2019年のF1は2戦が終わり、パワーユニット系のトラブルが既に出始めている。
ルノーはMGU-Kに問題が発生、フェラーリは初戦で吸気温度の問題(冷やし過ぎたと噂され)、2戦目ではインジェクターコントロールユニット問題でルクレールの初優勝が泡と消えた。
そのほとんどは電子的なトラブルであることが非常に多い事が浮き彫りとなっている。現代の熱機関は電子制御化、ハイブリッドによる複雑な制御など、電子機器との融合は切っても切れないものだ。
F1では電動ファンが禁止され走行風のみの冷却が許される。パワーユニット時代に入り多くのラジエーターを取り付けている。
https://f1i.auto-moto.com/でそんな温度管理面の面白い記事が公開されていたので参考にしてみました。
各種コンポーネントの適正温度
F1の各種コンポーネント(V6エンジン、MGUなど)には、動作するために適正温度が存在する。
- V6エンジン:水で約130℃、オイルで約120℃
- コントロールユニット系:最高温度範囲60~75℃
- MGU-K,MGU-H:最高温度範囲85℃
- バッテリー:最高温度範囲85℃
基本的に回転部品の場合は潤滑しながらの油冷となる、エンジンで言えばピストン、シリンダーヘッド、クランクシャフトなどになる。エンジンブロック自体は水冷、MGU関連は油冷となっている。
各種ラジエーターの役割
サイドポンツーンにある大きなラジエーターは主にV6エンジン用であり、吸気温度を適正に保つためのインタークーラーも配備されています。(インタークーラーについては他の場所にあるチームも存在する)
ギアボックスクーラー(レーシングポイント)
ギアボックスの上にある小さなラジエーターは油冷のギアボックスクーラー。
ERSクーラー(メルセデスW10)
プレナムチャンバーの後ろに配置された、黄色いカバーがあるのがERSクーラー。
センタークーリングと呼ばれるインダクションポッドからの空気は主にこのERSクーラー用である事がわかっている。
内部空力学
ここ数年サイドポンツーンの小型化が進んでいる。ラジエーター関連が小型で効率の良いものになっている事もあるが、ラジエーター自体の厚みが増して内部抵抗が多くなっている事も考えられる。
また、ボディー表面に穴をあける事は、ドラッグを生み出しラップタイムに影響を及ぼす。全ては空力効率などとのトレードオフであり、最良の妥協点を見つける事が必要です。
内部空力学は主にCFDが使用され、一部のチームでは風洞での実験もされている。この内部実験については風洞使用制限を受けません。
フェラーリのインタークーラーは何処へ?
フェラーリSF90のエンジン上部をとらえた画像を見ると、やはりインタークーラーが無くなっている。
まだ全容が明らかになっていないが、サイドポンツーンに移動したようだ。初戦で噂された吸気温度の冷やし過ぎ問題はレイアウト変更による弊害かもしれない。
インジェクターコントローラーの不具合も発覚しており、電子機器類のラジエーター温度管理も難しくなっているのだろう。内部コンポーネントの配置を大幅に変え、攻めたフェラーリは温度管理に苦しんでいると推測できる。
電子機器類の冷却問題はアキレス腱になりかねない、早急な対処が求められる。
この記事を読んでくれた方へ
パソコンやテレビの冷却ファン掃除はしているだろうか?最低でも月1回掃除機で吸うなり、エアダスターで吹き飛ばす事が必要です。
湿気の多い地域では、ほこりに水分が溜まり電子回路を錆びらせるなんて事もあります。
電子機器の大敵は熱、空気の流れを妨げるほこりが一番である事をお忘れなく。
これぞ家庭の空力学ですぞ!なんのこっちゃ(笑)
ターボエンジンの場合、冷やせば冷やす程良さそうな気がしますが難しいのですね
それはそうとして、マックのメモリ増設しようとしてカバーを開けてみると、ホコリが凄くてビックリした事があります。今やパソコンの無い生活は考えられなくなったので気を付けております
F1では、毎戦プレナムチャンバー内温度が決められる。(〇〇℃〜〇〇℃)FIAの公式文書を見つけられなかったので、記事にはしませんでした。
吸気温度差によるパワー差を無くすためです。
エンジンは特に作動温度が狭く、タイヤみたいなものですよ。あらゆる状況に合わせたマッピングが必要になります。
パソコンはホコリと熱に気をつけていれば、ほとんど壊れる事は無いでしょう。
最近のテレビはファンがついていて、掃除しないと危ないですよ。買い替えをうながすために、メーカー側からはほとんど発信されません。
吸気温度の件に関してはイマイチ腑に落ちないですね。
吸気温度が下がりすぎる→ブーストを上げる(加圧されることによって吸気温度が上がる)→ブーストを上げた事によって燃料をより消費する+排気エネルギーをコンプレッサーを駆動するのにより消費する→MGU-Hでの回生量が減る→燃費が辛いのでリフト&コーストが増える→タイムが落ちる
あれ?辻褄が合った笑
このメルセデスのコクピットの横の黒いダクトは気温によってふさがれたりするのでどちらかと言えば空力面では開けたくない部分はず。だけどカウル後端を大きくするよりはここにダウトを設ける方がマシって感じでしょうか。
ただR25みたいなシャークルーバーみたいな使い方もあるので空力って難しいですね。
書いてみたら解決するシリーズ!
面白いです(笑)
走行中のF1マシンに電動ファンによる冷却を禁止してるのは、過去に電動ファンを冷却以外の目的(路面底の空気を吸出してダウンフォースを得る)に使用した前例があったからでしょうか?
ピットに待機停止中の時だけは、走行風が使えないからサイドポンツーンやインダクションポッドの入口に電動ファンを取り付けて冷却している光景を見ます。
冷却の事で水冷以外にMGU関連は油冷と書かれていたので、油冷と聞いてスズキの2輪車エンジン冷却を思い出したのですが、原理として同じようにオイルを霧のように吹き付けて熱境界層を取り去って冷却すると言ったようなものでしょうか?
電動ファンの禁止は過去のファンカーがあったからでしょうね。詳しくは知りません。
ただ、重量増と言う観点から見れば必要ないと判断される部分でしょう。
油冷の方式は詳しくは知りませんが、基本的に回転部分のシールや中空パーツの中を通しているはずです。
https://motorsport.tech/formula-1/car-cooling-systems-explained
このサイトは冷却系全般を説明しています。ご参考にして下さい。
ありがとうございました。
現在のF1マシンでしたら、電動ファンを使わなくても、車体のエアロで充分ダウンフォース稼ぐことは出来ますよね。
個人的にはレッドブルRB15が取り入れてるハイアングルレーキ角の車体コンセプトが優れた方法かと?思っているのですが、ホンダパワーユニット出力との兼ね合いもあるので、一概には言えませんね。
昨年も、TAGホイヤー(ルノー)パワーユニットで勝っている車体なのでポテンシャルは充分あるはずなのですが。
冷却関連サイト、参考に致します。ありがとうございました。