2018年のタイヤはグリップレベルが高くなり摩耗が早く2ストップレースが多くなると言われていたが、はっきり言って期待外れです。
5戦終わって優勝争いはほぼ1ストップなんだから・・。
そもそも7種類なんていらないんだよねぇ。リカルドも言ってますが全戦でハイパーを予選用にするべきだってね。それかもっとタイヤによるタイム差を作り出すジャンプ選択をするべきだろう。
更に言えばQ3進出者はQ3タイヤでスタートさせる事でしょうか、いまやQ2ベストタイムを記録したタイヤでスタートする事は1ストップを容易にしてしまう。
さて、前置きはこのぐらいにして本題に入っていきます。
タイヤの形状が空力に影響
今回はF1速報スペインGP号にRacecar Engineeringのサム・コリンズさんの記事がありました。YouTubeのNISMO.tvの解説もしている方です。あるチームのチーフデザイナーに聞いたという事の内容です。
参考文献:F1速報 2018年 5/31号 第5戦 スペインGP
タイヤの微妙な膨らみが空力を狂わす
今年のピレリタイヤは形状が変化していて、2017年に比べ構造が少し異なっているそうです。タイヤは荷重がかかると接地面に近い部分が膨らんで変形する。
これが非常に重要だと。
フロントタイヤはマシンの空力にそれほど影響しないが、リアタイヤはディフューザーやフロアに大きな影響が出る。2017年最終戦後のアブダタイヤテストでは違いがなかったが、2018年風洞モデル用タイヤでは微妙に違う値を示したと言う。
ピレリからは最終的な2018年用タイヤに変更があると聞かされていなかったらしい。
このチームでは、風洞用データを信頼せずテストデータの方を信頼したと言う。それが実際は風洞モデル用タイヤの方が正解だったとの事。
タイヤの最終仕様決定が遅い
翌年のマシン開発は5月頃からスタートする。アブダビGP後テストは11月末、最終的な風洞モデル用タイヤが供給されるのは12月以降って事になるけど、プレシーズンテストは2月末。
タイヤの形状違いに気づいても、たった2ヵ月程度で修正できないでしょうよ。しかも情報無しって、これはピレリによるテロだなw
今まで考えもつかなかったですよ。タイヤ接地面の微妙な膨らみが空力に大きな影響があるなんて!
横に膨らむとして数mmだろうに、なんて敏感なF1マシンなんだ・・。
だからリアタイヤ周りの微妙な空力パーツはいつも変更される訳ですね。単純に回転による乱流の抑制だけだと思っていたので、今回のF速の記事はいい勉強になりました。
作動温度内スイートスポットが狭い
このタイヤの形状違いにより、空力が狙い通りに機能せずにタイヤへの入力が変化してしまう。いくつかのチームがこれにはまってしまい、おそらくメルセデスもこれに含まれるとの事。
作動温度領域は拡大したが・・
ピレリとしては昨年より作動温度領域を広げたと主張しているのに関わらず、今年の方が苦労しているチームが多いように見受けられる。
これには理由があるそうで、
2017年は新タイヤの初年度だった事で、チームはある程度マージンをとったデザインにせざるを得なかった。これに対しては今年は1年間のデータを元にある程度まで作動ウィンドウを絞り込んだデザインになっている。
更には作動温度領域を拡大したことで、スイートスポットを探し当てるのが簡単ではなくなっているらしい。
これに関してはピレリのイゾラ氏が「ワーキングレンジ内でパフォーマンスのピークを探し当てたチームがアドバンテージを得る。」と語っている。
川井さんはあるエンジニアから聞いたと言う情報では、たったの2℃の違いだと言っていましたね。
まとめ
タイヤの荷重による変形は接地面積の拡大に目を向けすぎていたけど、空力に大きな影響を及ぼすなんて考えもつかなかったです。
フェラーリは硬めのタイヤで苦労する、メルセデスは軟らかめの方で苦労するという図式は2017年からあまり変わっていないところを見ると。サスペンションジオメトリーやセッティングの考え方も変わっていないのでしょう。
スペインではそんな図式に変化がありましたが、メルセデスがタイヤを使いこなすようになるとシーズン終わっちゃうからフェラーリ頑張ってくれよ!
