2018年のエンジン戦争はフェラーリがリードしている。メルセデスは年間3基規制への対応でマイレージ確保の信頼性を重視したために遅れていると思っていたが、フェラーリの信頼性も高い。
完全に頭一つ抜け出したフェラーリ、素晴らしい開発をオフシーズンに行っていたようだ。ホンダの今の状態も気になるところ、どのぐらいの差があるのかを解りやすくするために、F1アプリの速度と回転数のGPSデータをプロットしてみました。
今回の比較データの舞台はホッケンハイムリンクのパラボリカです。
ホッケンハイムリンク・パラボリカ
ドイツGP予選のベストタイム記録時で、セクター1計測地点からヘアピン手前で減速したところまでの0.2秒ごとのデータになります。
ターン2を回った時点からステアリングをきりながらターン3,4をアクセル全開で駆け抜ける、その辺りの走行抵抗の違いなどの影響も見受けられます。
スピードテレメトリーグラフ
回転数(rpm)テレメトリーグラフ
データ解析のポイント
F1アプリのLTはデータ送信不具合が少しあり表示がいまいちなので正確とは言えませんが、スピードGPSデータはAMuSのジャーナリストが解析したと言う250km~320km/hでフェラーリがメルセデスを引き離すという事がしっかりと表れています。
回転数は100rpmづつしか表示されないためと、F1アプリ自体のフレームレート(1秒間のコマ割り)が悪いため、かなり信憑性が薄い感じ、5,6速はもっと回っているはずだ。GASだけがセクター1通過時点で4速、他は5速から始まっています。
フェラーリは7速に入ったところからメルセデスを引き離していきます。この7速での最高回転数も頭一つ飛び出ているのがわかる。そして8速が始まる回転数が高い、8速でも回転数上昇ペースで上回ります。メルセデスの方が若干ドラッグが多いという事もあるがフェラーリは7速以降で何をしているのか非常に興味深い解析結果です。
ちなみにベッテルがDRSを開いたのは7速270km/h時点です。DRS時のドラッグを減らす仕掛けは無いとは言い切れないが関係無いと思われる。
ルノー勢はワークスの方が回転数の使い方が若干違います。同一の個体であるが燃料やギア比の違いから多少トップエンドでのパワーギャップがあるのでしょう。そして何よりレッドブルのドラッグが大きいのが浮き彫りになっています。
ホンダはルノーにほぼ追いついたは間違いなそうです。7,8速のギアチェンジでの速度の上昇カーブがおかしいですが、これはLTの不具合もあるとは思うのですが、10,400~10,800rpmの低回転域のパワーが高い事が実証されているような気がします。
新人ドライバーにドライバリティが優れていると言われている事が、データ上に表れたと考えていいでしょう。
8速トップエンドまできっちり回るフェラーリやメルセデスに追いつく事がホンダの使命である。過去のホンダとは違ったドライバビリティ優先のエンジン開発は確かに良い事だとは思うが、やっぱりトップエンドのパワーを見せつけてくれた方がいいと思うのは、私のような往年のホンダF1ファンなら求めてしまうところだ。
ホッケンハイムリンク・パラボリカのデータ
LTデータのプロットの仕方:画面録画(iphoneであればios11の標準機能)をする。ウゴトルと言うアプリでコマ送りしながらデータをプロットする。ウゴトルのコマ送りはコマごとの時間経過が一目でわかるので便利です。
どうぞご自由にお使い下さい。
Time | GAS | VET | BOT | VER | SAI | GAS | VET | BOT | VER | SAI |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0 | 203 | 218 | 218 | 207 | 218 | 11000 | 11700 | 11500 | 10500 | 11200 |
0.2 | 203 | 222 | 218 | 215 | 218 | 11000 | 11800 | 11500 | 11100 | 11200 |
0.4 | 208 | 227 | 222 | 218 | 225 | 10700 | 10600 | 11600 | 11300 | 11600 |
0.6 | 214 | 227 | 228 | 223 | 230 | 11000 | 10600 | 11400 | 11500 | 11800 |
0.8 | 218 | 227 | 232 | 228 | 235 | 11200 | 10600 | 10500 | 11500 | 11200 |
1 | 225 | 232 | 232 | 234 | 235 | 11400 | 10800 | 10500 | 10500 | 11200 |
1.2 | 229 | 232 | 237 | 234 | 238 | 11700 | 10800 | 10600 | 10100 | 10600 |
1.4 | 238 | 240 | 237 | 237 | 245 | 10500 | 11300 | 10600 | 10400 | 10700 |
1.6 | 241 | 243 | 244 | 242 | 249 | 10600 | 11300 | 11000 | 10600 | 10800 |
1.8 | 245 | 249 | 251 | 244 | 252 | 10800 | 11600 | 11200 | 10800 | 11100 |
2 | 250 | 262 | 255 | 249 | 256 | 10800 | 10500 | 11000 | 10800 | 11200 |
