テストでブレーキ冷却問題が2年連続発生、実走が大幅に制限されたため問題発覚が遅れ、開幕から期待外れなマクラーレンMCL60。
TDジェームス・キーの解任など慌ただしいチーム事情。
ドラッグ多くてどうにもならないとノリスはコメントしている。
見た目的にはレッドブルRB18を模倣しMCL36の発展型なのですが、どこに問題を抱えているのか?
私的見解全開で解析します。
マクラーレンMCL60の問題箇所は?
ノリスはストレートスピードにショックを受けたと語る一方で、問題はわかっているとコメントしている。
高速コースのジェッダやアルバートパークで大きなリアウィングを使っていた、ダウンフォースをウィングに頼らざるを得ない。
と言う事はフロアでダウンフォースを稼げていない事になる。
オーストラリアGPのFP1ではこんなシーンがあった。
フェンスにフロービズを塗って走っていたのです。
マクラーレンの2022規定初のフロアはビィブが無く、終盤にフロアを大きく変更していた。
ビィブのあるフロアフェンス周りの実走データが他チームより圧倒的に少ないのです。
フロアフェンスに問題があり、フロア全体が機能不全を起こしていると考えられます。
フロアフェンスの違いMCL36⇒60
2022年シンガポールからフロアを大きく変更、フェンス前部に高さは無く低いままでした。
MCL60のフェンスはモノコックの下側まで高さがあります。
フェンスの全体容量が増加している、赤矢印は3枚のフェンス出口です。
ここでレッドブルRB19のフェンス出口を確認してみましょう。
レッドブルのフェンスはZ=0よりも少し高い位置にある。
一番後ろのフェンス排出ポイント近くは規定よりフロア幅が短くカットされ(通称Zカット)、大きな開口部と排出を促進するためのミニウィングが付いています。
これを踏まえた上で、もう一度MCL60のフェンス排出ポイントを見てもらいたい。
3枚ともフロアの端まで長さがあり路面との隙間はかなり狭い。
トンネル側のフェンス裏からサイドに排出するミニディフューザーがあるが、ここは上面からの気流が流れ込み積極的にフロアから排出するものではない。
フロア形状を見ると路面側に張り付いたようになっています。
ドラッグにならないように排出量を増加させる必要がある。
一番内側のフェンスの形状は非常に重要であり、フロアの流れに重きを置くならもっとトンネルの流れに配慮した形状になっていなければならない。
マクラーレンMCL60のディフューザーアップデート
マクラーレンのフロアはレッドブルと同様にセンターフラットエリアが広く、後方のディフューザー形状は似ています。
サウジアラビアGPでは、そのディフューザーの中央になだらかな曲線を描く形状が盛り付けられていました。
まだはっきりとした画像がありませんが、中央部分の体積を増加させ全体容量を減らしています。
中央部分から上昇する角度が急だったので剥離していたと思われます。
レッドブルRB19:ディフューザーのフロービズ
レッドブルのディフューザーはなだらかな曲線ラインが段階的に配置されています。
マクラーレンの旧型ディフューザーと見比べれば、似て非なるものだと言う事がわかると思います。
フロアとディフューザーの接続は現規定で最も重要な部分です。
フロアの始まりであるフェンスが間違っていれば、リア周りでどんなに注意を払っても機能しません。
まとめ
フェンスは強制的に空気を収縮し加速させる、フェンス出口付近と路面の間に負圧を多く発生しダウンフォースを稼げます。
一方、排出する容量が不足すると流れが悪くなりドラッグが増える、流れが悪くなればトンネル側に発生させるボルテックスに影響を与え、更にフロア中央に前から引き込む流れも悪くなってしまう。
そして、フロア全体の流れも悪くなる。
今後のアップデートでこの解析が合っているかどうかは確認出来るでしょう。
ディフューザーのキックポイントが路面に近づきすぎてストールするように、ディフューザーの逆の形をしているフェンスもストールするんですね。
マクラーレンだけじゃない!
