とある雑誌のホンダエンジニアへのインタビューで、ピークパワーは最大燃料流量発生回転数10,500rpmだという事が確定しました。
非常に簡単な事なのですが、それ以上の回転数では1度の燃焼に使える燃料が減っていくからです。
ギア比とファイナルは開幕時点で凍結されるため、加速重視なのか最高速重視なのかはPUやマシンコンセプトで決まります。
毎年恒例のギア比と速度の解析を大まかに行っていきます。
各ギアの最高回転数と速度比較
マイアミのターン16~17間ストレートの予選時、1,2速はレーススタート時のデータです。
Hが各ギアの最高回転数、Lがギアアップ時の最低回転数です。
Team | gear | 1H | 2H | 3H | 4L | 4H | 5L | 5H | 6L | 6H | 7L | 7H | 8L | 8H |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
RedBull | rpm | 11,889 | 11,525 | 11,976 | 11,149 | 11,526 | 11,070 | 11,700 | 10,762 | 11,494 | 10,494 | 11,580 | 10,654 | 12,057 |
km/h | 88 | 108 | 157 | 181 | 193 | 201 | 224 | 240 | 254 | 261 | 293 | 296 | 342 | |
Ferrari | rpm | 11,950 | 11,893 | 11,809 | 10,699 | 11,626 | 10,953 | 12,101 | 10,981 | 11,834 | 10,626 | 11,660 | 10,586 | 11,876 |
km/h | 96 | 118 | 151 | 167 | 181 | 201 | 226 | 231 | 256 | 262 | 291 | 295 | 335 | |
Mercedes | rpm | 12,405 | 12,727 | 11,603 | 10,623 | 11,768 | 10,811 | 11,613 | 10,816 | 11,485 | 10,721 | 11,634 | 10,477 | 12,411 |
km/h | 99 | 136 | 157 | 166 | 189 | 196 | 210 | 225 | 243 | 258 | 278 | 284 | 337 | |
Mclaren | rpm | 10,886 | 11,856 | 11,808 | 10,833 | 11,885 | 10,761 | 11,659 | 10,679 | 11,537 | 10,590 | 11,720 | 10,476 | 11,791 |
km/h | 106 | 131 | 156 | 173 | 193 | 201 | 221 | 227 | 253 | 262 | 293 | 297 | 335 | |
Alpine | rpm | 11,303 | 11,916 | 12,064 | 10,890 | 11,900 | 11,123 | 11,907 | 10,921 | 11,495 | 10,540 | 11,423 | 10,572 | 11,521 |
km/h | 81 | 124 | 161 | 180 | 199 | 216 | 235 | 249 | 262 | 275 | 299 | 304 | 334 |
高負荷領域となる6,7速の最高回転数が大体揃っていて、ギアアップ時に10,500rpmを下回らないように最高回転数を設定している。
トルクの落ち込みが少ないおおよその回転数は11,600rpm辺りまでと推測されます。
それ以上回せば、フリクションロスが大きくなりトルク(パワー)が下がっていきます。
250km/h以上の高負荷速度域でパワーロスは避けたい、ギアアップ時に最大パワー発生回転数10,500rpm以上で繋いだ方が効率が良い。
マクラーレンの7速の回転数が高いのは、8速にギアアップした時に10,500rpmに近づけるためだろう。
回転数と速度の比較グラフ(3速~8速トップエンド)
2022年の回転数と速度(比較用)
2022 SAU | gear | 1(S) | 1H | 2H | 3H | 4H | 5H | 6H | 7H | 8H |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
レッドブル(R) | rpm | 9,930 | 12,330 | 11,264 | 12,051 | 11,856 | 11,915 | 11,724 | 11,813 | 11,854 |
km/h | 0 | 119 | 134 | 164 | 196 | 232 | 258 | 294 | 334 | |
