ヒュルケンベルグが1歩先に出る3勝目をマークしたイギリスGP。
元々地味~な職人って感じな彼ですが、1周目でフロントローのハース2台が潰しあってポジションを落としたところでトップに立つと、レースでも地味~な展開で後続を抑えきり優勝している。
序盤から2位につけていた驚異の新人ルクレールは、ピットイン時にリアタイヤのボルト締め付け不足があり強制リタイアに追い込まれた。
2位にはオコンが入り、中盤以降ストレートスピードに苦しみながらもマグヌッセンとのバトルを制したアロンソが3位に入っている。
ポイントリーダーだったサインツはグロージャンに弾き出されてたったの1点。ヒュルケンベルグがランキングトップになった。
F1ミッドフィールド選手権ポイントランキング
順 | ドライバー | 計 | AUS | BRN | CHN | AZE | ESP | MON | CAN | FRA | AUT | GBR |
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1 | ヒュルケンベルグ | 138 | 18 | 15 | 25 | 15 | 25 | 15 | 25 | |||
2 | マグヌッセン | 123 | 18 | 12 | 1 | 25 | 6 | 6 | 25 | 18 | 12 | |
3 | サインツ | 118 | 12 | 4 | 15 | 18 | 18 | 12 | 18 | 18 | 2 | 1 |
4 | アロンソ | 108 | 25 | 12 | 18 | 12 | 15 | 1 | 10 | 15 | ||
5 | オコン | 97 | 8 | 6 | 10 | 25 | 15 | 15 | 18 | |||
6 | ペレス | 89 | 10 | 8 | 25 | 12 | 8 | 4 | 12 | 10 | ||
7 | ルクレール | 65 | 6 | 2 | 15 | 10 | 12 | 12 | 8 | |||
8 | ガスリー | 63 | 25 | 2 | 18 | 10 | 4 | 4 | ||||
9 | バンドーン | 61 | 15 | 10 | 6 | 8 | 1 | 4 | 1 | 8 | 8 | |
10 | グロージャン | 47 | 1 | 1 | 2 | 8 | 10 | 25 | ||||
11 | エリクソン | 41 | 8 | 1 | 4 | 4 | 10 | 2 | 6 | 6 | ||
12 | ストロール | 33 | 4 | 4 | 10 | 8 | 1 | 6 | ||||
13 | ハートレー | 18 | 2 | 6 | 6 | 4 | ||||||
14 | シロトキン | 9 | 2 | 2 | 1 | 2 | 2 |
イギリスGPまとめ
ルノーは今年速いがタイヤ摩耗が激しい特性があるマシン。高速コーナーが多くなるとその特性が顕著に表れる。先のオーストリアではサインツのタイヤはあっという間にダメになり緊急ピットインでポジションダウン。
タイヤに厳しいシルバーストンでは最初からミディアムでスタートすると、20周でハードに交換する。33周目エリクソンの単独クラッシュによりSCとなるがそのままステイアウトでポジションキープ。後ろのオコンもミディアムでステイアウトした。
38周目からレース再開し6位サインツは5位グロージャンをターン9手前でアウトからオーバーテイクしたが、イン側のグロージャンが止まり切れずに接触し2台ともリタイア再びSCとなる。(この2台は最終的に10位争い、公式結果では37周終了時点で前のグロージャンが10位だが、このミッドフィールド選手権ではサインツを10位とする。)
42周目からまたレース再開し残り11周のスプリント対決に入っていく。
ハードタイヤのヒュルケンベルグに抑えられる後方集団。2位オコン(M)、3位マグヌッセン(M)、4位アロンソ(S)、5位ぺレス(S)、6位ガスリー(S)となっている。オコンはヒュルケンベルグのDRS圏内には入れないがそれ以下はDRSトレイン状態で接戦となる。
動きがあったのは50周目ターン16でガスリーがぺレスのインついて接触しながら前へ出る。
最終ラップのターン3ではアロンソがマグヌッセンのインを突き表彰台獲得となる3位フィニッシュとなった。この二人はレース中に何度もバトルを展開している。アロンソは何度も並ぶが一貫してラインを残さないマグヌッセンの走りに苛立っており、最後に抜いた時の「YES!」は本当に嬉しそうだった。
ガスリーは当てて抜いた事で5秒加算ペナルティをもらってしまった。これには厳しすぎる裁定など色々な意見があるが仕方ない事だろう。私的に解せないのは抜いた後、ぺレスのラインを完全に潰した最終コーナーがカッコ良くないかなぁ。