サスペンション技術力差で速さが決まるF1社会。下位チームが追いつくにはそれ相応の研究開発が必要になる。フェラーリからパーツを買っているハースの速さはこういったところにも表れている訳ですね。FOMは空力ばっかに目を向けてないで、サス関連にもテコ入れしないとねぇ。
P.S.管理人は今後「Jin」と名乗る事に致しました。
決してコナンのジンが空冷ポルシェに乗っていてカッコいいからとかではなく、本名に使っている「仁」と言う字からきています。気まぐれ変更ですよ(笑)
コメント欄にはJin(F1モタスポ管理人)って表示がされるようになります。
ちなみにお酒のジンは好きな方では無いです。
タイヤメーカーがピレリ―になってから、レースは「面白くなったのか、つまらなくなったのか」、私は両方だと思います。
ピレリ―変更当初は、タイヤ戦略がリザルトに大きく影響する様になったおかげで、下位チームも戦略次第で上位フィニッシュ出来たりして、ハラハラドキドキで良かったと思います。しかし、今のタイヤは神経質過ぎてタイヤに依存する部分が多過ぎで、常にタイヤの顔色を伺いながらレースしている様で、少し行き過ぎの気がするのは私だけでしょうか。
レースの原点にたち帰って、「速いドライバー」「速いシャーシー」「強いエンジン」が勝つF1レースをもう一度見てみたいと思います。タイヤの役割を軽視する訳ではありませんが、「マシンのポテンシャルを最大限に安全に路面に伝える」それで良いのではと思います。
常に最高のパフォーマンスを発揮する製品を提供し続けたブリジストンの時代が懐かしく思われます。
ブリヂストンはブリヂストンで固かったりしたりで色々批評はありました。
でも、より良いタイヤをという点はずっと一貫して守られていたという点は私も思います。
ピレリ(…というかFOA?)は「エンターテインメント性」というものに固執しすぎて、本末転倒なタイヤを作っていると感じています。
ハイグリップかつ高寿命、幅広い温度レンジという、「より良いタイヤ」とはあまりにもかけ離れたタイヤでレースをしているのが現状な気がしています。
ミシュランがF1に対して魅力を感じていない点(http://www.as-web.jp/f1/186818)でもありますし、空力だけではなくタイヤもより深く議論して改善すべきポイントだと思います
タイヤのルール自体に問題があるので、今の現状は致し方ない部分ではあります。
FOMからの求めに応じたと経緯もあります。
ただ、今の作動温度がうんたらかんたらはいらないとは思います。
各タイヤ明確なラップタイム差があり、温度にあまり左右されず性能が引き出せる、そしてしっかり摩耗する。
こんな条件のタイヤを作れるメーカーが居ればいいなぁ。
昔のGYのB,C,Dタイヤの頃が、解りやすく面白かったと記憶しています。
2017年タイヤのワーキングレンジを示すピレリ公式の資料は探せませんでしたが
https://www.motorlat.com/notas/tecnica/4484/australian-gp-qualifying-why-the-7-tenth-gap-between-mercedes-and-ferrari-is-not-truthful
とか
https://twitter.com/f1writers/status/872729963006488577
を見る限り、ソフトより柔らかい側のワーキングレンジは昨年より狭くなっているようです
タイヤの膨らみで空力に影響するってそんなの繊細すぎる、
そりゃー横風で不安定にもなるわ。(笑)
もしかしてタイヤごとに潰れ方が違ったりもしますかね。
凄い話ですよねぇ。まったく考えもつかなかったですよ。
でもコンパウンドごとに違うのはさすがに無いとは思いますけどね。