フェラーリ(F) | rpm | 10,017 | 10,086 | 11,736 | 11,612 | 11,261 | 11,551 | 11,572 | 11,633 | 11,638 |
km/h | 0 | 89 | 135 | 153 | 177 | 217 | 255 | 290 | 326 | |
メルセデス(M) | rpm | 8,682 | 12,687 | 12,296 | 11,605 | 11,464 | 11,595 | 11,586 | 11,708 | 11,891 |
km/h | 0 | 105 | 137 | 156 | 177 | 214 | 244 | 280 | 322 | |
マクラーレン(M) | rpm | 10,352 | 12,585 | 10,991 | 11,717 | 11,590 | 11,647 | 11,791 | 11,750 | 11,423 |
km/h | 0 | 103 | 132 | 160 | 190 | 223 | 257 | 294 | 323 | |
アルピーヌ(R) | rpm | 11,199 | 10,175 | 11,342 | 11,292 | 11,663 | 11,670 | 11,734 | 11,518 | 11,422 |
km/h | 0 | 77 | 136 | 158 | 203 | 231 | 269 | 300 | 327 |
ギアとエンジン回転数分析
ギアカートリッジを生産しているのは、レッドブル・メルセデス・フェラーリ・マクラーレン・アルピーヌです。
カスタマー専用のギア比設定が無いのはテレメトリーで確認済です。
レッドブルは昨年と比べて各ギアの最高回転数を下げている。
10,500~11,500rpmでエンジンを回すようにギアを設定し、最高出力発生回転数から離れすぎないようにしている。
2022年はまだ2021年の設定を引きずっていて、E10による熱量減少の対策を考えなおした?
エネルギーを無駄なく使う事を考えれば当然の結果か、強制的に燃料温度が外気温と同じにされた事も関係すると思われます。
ターボエンジンらしくエンジン回転数では無く、ギアで加速する感じに仕上がっている。
フェラーリは逆に5,6速の最高回転数を上げている。
300km/hまでの加速ならどこにも負けない。
小さなコンプレッサー、ハイブーストとMGU-Hの回生を両立する為の設定だろうか?結果的にトラブルが多い。
メルセデスは昨年同様に各ギヤが短く11,500rpmを基準にギアアップしていく。
加速重視のギア設定を2年貫いている。
8速では12,440rpmで337km/hに達するローギヤード設定、H-RBPTに比べて400rpmも多く回すエンジン、高回転高負荷によるトラブルは懸念事項になるだろう。
走行距離によるパワーダウンは2022年非常に大きかった。
アルピーヌは3,4,5速で高い回転数を使っている。
ハイギアードな6,7,8速へスムーズに繋げるための設定になったのかもしれない。
パワー的には最下位だと言われる、少し古臭い外観や補器類、開発予算の少ない影響が未だにあるのがルノーPUです。
同じPUサプライヤー同士でもマクラーレンは独自ギヤボックスなのでメルセデス、アストンマーチン、ウィリアムズとは一線を画する。
アルファロメオも同じく独自ギヤボックスなのでフェラーリ、ハースとは違う?
メルセデスと同じギヤボックスを供給して貰っているアストンマーチンも来年には独自ギヤボックスを開発する準備に取り掛かるのでは?
同じギヤボックスを供給して貰ってリスクを回避するか?冒険してでも将来に備えて独自開発に踏み切るか?
アルファロメオはボックスのみ自作です。
ギア本体やドライブラインはフェラーリ製、カスタマーはワークスのギア比をそのまま使います。
マクラーレンのギア比がメルセデスに合っているかはよくわかりません。
本題とはずれますが ー 常に前後左右の強烈なGに耐えながら1速あたり1000回転あるかないかの狭い範囲に回転数を収める正確なギアシフトを要求されるドライバーは、改めて大変ですなあ
カスタマーのギア比って前からワークスと同じでしたっけ?
アストンマーチンのトップスピードの伸びがイマイチなのはメルセデス製だから?
トップスピードはギアよりドラッグでしょ
RBとタウリが実にわかりやすいじゃないか
ギア比は一緒です。
アストンとメルセデスの場合は、ドラッグもありますが選べるモードの違いもあります。
トップエンドで1サイクルあたりの燃料が減っても回す場合、ブーストを高めますがエンジンへのダメージが多くなる。
300km/h以上では10hpで約1km/hと覚えておくといいです。
50hp落ちていたら5km/h遅くなると言う感じ。
E10でシリンダー圧力は増加、HONDA-RBPTが回さない理由がある。