しかし、そのチャレンジは大いに評価したい。どんどん我を出してF1サーカス内での自分をアピールする事が今後に繋がる。フェルスタッペンがそうしているようにね。
- ベストオンボード⇒https://youtu.be/zxrKZZlAkpc
今回のベストオンボードは見ごたえあります。
ヒュルケンベルグがスルスルスルっとトップに立つスタート直後が全てを決めた。
やっぱり手放し運転できるとちがうね(笑)
結果はともかく経過を見ていると、今のカスタマーの限界がはっきりしてきた気がします。もうフェラーリ式じゃないと無理ですね。
ハース・ザウバーは安定したベースの上で予算・期間・能力なりに進歩しているのに対して、載せ替え組はもちろんメルセデスカスタマーもベースラインを見失っているみたいですよね。
リアセクション(ギアボックス・ケーシング・サスペンション等)はPUとの一体開発以外は無理なんでしょうね。フォースインディア、ウィリアムズと独自開発が増えるごとに失速し、影響の少なそうなストレートだけスピードが出るのを見ると増々そう感じます。高重量・高出力のPUの制御は「メーカーの常識、レース屋の非常識」な領域なんでしょうかね。
来年以降、4つのメーカーグループを作ったほうが見てるほうは楽しいかな。カスタマーは「ドライバー・レース戦略・空力だけの開発・セッティング」を競うことに集中したほうが、チーム運営は安定するしレースとしても面白いんじゃないかと。
ところで管理人さんはトロロッソに厳しいなと、今年からきちんと見始めた自分は思ってたんですが、完全に間違いでしたね。ここまでひどいとは・・・。
スペック2以降薄々感じてたんですが、ハートレーのブレーキのトラブルを見て
「クラッシュテストモード付、走るテストベンチ」
と不謹慎にも思ってしまいました。
もっとまずいのはアップデートポリシーが単なるレッドブルのコピーで、今使ってるホンダの特性に合わせて調整してる様子が全くないことですね。車体は時間・予算的に無理だとしても、空力に関しては多少は出来るはずで、ここまで柔軟性がないとなると来年はコピー元も大幅に変化するはずなんで、1年を棒に振りそうです。
motogpのライダーのコメントを見ていて、最近はメカニック等との比較で見ないと当てにならないと思っていたんで、ガスリーも若いなと感じましたね。センサー等が発達してドライバーに求められる開発能力が変化したんでしょうね。
トロロッソに厳しい評価をしていたつもりはないんですが、最低ランクのエンジンとコンスト7位チームのコラボレーションでは昨年の段階から今の現状は見えていただけです。
その中でゲリラ的に良い成績を出す事に楽しさを感じていますね。トロロッソって昔からそういった位置づけのチームですから。
バーレーンでの走りは全くの想定外。完璧にすべてが理想的に機能した結果であって、タイヤのスイートスポットにバッチリはまってしまった。
数値的データからは突出した速さは感じられなかった、常に良い状態のタイヤを保つ事が出来ただけと分析しています。
一つだけ訂正させて頂くとフォースインディアは、サスペンションは独自ですがメルセデスからギアボックスを買っていますので、それなりの速さを出しています。
あと最近知った事ですが、トロロッソの風洞はレッドブルの中古で40%スケールだそうです。F1規則では60%スケールまでなのでトロロッソのハンデは結構ありそうですね。
ザウバーはBMW時代の投資が凄くて、今でも世界トップクラスのフルスケール風洞を持っています。お金の無いザウバーはその風洞を色々な企業に貸し出し稼いでいる。
予算さえあればザウバーは性能向上させるための施設を有していて、既にその効果が出てきたと考えていいでしょう。
ちょっとだけ黒い噂話:フェラーリの元チーフデザイナーがザウバーのテクニカルディレクターになっていますが、2019年用の空力開発データを共有するためじゃない?なーんて考えている海外ジャーナリストがいるみたいです。
ザウバーの動きを見てると、今後のメルセデスのカスタマー対応が興味深いですね。
一部報道で新規参入が確約されなければMGU-Hを続けるかも、という揺さぶりっぽい報道もあるのを見ると、レギュレーション次第でしょうかね。
続けるならフェラーリ式にしてデータ共有、廃止ならこのまま変化なしかな?
それとも誇り高きメルセデスはどうなっても自分たちだけでやるのかな?
うひゃー 風洞施設がそんなに劣っていたのですね。ザウバーほどじゃないにしろ60%の一般的な風洞は おいくら万円かかるんでしょうかね。ホンダのミルキートーンズにはないのですかね??
