フロント・トルク・トランスファー(Front torque transfer)は、別名フロント・デファレンシャルとも呼ばれた。

1999年ベネトンB199に初めて搭載されたが、重量増などのデメリットを克服出来ず1年で使用をやめた。2004年BAR・HONDAはBAR006にこれを搭載した。

第12戦ドイツGPに投入されたものは電子制御される仕様だったために、フリー走行後に使用禁止となったが、機械式に改良し第15戦イタリアGPに再投入された。

FTTは、2006年から使用禁止が決定していたが、2005年からの使用禁止にBARは合意している。

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フロント・トルク・トランスファー(Front torque transfer)

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フロントタイヤにドライブシャフトを組み込み、左右のタイヤをブレーキの油圧を使ったデフでリンク、これにより適切な内輪差を作り出す事ができる。

主にタイトコーナーで発生する内側のホイールがロックする事を防ぐ。ホイールロックが発生するとアンダーステアとなりターンアペックスを逃す。FTTは高負荷の速い回転をする外側のホイールが内側のホイールを回す事で、ロックを防ぎターンアプローチをより深くする事ができる。

これはベネトンでFTTを開発したパット・シモンズの見解です。

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BARでFTTを開発したジェフ・ウィリスは違う見解を示している。

FTTは既定の差分内で左右フロント・ホイールの回転を維持するものです。マシンがターンに向かうと、速く回転する負荷の高い外側のホイールは、回転の遅い内側のホイールをオーバードライブさせ始める。これはマシンの垂直軸のまわりに復元モーメントを発生させ、ターンに抵抗してマシンをより安定化する。

フロント・トルク・トランスファーの効果

タイトコーナーでホイールロックを予防する事は、コースによっては約0.3秒のアドバンテージがあったとシモンズ氏は語っている。

ウィリス氏は、ドライブシャフトがある分のドラッグは1%未満で空力的損失はほとんど問題にならない。フロントの重量は2~10kg増加し、やや不利だが差し引きした効果として、パフォーマンス的にアドバンテージがあったと語っています。

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2004年と言えばBAR・ホンダが、フェラーリに次ぐコンストラクターズ2位になった年、決勝レース結果は以下です。

ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
AUS MAL BHR SMR ESP MON EUR CAN USA FRA GBR GER HUN BEL ITA CHN JPN BRA
J.バトン 6 3 3 2 8 2 3 3 R 5 4 2 5 R 3 2 3 R
T.サトウ 9 15 5 16 5 R R R 3 R 11 8 6 R 4 6 4 6

二人のドライバーで計11回の表彰台を獲得、佐藤琢磨がアメリカGPで初表彰台に上った。新設計エンジンのトラブルがことごとく琢磨にばかり発生したんですよね。

後半4戦の琢磨の成績が実に安定している。エンジンの信頼性が確保された事も大きいが、FTTの効果があったと思ってもいいのではないだろうか。

 

私が注目したのは、ターンに抵抗してマシンをより安定化するという部分です。2004年の日本GP予選のシケインで魅せた琢磨のスーパードリフトは、FTTに助けられた部分が多かったのではないかと思う。

リンク先動画(4:30~)の琢磨のシケインアプローチでリアが一気にブレイクしてしまう、フロントは右回りにスピン回転するモーメントに対して抵抗していたのではないかと思う。あれだけリアを出していてトラクションの回復で、フロントがおつりで振られていないのも目に付くのです。