F1では2014年にハイブリッドターボエンジンが導入されて以降、コンプレッサーによって圧縮された空気を冷やすインタークーラーがあります。

圧縮された空気は温度が上昇(200℃以上?)、その時空気内の酸素密度が減る。酸素密度が減ると燃料と一緒に燃やすことが困難になってしまう。10℃下げる事で約3~4%酸素密度が増えると言われています。

インタークーラーは空冷と水冷が使われており、F1においてはどっちが正解なのか?各チームの違いを確認していきます。

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チーム毎のインタークーラー方式

チーム エンジン IC方式 備考
メルセデス メルセデス 水冷
レーシングポイント メルセデス 空冷
ウィリアムズ メルセデス 空冷
フェラーリ フェラーリ 水冷 PU一体型
アルファロメオ フェラーリ 水冷 PU一体型
ハース フェラーリ 水冷 PU一体型
ルノー ルノー 空冷
マクラーレン ルノー 空冷
レッドブル ホンダ 空冷 2分割方式
アルファタウリ ホンダ 空冷 2分割方式

 

インタークーラーは、エンジンの燃焼に関わる空気温度を決定づけるパーツであるにも関わらず、チーム毎に違った方式となっています。

一体型で供給しているのはフェラーリのみであり、他メーカーはチームにどのようなものを使うのかを委ねています、メルセデスPUのみが二つの方式を採用している唯一のメーカーです。

空冷インタークーラー

圧縮された空気をラジエーターに導き、走行風を当てる事により熱交換して冷やす、空対空となるのが空冷インタークーラーです。

走行速度が上昇すればするほど冷却性能を増加する事が出来るが、インタークーラー自体が大きくなりスペースが必要になる。絶対的なピークパワーは空冷が一番良いとされる。

https://f1i.auto-moto.com/

ルノーのインタークーラーは、サイドポッド左側の大部分を占める。

 

ウィリアムズはサイドポッド左側全体がインタークーラーになっているようです。

 

ホンダは、2018年トロロッソがサイドポッド左右にインタークーラーを分割して配置、2019年レッドブルもこれに習って同様の方式を採用しています。

水冷インタークーラー

メルセデスチーム、フェラーリPU勢は、2014年より水冷インタークーラーを使い続けている。空対水となるインタークーラーとサイドポッドにインタークーラー用冷却水を、冷やすための水対空ラジエーターが別途必要になる。

パーツ点数が多くなる事による重量増、ラジエーターポンプを動かすためのエネルギーが必要になるが、インタークーラー本体をエンジンの吸気近くに配置でき、圧縮空気温度の安定化などでレスポンスが良い。

高速度域での絶対的な冷却性能は空冷にかなわないと言われています。

メルセデスはエンジン前面下方に配置、全体像をとらえた画像が未だに無い謎が多いインタークーラー、左右対称に立方体があると思われている。

フェラーリはPU一体型で供給されていて、エンジン前面中央に配置されている。

インタークーラー冷却水用のラジエーターサイズは判明していないが、空冷に比べるとかなり小型なものになるそうです。

上画像は2017年メルセデスの右サイドポッドのラジエーター、パイピングから予想して2層構造になっている下方部分がそれではないかと思われます。

2020年も分割されていたり2層構造になっているのは右サイドポッドなので、レイアウト的には延々と引き継がれていると思われます。

まとめ

エンジンの燃焼に大きく関係するインタークーラー、単純な構造になる空冷を採用するチームの方が多い。

2014年よりメルセデスの利点は、水冷インタークーラーによるものだと言われ続けています。

エンジン前面にコンプレッサー、インタークーラーを配置し、プレナムチャンバーまで空気を導く距離が圧倒的に短い事が、燃焼の安定とレスポンスにおいて一歩抜きんでている。重くなる水冷インタークーラーをできるだけ下方に配置している事も、重心の低下に貢献しているでしょう。

 

その一方で、水冷ユニットの重量増による他の部分での軽量化、冷却水循環のためのエネルギーが別途必要になる事など、水冷の方が完全に上とは言い切れない実情があります。

空冷は中高速域に強いが温度変化が大きい、水冷は低中速度域に強く温度変化が安定しているが、高速度域において冷却性能は劣る。こんな感じの差があると思われる。

 

空力、重量、エネルギーなど色々な要素のトレードオフ、空冷と水冷どちらが正しいのか?

歴史的な観点からでは、僅かな差でメルセデスの水冷インタークーラーが正解と言える。本当に極僅かな差だろうけど・・・。