2020年、過密スケジュールで17戦が終了したF1、パワーユニットのアップデート禁止など、色々な開発制限があった。
ホンダはこの影響を受け夏に予定していたスペックアップが出来ず、シングルモード規制により、燃焼モードを臨機応変に変更する戦い方も閉ざされた。レッドブルはナローノーズとケープを新規導入していたが、上手く機能出来ていなかった。
残り4戦となった空力アップデートでマシンは安定、メルセデスのMGU-K不具合とホンダのマージンを削った燃焼セッティングによりパワー差が縮まった最終戦、ポールポジションと優勝で一矢報いたのだった。
レッドブルRB16:TopGap一覧
R | GP | サーキット | 全開率 (距離) |
Top Gap |
レッドブル | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2019 | 2020 | Qtime | 改善度 | |||||
1 | AUT | レッドブルリンク | 79 | +0.538 | 63.439 | 63.477 | +0.038 | -0.06% |
3 | HUN | ハンガロリンク | 62 | +1.402 | 74.572 | 74.849 | +0.277 | -0.37% |
4 | GBR | シルバーストン | 78 | +1.022 | 85.276 | 85.325 | +0.049 | -0.06% |
5 | GBR | シルバーストン | 78 | +1.022 | 85.276 | 86.176 | +0.900 | -1.06% |
6 | ESP | カタロニア | 71 | +0.708 | 76.357 | 76.292 | -0.065 | 0.09% |
7 | BEL | スパ | 81 | +0.526 | 103.690 | 101.778 | -1.912 | 1.84% |
8 | ITA | モンツァ | 84 | +0.893 | 80.021 | 79.780 | -0.241 | 0.30% |
9 | ITA | ムジェロ | +0.327 | – | 75.471 | – | – | |
10 | RUS | ソチ | 75 | +0.563 | 92.310 | 91.867 | -0.443 | 0.48% |
11 | DEU | ニュルブルクリンク | +0.198 | – | 85.467 | – | – | |
12 | POR | アルガルヴェ | +0.413 | – | 76.904 | – | – | |
13 | ITA | イモラ | +0.567 | – | 74.176 | – | – | |
15 | BRN | バーレーン | 75 | +0.414 | 88.752 | 87.678 | -1.074 | 1.21% |
16 | BRN | バーレーンアウター | +0.056 | – | 53.433 | – | – | |
17 | UAE | ヤス・マリーナ | 73 | -0.025 | 95.139 | 95.246 | +0.107 | -0.11% |
遅い開幕となった7月、昨年タイムを超えられないレッドブルに愕然となった。ホンダは他メーカーと違い、シャットダウンせずに開発されたパワーユニットだったにもかかわらず、メルセデスに完璧に負けていた。
幻の開幕戦時からのスペックアップは小幅に止め、呼称は1.1となっていた。
昨年はポールポジションだった、パワー差の影響が少ないハンガロリンクでこのタイム差、明らかにマシンがダメな事が浮き彫りになっていた。
エンジンシングルモードが導入された8戦目より、予選タイム差は確かに減少しているが、決勝レースでのレースペースが変わる事は無かった。ホンダは各チーム毎にセッティングをしていたため、これの対応にかなり遅れた事も大きかった。
レッドブルは、アップデートを繰り返し、フロントウィングの大幅改良により最終的には追いつくことが出来た、しかしメルセデスは7戦目ベルギーのアップデートで開発を停止している。
最終戦アブダビについても言及しておかなければならない事がある。ここは路面がフラットでスムーズだという事、バンプが少ないため狙い通りのマシン挙動を作る事が簡単なのである。ちょっと荒れたコースならどうだったかはわからない。
レッドブルRB16vsアルファタウリAT01
R | GP | サーキット | レッドブル | Qtime gap | アルファタウリ | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2019 | 2020 | 改善度 | 2019 | 2020 | 2019 | 2020 | 改善度 | |||
1 | AUT | レッドブルリンク | 63.439 | 63.477 | -0.06% | 1.226 | 0.828 | 64.665 | 64.305 | +0.56% |
3 | HUN | ハンガロリンク | 74.572 | 74.849 | -0.37% | 2.115 | 0.659 | 76.687 | 75.508 | +1.54% |
4 | GBR | シルバーストン | 85.276 | 85.325 | -0.06% | 1.069 | 1.176 | 86.345 | 86.501 | -0.18% |
5 | GBR | シルバーストン | 85.276 | 86.176 | -1.06% | 1.069 | 0.358 | 86.345 | 86.534 | -0.22% |
