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2022年21戦目にして待望の勝利を手に入れたメルセデスF1チーム。

開幕時、バウンシングが収まらない、車高を上げるとフロアが機能しないなど、様々な問題を抱えていました。

 

フロアのデザインを間違っていた事が主な原因と考えられます。

これまでのフロアの進化を確認してみましょう。

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メルセデスW13のフロアボトム

開幕時とR10イギリス辺りで導入されたアップデートの比較です。

開幕時は左側画像ですが、トンネル前側で一番低く出来る位置(赤矢印)がはっきりとわかります。

トンネル内部が全体的に低く、強力な負圧を発生していた事は明らかです。

 

R10イギリスのアップデートの大きな変化は以下です。

  • センターフラットエリアの張り出し(オーバーハング)による拡大(青矢印)
  • トンネルからフェンス裏を通す排出ポイント
  • フロアエッジトンネル(緑矢印)の拡大
  • センターからエッジ側へ傾くようなフェンス裏トンネル(収縮→拡散)
  • トンネル全体の広がり

 

次に日本GPで確認されたフロアボトムですが、導入されたのはR13ベルギーGPだと思われます。

引用元:https://twitter.com/KanbutsuyaSan/status/1590907622227869696
  • センターフラットエリアの張り出し(オーバーハング)による拡大(赤矢印)
  • フェンス裏のトンネルはなだらかな収縮率になっている

センターフラットエリアの拡大とオーバーハング

センターフラットエリアのオーバーハングはレッドブルがテスト時から使っているデザインです。

フェラーリ、メルセデスを含め多くのチームが真似をしたデザインになっています。

 

真似される・・・効果絶大な正解と言う事です。

 

先ずはフロアボトムのCFDを一度確認してみましょう。

引用元:https://www.f1technical.net/forum/viewtopic.php?t=30734

このCFD解析によると、フェンスボルテックスはキックポイントへ向かい、エッジボルテックスはディフィーザー前部にあるインレットから入り込む事が確認出来ます。

このCFDのセンターフラットエリアにはオーバーハングがありません。

 

オーバーハングを加えたイメージ

 

オーバーハングによってフェンスボルテックスはトンネルのエッジ寄りに移動されます。

  • ボルテックスにはバキューム効果がある
  • フェンスボルテックスは収縮によって発生するため強力

 

2つのボルテックスの強力なバキューム効果に挟まれるセンターフラットエリア

  • 負圧が僅かに増加する
  • 負圧が他の要因による影響を受けにくくなる

この様に考える事が出来ます。

 

テクニカル系海外ジャーナリストがよく使う言葉で「吸引」などがありますが、正にそのような効果に期待出来ます。

比較用レッドブルRB18のフロアボトム

比較用フェラーリF1-75のフロアボトム

トンネル内部の高さがわかりやすい画像です。

フェラーリは、トンネル前方で狭く→キックポイント手前で広く→キックポイントで狭く、キックポイント手前のエッジ側へのバイパスが少ない印象です。

まとめ

メルセデスと言えども結果的には、レッドブルのフロアを真似する事になってしまった。

エイドリアン・ニューウェイがこのフロアにどれだけ関与しているのかは分からないが、新規定初年度から恐るべき解答を導き出した事になる。

 

終盤戦の成績からもメルセデスがベンチュリー型フロアを理解している事は分かる。

フェラーリが心配だけど、予算制限によって改善アップデートが出来ない事もあり、前半戦の速さからも大きく外してはいないだろう。

 

最終的に似ていくのがF1の技術開発と言うもの、そんな中でもほんの少し進んでいるチームが勝っていく。

2023年メルセデスの復活は誰もが望んでいる事、レッドブル、フェラーリとの三つ巴チャンピオン争いに期待したい。