2.2 | 255 | 265 | 259 | 254 | 259 | 11100 | 10800 | 10500 | 11000 | 11300 |
2.4 | 259 | 265 | 262 | 257 | 262 | 11100 | 10800 | 10600 | 11100 | 11400 |
2.6 | 262 | 270 | 266 | 260 | 266 | 11400 | 10900 | 10800 | 11300 | 11600 |
2.8 | 266 | 274 | 269 | 263 | 269 | 10600 | 11100 | 10900 | 10400 | 11700 |
3 | 268 | 278 | 272 | 266 | 269 | 10400 | 11300 | 11000 | 10400 | 11700 |
3.2 | 272 | 278 | 276 | 269 | 272 | 10500 | 11300 | 11200 | 10500 | 10400 |
3.4 | 272 | 281 | 278 | 269 | 272 | 10500 | 11400 | 11300 | 10500 | 10400 |
3.6 | 275 | 285 | 281 | 273 | 275 | 10700 | 11500 | 11400 | 10600 | 10500 |
3.8 | 279 | 287 | 284 | 277 | 280 | 10800 | 11600 | 11500 | 10700 | 10800 |
4 | 281 | 291 | 287 | 280 | 283 | 10800 | 11700 | 10500 | 10800 | 10900 |
4.2 | 283 | 293 | 290 | 281 | 286 | 10900 | 10900 | 10300 | 11000 | 11000 |
4.4 | 285 | 295 | 292 | 285 | 286 | 11000 | 10700 | 10400 | 11100 | 11000 |
4.6 | 289 | 298 | 296 | 287 | 290 | 11200 | 10700 | 10600 | 11200 | 11200 |
4.8 | 290 | 301 | 298 | 288 | 292 | 11200 | 10800 | 10700 | 11300 | 11200 |
5 | 292 | 304 | 300 | 291 | 294 | 11300 | 10900 | 10700 | 11300 | 11300 |
5.2 | 296 | 305 | 301 | 293 | 296 | 11400 | 11000 | 10800 | 11300 | 11400 |
5.4 | 296 | 308 | 301 | 295 | 299 | 11400 | 11000 | 10800 | 10200 | 11400 |
5.6 | 296 | 310 | 303 | 296 | 300 | 11400 | 11100 | 10800 | 10200 | 11300 |
5.8 | 296 | 312 | 305 | 299 | 304 | 11400 | 11200 | 10900 | 10400 | 10600 |
6 | 296 | 314 | 307 | 300 | 305 | 11400 | 11300 | 11000 | 10500 | 10600 |
6.2 | 298 | 316 | 309 | 302 | 305 | 11500 | 11300 | 11000 | 10500 | 10600 |
6.4 | 299 | 316 | 310 | 302 | 307 | 10400 | 11300 | 11000 | 10500 | 10700 |
6.6 | 301 | 316 | 311 | 304 | 308 | 10400 | 11300 | 11100 | 10500 | 10700 |
6.8 | 305 | 316 | 311 | 305 | 309 | 10500 | 11300 | 11100 | 10600 | 10800 |
7 | 306 | 319 | 312 | 307 | 310 | 10500 | 11400 | 11100 | 10600 | 10800 |
7.2 | 307 | 320 | 313 | 307 | 312 | 10600 | 11500 | 11200 | 10700 | 10800 |
7.4 | 307 | 320 | 313 | 308 | 312 | 10600 | 11400 | 11200 | 10700 | 10800 |
7.6 | 309 | 321 | 315 | 308 | 312 | 10700 | 11500 | 11200 | 10700 | 10900 |
7.8 | 311 | 322 | 315 | 308 | 313 | 10700 | 11500 | 11300 | 10700 | 10900 |
8 | 312 | 323 | 316 | 309 | 313 | 10800 | 11500 | 11300 | 10700 | 11000 |
8.2 | 312 | 323 | 317 | 309 | 315 | 10800 | 11500 | 11300 | 10700 | 11000 |
8.4 | 313 | 323 | 318 | 309 | 315 | 10800 | 11500 | 11400 | 10700 | 11000 |
