。

まだまだ仮説の域ですが、今後のアップデートで修正されポーパシングが緩和されれば、正解となるでしょう。

 

アルファロメオのフロアはレッドブル並みに異質です。

さすが、スイスのザウバーエンジニアリングと言ったところでしょう。

お金さえあれば、世界最高の風洞と共に良いものを作り出せる集団です。

 

素早いアップデート、出来たら直ぐに試す臨機応変な対応。

予算差は倍以上も違うチームでありながら、メルセデスのラッセルを追い詰めたボッタスの走りが、その正当性を示しています。

 

フロアフェンスのダウンフォースと排出渦型乱流