フロアフェンスの負圧でダウンフォースを多く稼ごうとするマシンは、少なからずこのような現象に陥るでしょう。
フロアは前から入れる空気の量、それを排出する量、トンネルに流れる量、フロア全体に流れる量、それら全てをバランスさせる必要があります。
フロアフェンスはその起点であり、この概念を間違っているといつまでたっても安定した速さは得られません。
レッドブルがフェンスのほとんどをアウトウォッシュに利用しているのは明白であり、これを真似できなければ永遠に追いつくことは出来ないだろう。
アストンはフェンスの排出が多い方では無く、ドラッグが多いのはその為かもしれません。(その分̘前寄りのダウンフォースは多い)
いつも詳しい解説有り難うございます。
マクラーレンのウイングでのダウンフォース稼ぎ。
MP4/5あたりの苦労している姿を思い出させますね。
あの時も、ホッケンハイムでデカいウィング付けて、ホンダパワーで押し切っていましたね。
その時とは、理論のレベルが違いすぎますが。。。
それにしても、空気って難しい。
2021年までのレーキマシンだったMCL35Mの方が良かったくらいグラウンドエフェクト規定マシンになって調子が悪いマクラーレン(だけでは無いですが?)
同時にホイールサイズがアップした事によるブレーキシステムの不具合の問題も抱えている。
今あるMCL60を改良改善していくか?一から全て造り直すか?分からないですが、地道に一つずつ問題点を解決して行くしかない。
このままズルズルと競争力が下降してしまえば、
ノリスもモチベーション下がって他チームマシンに移籍、乗り換えも考えてしまうのでは無いでしょうか?
2022規定のマシンの問題点は、安定しない変動率が高い路面との距離に尽きます。
CFDや風洞の設定にそれが反映されていないので計算が狂う。
アクティブサスを失ったウィリアムズみたいなものです。
2022年に従来と変わらずサイドポッドをスリムにして失敗したのって、メルセデスとマクラーレンとウィリアムズでしたっけ。
初手で後手に回ると取り戻すのは大変なんだなと
今年のFIAバウンシング対策が無かったら去年のノウハウが継続できたんでしょうけど
今年はフロアから逃げる気流を抑えるエアロフェンスが最重要になってその道最高峰のレッドブルがますます引き離す、と
もうサイドポッドがどうとかよりも周回遅れになったエアロ開発をどう取り戻すかが課題になってきましたね
アルファタウリもフェンス大きくするアップデートで同じ間違いをしそうです。
そして益々遅くなる(汗)
あと、5,6のアップデート計画が進行中、自信まんまんなTDのインタビュー。
やっちまったなぁとなりそう、、
マクラーレンはレッドブルと同じフロントにプルロッド式+リヤにプッシュロッド式のサスペンション組み合わせを採用していますが(ジオメトリーは違いますが)
それ以外の共通点は見当たらない?
マクラーレンも方向性としては、レッドブルと同じところを目指していると思いますが、
出来ればノリスもRB19に乗りたがっているでしょうね。
ここのところメルセデスPUにまつわるトラブル(ノリスのニューマチックバルブやラッセルのシリンダー1気筒分破損)も車体側の基本設計に問題あってPUに無理をさせて負荷を掛けているからでは無いかと懸念しております。
フロントとリヤのウイングに頼らずフロアで確実に
ダウンフォースを稼ぐ車体だと少ないエネルギー(PUに無理な仕事をさせなくても)で済んでアドバンテージも稼げる。
レッドブルのマシンを見てると余裕が感じられて信頼性に不安あると言われてもレースをこなす程、信頼性も高めて克服している(熟成されている)
2021年旧レギュレーションまでのメルセデスが、そうでしたね。
シリンダーってメルセデスもホンダ同様鉄ライナー使ってたはず。
エキゾーストの熱によるダメージなども確認出来ているし、想定以上の熱で変形したのかも?
熱を余さずに利用するとは言ったもののコントロール出来なければ意味が無い。
1気筒と言ってるだけで何かはわからないけど。
もうPUのコンポーネントに関しては信頼性向上目的以外の構造変更は出来ない開発凍結に入ってしまっているので、
メルセデスもホンダと同じように気筒間隔ボアピッチを詰める内容は既に完了しているものだと想像しますが?
2023年今シーズンも含めて2025年までの3年間で全てのPUサプライヤーが、どれだけ煮詰められるか?
車体の方ばかりに注目しがちですが、PU規定使用数超過によるグリッド降格ペナルティも要チェックですね。
要チェックやで~!w
メルセデスはエキゾースト全入れ替えからの1シリンダー問題
フェラーリはERSとエンジンのマッチング
ホンダRBはバッテリー
ルノーは沈黙