6 | ESP | カタロニア | 76.357 | 76.292 | +0.09% | 1.216 | 0.508 | 77.573 | 76.800 | +1.00% |
7 | BEL | スパ | 103.690 | 101.778 | +1.84% | 2.745 | 0.952 | 106.435 | 102.730 | +3.48% |
8 | ITA | モンツァ | 80.021 | 79.780 | +0.30% | 0.609 | 0.129 | 80.630 | 79.909 | +0.89% |
9 | ITA | ムジェロ | – | 75.471 | – | – | 1.383 | – | 76.854 | – |
10 | RUS | ソチ | 92.310 | 91.867 | +0.48% | 1.640 | 1.133 | 93.950 | 93.000 | +1.01% |
11 | DEU | ニュルブルクリンク | – | 85.467 | – | – | 1.309 | – | 86.776 | – |
12 | POR | アルガルヴェ | – | 76.904 | – | – | 0.899 | – | 77.803 | – |
13 | ITA | イモラ | – | 74.176 | – | – | 0.326 | – | 74.502 | – |
15 | BRN | バーレーン | 88.752 | 87.678 | +1.21% | 0.761 | 0.770 | 89.513 | 88.448 | +1.19% |
16 | BRN | バーレーンアウター | – | 53.433 | – | – | 0.423 | – | 53.856 | – |
17 | UAE | ヤス・マリーナ | 95.139 | 95.246 | -0.11% | 1.950 | 0.717 | 97.089 | 95.963 | +1.16% |
アルファタウリはレスダウンフォースマシン、ストップアンドゴーサーキットで強かった。優勝したモンツァでは、レッドブルとの予選タイム差がたったの0.129秒だった。レッドブルのウィング以外の不安定な空力とアルファタウリの特異性を物語る結果です。
アルファタウリ自体のアップデートはほとんどなかったが、レッドブルRB15のリア回りとサスペンションを手にして、かなりの戦力アップが見られた。
大荒れだったイタリアGPでのガスリーの優勝は、ホンダとチームの50戦目記念であり、感動的なフィナーレとなっていた。
まとめ
2019年終盤の強さからも、開幕からメルセデスと優勝争いをするという夢は、レッドブルのマシンが失敗していてどうしようもなかった。そんな中、中団争いで強さを見せていたアルファタウリには感謝しかない。
最終的にレッドブルは、メルセデスのフロントウィング構成を真似る事で、ナローノーズとケープの使い方を学び、追いついた事に安堵できた2020年シーズンでした。
ホンダもまさかここまで強いメルセデスを相手にする事は想定していなかっただろう。フェラーリの燃料流量詐欺疑惑に対抗するために、メルセデスが本気でアップデートさせたパワーユニットは凄かった。
終盤になって強化されていたであろうMGU-Kトラブルが散見したが、全17戦と言うスケジュールに対して、メルセデスがギリギリのマイレージ設定で挑んでいたのは言うまでもない事実です。
ホンダが最終戦に行ったであろうギリギリのセッティングでは、ほとんど差がなくなっていた。この状態を更にアップさせたものを来年の参戦最終年に披露してくれる事を願うのみです。
以前、アルファタウリの新車は、RB16部品使用のAT02になり、フロントグリップマシンになる可能性が高いので、角田選手有利とコメントした所、AT01Bの筈とのコメントを頂きました。アルファタウリがどうするかによりますが、以下の通り、トークン無くRB16部品使用が可能で、AT02に出来る筈です。
https://www.as-web.jp/f1/658624?all
RB16パーツへの変更なら、AT02になると言うのももっともですが。
Jinさんが書いていたように、各チーム独自のネーミングルールがありますから(おそらく厳密ではない)…
ちなみにフェラーリはSF15T→SF16H→SF70H→SF71H→SF90→SF1000→SF21。
モノコックを完全にやり直したらマシン名も変える。
そんな感じですかね。
メルセデスは今年より更にPU・シャーシ共にパワーアップしてくるんでしょうね…
ホンダの新骨格PUがメルセデスPUに肉薄し、レッドブルのシャーシがメルセデスと同等以上である事を祈ってます。
最終戦で一矢報いれて良かったです
それはそうとして 来年は普通に開幕出来るのでしょうか?
今こんな事を言ってもしょうがないかもしれませんが
今年アルファタウリAT01=レッドブルRB15だったので、
来年アルファタウリAT02=レッドブルRB16になるはず?
と単純に思っています。
AT02がナローノーズ化(+ケープ)しているか?
完全クローンモデルと言う訳では無いですが、シェイクダウン楽しみです。
勿論ホンダ最新型PUのRA621Hも。
レッドブルとアルファタウリのマシンは同じハイレーキでも対前年でこんなにも差があるのが良く判る比較表。
ありがとうございます。
去年のRB15がベースとは言え、アルファタウリの改善は目に見えて良い。
対するレッドブルは前半戦で本当に苦しんでるのが良く判る。
アルボンを擁護する訳ではありませんが、アルボンに最終戦までチャンスを与えた理由も納得出来ます。