8.6 | 314 | 323 | 318 | 309 | 316 | 10800 | 11500 | 11400 | 10700 | 11000 |
8.8 | 314 | 324 | 319 | 310 | 316 | 10800 | 11600 | 11400 | 10700 | 11000 |
9 | 314 | 324 | 319 | 312 | 316 | 10800 | 11600 | 11400 | 10800 | 11000 |
9.2 | 314 | 325 | 319 | 312 | 317 | 10900 | 11600 | 11400 | 10800 | 11000 |
9.4 | 315 | 324 | 319 | 313 | 317 | 10900 | 11600 | 11400 | 10800 | 11000 |
9.6 | 316 | 324 | 320 | 314 | 317 | 10900 | 11600 | 11400 | 10800 | 11000 |
9.8 | 317 | 324 | 321 | 314 | 317 | 10900 | 11600 | 11500 | 10800 | 11000 |
10 | 317 | 325 | 322 | 314 | 317 | 11000 | 11600 | 11500 | 10800 | 11000 |
10.2 | 318 | 325 | 322 | 314 | 318 | 11000 | 11600 | 11500 | 10800 | 11100 |
10.4 | 321 | 325 | 323 | 314 | 318 | 11100 | 11600 | 11500 | 10800 | 11100 |
10.6 | 321 | 325 | 324 | 314 | 319 | 11100 | 11600 | 11600 | 10800 | 11100 |
10.8 | 321 | 325 | 324 | 314 | 319 | 11100 | 11600 | 11600 | 10800 | 11100 |
11 | 321 | 326 | 324 | 315 | 321 | 11100 | 11600 | 11600 | 10900 | 11100 |
11.2 | 322 | 327 | 324 | 315 | 321 | 11100 | 11700 | 11600 | 10900 | 11100 |
11.4 | 322 | 327 | 324 | 315 | 321 | 11100 | 11600 | 11600 | 10900 | 11100 |
11.6 | 322 | 326 | 324 | 316 | 321 | 11100 | 11600 | 11600 | 10900 | 11100 |
11.8 | 322 | 325 | 325 | 316 | 321 | 11100 | 11600 | 11600 | 10900 | 11100 |
12 | 322 | 326 | 324 | 316 | 321 | 11100 | 11600 | 11600 | 10900 | 11100 |
12.2 | 322 | 325 | 319 | 316 | 321 | 11100 | 11500 | 11300 | 10900 | 11100 |
12.4 | 321 | 308 | 315 | 321 | 10900 | 10500 | 10900 | 11100 | ||
12.6 | 302 | 296 | 317 | 10100 | 9900 | 10600 |
この数値を見るとフェラーリ、ルノーは高回転型、メルセデス、ホンダは低回転型なのかな?という風にも見れますね。とはいえ、500回転程度の違いですが。
レッドブルは・・・・謎ですね。でも謎でも速いから更に謎です。
ルノー、ホンダの8速時のグラフの平行移動の時間の長さからしてもまだまだパワーが足りないのが良く分かりますね。
それにしてもフェラーリとメルセデスの差が尋常じゃないですね。7速、8速の速度域でPUだけでこれだけ差をつけようと思ったら30馬力以上の差が必要かも・・・。管理人様が仰るようにPU以外でも何かしている気がしてきます。
メルセデスがギャーギャー騒いでるから、せこせこやってみましたが驚愕の差でした。
これは単純な燃焼効率のアップだけではないですね。7速以上に限定した何かをしている。
素晴らしい開発力ですよ。
素晴らしいコンテンツです。脱帽です。
映像からこのデータをつくられたようですが大変だったでしょう。
お疲れ様です。
各PUや車体特性がしっかり出てると思いました。
お褒めのお言葉感謝致します。
F1アプリのデータを使っています。最近オンボードから詳しいテレメトリーが消えてしまったのが痛い。
トロロッソの車体の弱いところが、しっかりでています。ホンダの高回転でのパンチの無さもですけどね。
レッドブルホンダ心配だなぁ・・。
お久しぶりです
今回の解析素晴らしいですね、参考になります
有難うございます
ホンダがルノーに追いついたようですね、ぜひ追い越して行ってもらいたいです
このグラフを見る限り、10000rpm以下はほとんど使わないのですね。
2年程前に鈴鹿のスプーンでフェラーリのエンジン音はディーゼルエンジンみたいな変わった音でしたがそんなに回っているのですね。驚きました。
それはそうと、レッドブルのリカルドの代わりは誰でしょうねえ?
鈴鹿の観戦はS字がおすすめかと思いますが、私はスプーンで観戦予定です
これについては、加速中ですからそうなりますね。
コーナー立ち上がりでも、落ちて8000ぐらいだったような気がします。
RBhondaはまさかのライコネン!