ちょっと昔の話だと50%風洞で100憶円程度、フルスケールだと400憶円以上との事です。
ホンダは持ってませんねw
風洞だけが良くてもダメで、そのデータを有効にいかせるシミュレータも必要です。
CFD、風洞、シミュレータ、実車のすべての相関関係がとれている事が必要不可欠、そういった施設を構築できるチームがトップチーム。
マクラーレンはどうも自社風洞がダメっぽいTOYOTAのTMGを使っているようです。
それだけやっても実走では上手くいかない事も事実、風・温度・湿度・他車の起こす乱流などすべての事を完璧にシミュレートできないからです。
そこが面白い要素であるのもF1ですね。
~雷子さんへ~
初めまして。
風洞ですか…第3期撤退の際、古い風洞はブラウンGPに売り払ったんですよね。 マシンやスタッフごと。 しかも1ドルそこらで。
翌年そのブラウンGPが走らせたBGP001の原型が、ホンダが作っていたと言われているRA109というマシンですね。 最近はそのRA109の資料もWebで簡単に確認出来ますし、見比べると面白いですよ。
後、実車風洞試験室なら、栃木の4輪R&Dセンターにあったような…。 使い物にならないかも知れないですけれどね。 レギュレーション的な意味でも。(^^;
~管理人さんへ~
興味深い記事がありました。 ハースの小松さんやフォースインディアの松崎さんのコメントが載っていて面白いですよ。
ガスリー、この記事の通りなら若いですねえ。 少し、羨ましいです。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180711-00010003-sportiva-moto
私は私で、何故こうも私や管理人さんとの予想が食い違うのだろうと思ったら、管理人さんがシルバーストーンでは「高ダウンフォースをパワーでねじ伏せる云々」と書かれていた事に気が付きました。
私は「ブレーキを使用する箇所も、命懸けに見えるコーナーもこんなに少なくなったか~。 加速してアクセルオフって向き変えて、再度加速、最高速まで加速の繰り返しか…もうテクニカルサーキットじゃないよ」と考えていたみたいです。
兎にも角にも去年のメルセデスが印象に残り過ぎていたのでしょうね。(^^;
あれは強烈でした。 「コーナーが少しだけハンドル切りながらフル加速する区間」に変わったと思いましたから。
いつだったか、管理人さんの記事でメルセデスの超ロングホイールベースが生み出すフロア由来のダウンフォースの強みを拝見して、「これは考え方が思いっきり変わったんだな」と思ったものです。 そうでなきゃ、あのロングホイールベースの数値に納得出来ないでしょう? 「いくらなんでも長過ぎだよ!」と、ちょっと前なら突っ込みが入るレベルだった筈。(^^;
~ヤマハは迷走中さんへ~
初めまして。
今年からきちんと見始めた方だったのですね。 ようこそF1へ。
子供ながら「何故、レーシングカーがこういう設計になっているんだろう?」と古い資料見て考えている内に、何故かそれが楽しくなってしまった私の様な人間にはならないようにして下さいね。(^^;
今のカスタマーの限界というか、もともとワークスとそれ以外の世界なので仕方がない事ですよ。
「今使ってるホンダの特性に合わせて調整してる様子が全くない」と言っても、それは程度問題ですね。 まあ、私も「ミスマッチが逆に強みを生み出しているんじゃないか?」と勘繰ることが多いのが今期のSTR13というマシンです。
「シャーシとPUの設計は一緒にやって突き詰めていってマシンとして最高の状態」なのに、ルノーPUを搭載する予定のマシンにホンダPUを乗せることに舵を切れば、そうなります。 早い時期に舵を切っていたのならまだしも、かなり遅い時期だったので…今期のマシンは本当に急造マシンなんですよ。(^^;
空力に関しては、おそらくはサイドポンツーンの設計がそのまま尾を引いている感じがします。 去年の時点でトレンドに乗り遅れたのに、今年もそれを改善する余裕が無かったというか…。
管理人さんも仰ってますが、トロロッソはもともとそういうチームなのです。 もっと言えば、1985年から2005年まで活動していたミナルディというチームが母体です。 ありあわせの材料で間に合わせのマシンを作ることには慣れていたチームですよ。
と、冗談はこの位にして…「レッドブルのコピー」と言うか、低予算で運営する為のノウハウと今年のマシンデザイン由来の弱点を克服する為の空力アップデートだと思います。
何が弱点かと言うと、「フロントタイヤで発生した遅い空気をリアタイヤまで運ばずに、どう処理するか?」という点でサイドポンツーンからリヤエンドのラインに沿うように上手く空気を流すというか、空気を纏わせるのが良いのですが…低予算チームだからか、そこを改善する前にホンダPU搭載となったのでしょうね。 トロロッソのエンジンの位置関係とバラストの配置も疑問ですよね。 「ホンダエンジンがコンパクトとはいえ、エンジンの前方にコンプレッサーが来るタイプだから…少し後ろにズレた分、重量バランスの調整は前よりにしないと」とか考えた結果なのでしょうかね?
