F1のエンジンパワーは、1,600ccターボエンジンとMGU-Kモーター(161hp)の合計となる。

2014年から導入されているダブルハイブリッドによるパワーユニット、2020年に到達した馬力を確認してみましょう。

各メーカーはパワーを公表しません、数値はGPSデータより加速度とドラッグから割り出され、未確認情報として海外サイトが発信しています。

ドラッグを完全にトレースできないため全ては机上の憶測となります。

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F1のエンジンパワー推移

2017年頃よりのパワーを表にしてみました。

メーカー 2017 2018 2019 2020 ICE単体
メルセデス 949 960 990 1,022 861
ホンダ 881 925 950 994 833
ルノー 907 930 945 985 824
フェラーリ 934 960 1040 980 819

シングルエンジンモードになったイタリアGPで、メルセデスは0.1秒失ったとの情報があり、それを馬力換算すると5hp程度となります。

このようにホンダは当初2番手であると言われていましたが、シングルモード以降はルノーより若干劣る3番手だと、経験豊富な海外ジャーナリスト達は認識しているようです。

パワー差を作り出すものとは?

2020年スペインGP予選エンジン回転数(赤がコントロールライン)

 

燃料流量規制は回転数に比例して上昇し、10,500rpmで最大値100kg/hとなります。4速以上の常用最高回転数はメルセデスで12,200rpmぐらい、ホンダは11,600rpmほどとなっています。

燃料は増やせないのにパワーを上げるために必要なものは、空気以外には無い。F1にはブースト圧制限がありません、シリンダーに送り込む空気を増やし、少ない燃料で爆発させる技術の開発競争となっています。

 

空燃比が異様に高いリーンバーンターボエンジンは、プレチャンバーでリッチな燃料に点火して火炎ジェットを発生させ、燃焼室全体を均一に着火させる技術が使われている。

よって、パワー差を生み出すのものは以下になります。

  • ブースト圧
  • 圧縮比

高いブースト圧を達成するには、大きなコンプレッサーが必要になり、高い圧縮比を達成するには小さな燃焼室が必要になります。

どちらもシリンダー内の熱が増加して冷却損失が増大する。そして、高すぎる熱はピストンやバルブなどを溶解してしまう。

燃料を噴射するインジェクターには、噴射回数制限がありません。圧縮工程で数回に分けて噴射、気化熱を利用して温度を下げています。

 

メルセデスが優れている点は、これらの数値が高い事になり、エンジンの作動温度を上昇させた事やコンプレッサー付近のパイピングが強化されている点などが指摘されています。

エンジンに密着しているMGU-Kを序盤戦すぐに2基目を投入したり、終盤に燃えてしまったりとトラブルが多かったのは、エンジンの作動温度が上がった事による、熱の影響が大きく関わるのではないでしょうか。

 

F1では基本的に、エンジン冷却水は約130℃、モーター作動最高温度85℃と言われています。

2021年のパワーはどうなるのか?

メルセデスは20hpを更に上乗せするとの情報があり、元フェラーリのロレンソ・サッシが燃焼室改善に向けて、大きな役割を担っているとの事です。

確か、フェラーリでスチール製ピストンを提案していたと記憶している。

新しい合金の使用により、更に熱に強く、爆発力に強くなるのだろうか?2020年メルセデスは一つの壁を突破したと思う、どこまで行くのか全く予想出来ない。

 

フェラーリはやっとと言うべきなのか、オイルや燃料のグレーゾーン使用が出来なくなり、本来必要である開発を行っている。テストベンチでは50hp増加したと一部で言われているが、耐久性に問題があり30hpの増加がやっとらしい。

 

ホンダはパワー的に劣るが、マシンパッケージングに対して優位性がある事はレッドブルが証明している。見るからに低重心になるように配置されているエキゾーストや全体的なサイズは一番小さい。ホイールベース規制が行われる2022年は、利点が大きいと思うけど、撤退してしまう。

新構造となるPUを投入するが、初期トラブルや様々なバランスが取れている状態でスタートできるのかが気がかりである。

 

ルノーの噂は全く無く不気味、現行コンセプトはもう伸びしろが無いと発言して、2021年に向けて新しいコンセプトを用意していると言われる。メルセデスやホンダに追従するセパレートタイプになるのだろうか?

 

さぁ、ホンダ最終年はどうなるんだろうか・・・。