ちょっと行き過ぎましたwもしもルクレールがフェラーリ入りしたら可能性がある。
順当にサインツでしょうね。
市販車のエンジンを評価するときに、パワーよりもトルク特性を重視したほうが運転しやすさや燃費が有利だと言われたことがありますが、RA618Hは低回転から太めのトルクを発生させる、初心者向けの乗りやすい特性なのかもですね。
反面トップエンドでトルクが垂れるというのは内燃機関ではありがちですからそこはモーターアシストでカバーしましょうという感じなのでしょうか、それともあくまで低速からトップエンドまでエンジン主体で回しきっちゃうのか、どっちなんでしょうかね?オンボードの映像見てると結構回してからモーターの音が聞こえてくるので、市販ハイブリッドとは制御が違うのかなと思いました
ホンダは低回転域トルク重視なのは間違いなさそうです。
メルセデスやフェラーリは低回転域を犠牲しているとも思えないので、全域で高いレベルを保っているのでしょう。
ホンダのKはアクセル開度が100%になるまでは、K⇒H⇒ESの流れを断続的に行うエクストラハーベスト(回生モード)なのでそう聞こえると思われます。
この時単純にHを電線として使ってはレギュレーション違反。電気の流れを簡単に書きます。(+は消費、-は回生)
K(-)⇒H(+)⇒H(-)⇒ES(-)
「KはHを回す⇒その回った力でHで回生しESへ」
これを1秒間で何回出来るかはわかりませんが、電気ですから我々の想像を超えた回数をこなしていると思われます。
なるほど〜H(+)⇒H(-)の切り替えがミソなんですね!電気が絡むと制御とかプログラムとか、色々な要素が加わってくるんですね…素人には理解し難いです
ミルトンキーンスでは、電気技師はほぼ外人部隊だという記事をどこかで読みました、相当引き抜きましたね
K(-)⇒H(+)⇒H(-)⇒ES(-)や逆のES(+)⇒H(+)⇒H(-)⇒K(+)のために、MGU-Hの中の発電機兼モーターを2つタンデムにしてしまえば、軸重は増えますが、短時間での切替ではなく連続で出来ると思います。レギュレーション違反なのでしょうか。
タンデムというのは2個のモーターと言う意味なら違反です。
Hを通過すればKの規定を超えるエネルギーのやりとりは無制限となります。
ただしHへ負荷が大きいために、常にこの稼働をする事は困難だと思う。
ホンダは昨年あるサーキットにおいてK→ESの2mjとアクセル開度が全開になるまでの短時間でK→H→ESを行い1mj作り出しています。
お久しぶりです。
いよいよストーブリーグ戦がはじまりましたね
レッドブルのリカルドがルノーに行き、トロロッソホンダのキーがマクラーレンに行ったので、リカルドの代わりに破産したフォースインディアからガスリーの友人オコン、またキーの代わりに神野さんが来れば、楽しくなるのですがどうでしょうか!
始めまして、いつも詳細なデータ等を載せてくださって楽しく見させていただいてます。
以前のフェラーリのバッテリーの記事にて書かれていた事がオートスポーツで同様の予想をされてる記事が出ましたね。
(Jinさんが記事を書いてるのかと思ってしまいましたけど、実は書いてたりします?)
バッテリーパックを2つに別けて充放電を同時に個別のバッテリーへやるのは正解な気がします。
ICEの燃焼室の改善は恐らく限界値に近いので電力をHへ回してTCをぶん回してるのが正解な気がします。
レッドブルはサスの作りが頭一つ突き抜けていてPUのパワーを推進力へ変換するのが段違いなんだと思ってます。
運転技術もあるんでしょうけどレッドブルのマシンの後輪が横滑りが余りしてなく切り裂いていくようなコーナーリングですし。
いえいえ、とんでもない読んで下さりありがとうございます。
http://www.as-web.jp/f1/398644?all
見出しを見た時に期待していたら・・中身薄~。
おいおい現場記者の柴田さん何してんの?って思ったらF1i.comの翻訳記事でしたねw
なにが凄いって
このサイト。そこらへんの雑誌やネットのニュースより論理的で
スマートな内容です。
データ量も豊富ですし
今後とも拝見させて頂きます
ありがとうございます。
とにかく事実データ中心を心掛けるようにしています。
何か面白い考えや事実があれば教えてください。
可能性は捨てない事が最も効果的にF1技術を紐解くカギになると思っています。