そういう意味では、「レッドブルのコピー」どころか、「レッドブルのコピー」をしていい場合はもっとマシなデザインになっている筈です。 特にサイドポンツーンより後ろが。 あそこは絞っていますよ。 そこが出来なかったからこその今のSTR13のデザイン…。 ただ、レッドブルはコーナリングを重視し過ぎている為なのか、「ドラッグになるパーツが凄い」と思える時が多いですね。 でも、2度も世界王者に輝き、今でも腕だけなら最強レベルのアロンソが同じエンジンを搭載したマシンで戦っている訳ですが、レッドブルの足元にも及ばないでしょう? 同じ様にコーナリングマシンなのに。
柔軟性のある対応が出来るのは、予算があるチームだけですからね。 逆に、車体開発がミスマッチどころか前年の流用にするしかない箇所が多くなり(ルノー前提の設計部分は通用しないですからね)、いきなりホンダPU乗せて、実走試験の機会もなく、完全に設計と開発だけでどうにか今年の冬季テストまで漕ぎ着けて、きちんと18年シーズンに間に合わせて、セッティングが決まった時は思いっ切り速くなるマシンになっている。 そう考えると面白いですよ。 まあ、セッティングが決まらなかったら、全然駄目なんですけれどね。
ハース方式は、ある意味ではF1を駄目にさせるし、ある意味ではF1を救う諸刃の剣になるのでしょうね。 実際、「トロロッソがレッドブルから事実上のカスタマーマシンを受け取って開発・参戦していた時期に横槍が入った」からこそ、カスタマーには厳しい条件が残った。 それなのに、FIAのお墨付きを貰ったハースはえげつないですね。(^^;
しかし、カスタマーにドライバー・レース戦略・空力だけの開発・セッティングだけを競わせるですか…カスタマーは資金の面では有り難いでしょうね。 でも、魅力も半減します。 全て同じにしてしまえば、後はF2かインディみたいになるのでしょうね。 それが「厳しいレギュレーション内で世界最高のマシンを仕上げて、世界最最高のエンジンを乗せて」をクリアして、世界最高峰のモータースポーツ…というF1の魅力とは相反するかな、と。
特にエンジニアリング面で魅力を感じないでしょうね。 シャーシが限られたら、エンジンだって逆に設け主義で衰退しそうです。
でも、確かにそういうのは魅力的。 運営的にも楽ですしね。 でも、それならインディやF2まで(もしくはSFまで)だけで十分成立してしまうレースカテゴリ…。 オープンホイールをずっと引きずっている所一つとっても、難しいと言えば難しいですよね。
長文失礼しました。
スポルティーバを読むと、なるほどですね。私の考えでのダウンフォース量より少ないなぁ。
速度が上がれば増加するドラッグダウンフォースをねじ伏せるパワーが絶対的に必要だという事には変わりない、と言う見解になってしまったシルバーストンです。
「速度が上がれば増加するドラッグダウンフォースをねじ伏せるパワーが絶対的に必要」
そこなんですよね。 ただ、カナダでかなり良い線の完成度を見せてくれましたからね。
カナダ程のセッティングでは無理でも、アクセルの全開率を上げて、最近のF1の走りを見たかったです。 最高速であのマクラーレンとほぼ同じ数値を見た時は、物凄く脱力してしまいましたから。
ただ、今のルノーが大体920馬力位でしたか? で、ホンダがそれと同等になって来たと…。
去年のメルセデスが最後の方で949馬力とか言われていますしね。 もう少し上手くパッケージングの仕様がホッケンハイムで見られるのなら、意外と良い線行けると思うのですよね。 勿論、中団でですが…。
寝る前にこのツイッター情報を見て目が覚めました。
https://twitter.com/AlbertFabrega/status/1016342212404236290?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1016342212404236290&ref_url=http%3A%2F%2Ff1jouhou2.blog.fc2.com%2Fblog-entry-13876.html
ルノーのアップデート版MGU-Kは、ワークスとしてのルノーに合わせて設計されている(専用設計)ので、カスタマーはパッケージングとクーリング系の改造が必要になる様ですね。
オーストリアの頃のアビテブールの発言はそのせいだったんですね。 ところで、マクラーレンのバンドーンとかは投入してなかったですかね? ルノー、えげつないなぁ…。
https://jp.motorsport.com/f1/news/renault-long-awaited-new-mgu-k-to-austria/3129341/
でも、やったという事は「違反じゃない」という事なんでしょうね。 でも、反動でリバティが提唱する2020年以降の取り決めとやらに賛成するチームも増えそうですね。
で、流石にルノーのカスタマーはルノーから離れるための大義名分が出来たのでは? 「こんなの契約としておかしいから抜ける」と。 本心ではフェラーリやメルセデスでしょうからね。 レイアウトを考えるとフェラーリですが。
でも、それも規則で無理なんでしょうね…。